(二)白い針
◆ 白い針
最後に残ったのは、指ほどの長さの白い光だった。
剣というより、針に近い。
「小さい」
シアが近づく。
「触るなよ」
「触らない」
そう言いながら、顔を寄せる。
ネアも白い針を観察した。
「密度は保たれています」
「使っている力は?」
「普段の白刃よりかなり少ない」
「以前は作れなかったのですね」
「細くしようとすると消えてた」
消さないよう力を加えれば太くなる。
今は、どこへどれだけ流せば形を保てるのかが分かる。
「強い?」
「これだけなら、戦闘では使いにくい」
「じゃあ何のため?」
「確認だ」
セトは白い針を少し動かす。
小さな光が指先についてくる。
「力が増えたから作れたわけじゃない。前と同じものを、前より細かく分けて使えた」
「制御の仕方が変わったのですね」
ネアが答える。
「少なくとも、精霊回路そのものが強くなった結果ではありません」
針ほど細い白刃を作れたからといって、強敵を倒せるわけではない。
それでも、以前にはできなかった制御ができている。
見えるものが増えたことで、扱える流れも増えていた。
◆ 必要な瞬間だけ
セトは白い針を消し、普段と同じ長さの白刃を作った。
見た目は変わらない。
「元に戻った」
シアが言う。
「使っている力は少ない」
「薄い?」
「両側の刃の密度は変わっていません」
ネアが白刃の流れを見る。
「ただ、刀身全体を同じ密度には保っていないようですね」
これまでのセトは、白刃のどこへ衝撃を受けても崩れないよう、刀身全体へ均等に原光を流していた。
左右の刃。刀身の中央。手元に近い基部。
すべてを同じ強さで固定していた。
今は、両側の刃の密度を保ちながら、刀身中央と基部へ流す量を減らしている。
見た目の形は変わらない。
だが、白刃全体を維持するために使う原光は少なくなっていた。
「受けると崩れやすい?」
「今までよりはな」
「なら受けなければいい」
「簡単に言うな」
少し離れた場所に、倒れた枯れ木がある。
セトは白刃を下げ、その前へ立った。
踏み込む。
腰を回す。
白刃が枯れ木へ触れる直前、刀身全体へ原光を巡らせた。
弱めていた刀身中央と基部の固定が強まる。
さらに、枯れ木へ触れる側の刃へ力を集中させた。
白い光が一瞬だけ強くなる。
枯れ木が切断された。
上半分が地面へ落ち、その後ろにあった薄い岩にも切れ目が入る。
「強い」
シアが切断面をのぞき込む。
「斬る瞬間だけだ」
※第40話「限界を外す刃」は全七回です。
続きます。
作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。
※ネタバレ範囲にご注意ください。
https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/




