↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第38話 重さと結晶

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
230/393

(五)二本の精霊剣

◆ 増える結晶


 セトは白刃を作った。

 刀身を塔の隙間へ差し込み、斜めに振る。

 見えている刃より先まで斬撃が走り、結晶の層が崩れた。


「切れる」

「でも、遅い」


 シアが砕けた部分へ炎を流す。

 結晶は赤く焼けるが、すぐには溶けない。

 ネアが塔の奥へ線を通す。


「内部で別の層を作っています」


 正面の成長を止められた晶の精霊王は、さらに奥へ結晶を置いていた。

 シアたちが一層を壊す間に、次の壁が完成する。

 土の精霊王のように、遠く離れた何かを同時に動かしているわけではない。

 ただ、一度置かれた結晶がその場へ残る。

 止めただけでは、道は開かなかった。


「壊すのが追いつかない」


 セトは白刃を下ろした。


「二本で行く」


◆ 二本の精霊剣


 シアとネアがセトを見る。


「昨日、極炎を二度使っています」


 ネアが言った。


「今日は休んだ」

「一日です」

「このままでも林が固まる」


 塔の外側では、結晶化が少しずつ広がっている。

 ネアが止めているが、すべてを長く抑え続けることはできない。


「壊す役と、作らせない役が必要だ」


 セトは右手をシアへ、左手をネアへ向けた。


「短く終わらせる」

「短く終わらなければ?」


 ネアが尋ねる。


「その時に考える」

「シアと同じ答えですね」

「いい答え」


 シアが言った。

 ネアは小さく息を吐く。


「無理だと判断したら、こちらから解除します」

「ああ」


 二人の身体が、赤橙色と銀青色の光へ変わった。


◆ 四つの分霊核


 セトの右手に極炎が収まる。

 左手には、黒い刀身を持つ月の精霊剣・絶光が現れた。

 二本の剣から、異なる力が身体へ流れ込む。


 極炎は身体を前へ押し出す。

 絶光は周囲の原光の流れを、細部まで見せる。

 二つを同時に受けた瞬間、セトの精霊回路へ強い圧力がかかった。


 四つの分霊核も、セトの周囲へ移る。

 赤い玉が二つ。

 黒い玉が二つ。

 セトには、それぞれの位置と残量が伝わってくる。

 だが、操作しているのはシアとネアだった。


『右側の結晶は私が焼く』

『黒い分霊核は、林と退路へ置きます』

「俺は塔を壊す」

『そのままです』

『一番分かりやすい』


 セトは二本の剣を構えた。


◆ 壊す剣と止める剣


 塔へ向かって走る。

 地面から結晶の柱が伸びた。

 左の絶光で受ける。

 黒い刀身が結晶へ触れる前に、内部を流れる原光が抜けた。

 伸びかけた柱が途中で止まる。


 セトは右の極炎を振った。

 止まった柱が、熱と斬撃で砕ける。


 正面へ新しい壁が作られる。

 絶光を横へ置く。

 ネアが流れを読み、形成の起点をずらした。

 壁の中央だけが薄くなる。


 そこへ極炎を突き込む。

 赤い炎が穴を広げ、セトが中へ踏み込んだ。


『壊した直後を止めます』

『止まったら壊す』


 二本の剣の役割は、混ざっていない。

 極炎は砕く。

 絶光は作らせない。

 セトは二つを交互に置き、塔の内部へ進んだ。


◆ 置かれたもの


 晶の精霊王は、壊された壁をすぐに戻そうとした。

 絶光が流れを奪う。

 新しい結晶は作れない。

 だが、左右と頭上には、すでに完成した結晶が残っている。


 塔の内部は、狭い通路のようになっていた。

 セトが通るたび、横から突き出た結晶が肩や脚を狙う。

 極炎で切れば、正面への攻撃が遅れる。

 絶光では、完成した結晶を消せない。


『右』


 赤い分霊核が横へ火を放つ。

 突き出た結晶の根元が割れた。


『後ろを閉じようとしています』


 黒い分霊核の一つが、通ってきた穴へ線を伸ばす。

 結晶を作る流れを止め、退路を残す。

 もう一つの黒い核は林の側へ制御線を広げ、塔の外へ進む結晶化を抑えていた。

 二つの赤い核は、セトの近くで側面と頭上を守る。



※第38話「重さと結晶」は全七回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。