↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第36話 氷の世界

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
216/225

(三)もう一つの防御

◆ 相性の答え


 火と氷は、単純に一方だけが強い関係ではない。

 シアの炎は氷を溶かせる。

 だが、広い範囲を冷やし続けられれば、炎を作るたびに熱を奪われる。

 氷の精霊王の冷気も、シアの炎へ触れれば弱まる。

 どちらも、相手の作用を直接打ち消せる。


「長く続けた方が勝つ?」


 シアが尋ねる。


「同じ場所だけで押し合えば、そうなるかもしれません」


 ネアが答えた。


「でも、向こうは周囲全部を冷やしている」

「ええ。正面だけを溶かしても、別の方向から冷気が入ります」

「樹の時と同じ?」

「似ています。ただし、今回は一つ増えています」


 シアの肩の後ろで、分霊核が赤く光る。


「分かってる」


 シアは氷の精霊王から目を離さなかった。


◆ 最初の冷気


 シアは地面へ炎を落とした。

 迫っていた氷が溶け、水蒸気が白く上がる。

 次の瞬間、その水蒸気まで凍り、細かな氷の粒となって降った。


「消しても戻る」

「向こうも冷やし続けています」


 ネアが冷気の流れを見る。

 氷の精霊王は、周囲一帯へ力を広げていた。

 シアが正面の氷を溶かしている間に、左右から冷気が回り込む。

 足元を守れば、上から氷の塊が落ちる。

 上を焼けば、地面が固まる。

 以前なら、攻撃へ移るたびにどこかの防御を止める必要があった。


「分霊核に足元を守らせろ」


 セトが言った。


「分かってる」


 シアの肩の後ろから、分霊核が前へ出た。


◆ 以前なら止まる場所


 氷が足元へ迫り、頭上では凍った枝が折れた。

 正面には、氷の精霊王が新しい壁を作っている。

 以前のシアなら、どれか一つを選ぶ必要があった。


 前へ火を放つか。足元を溶かすか。落ちてくる氷を防ぐか。

 一つを処理してから、次へ移る。

 その短い切り替えの間に、相手は距離を取り、別の冷気を広げられる。


「全部、自分でやろうとするな」


 セトが言った。


「一個しか増えてない」

「一個ある」


 シアは一瞬だけ分霊核を見た。


「じゃあ、足元」


 赤い玉が下がる。

 シア自身は、氷の精霊王へ向けて両手を開いた。


◆ もう一つの防御


 赤い分霊核が、三人の足元近くまで下がる。

 玉の周囲に薄い炎の膜が広がった。

 冷気が膜へ触れ、水へ変わる。

 水はすぐに凍ろうとしたが、分霊核の炎が途切れず、地面へ流れていった。


「足元は任せる」


 シアは自分の炎を正面へ集めた。

 氷の精霊王との間に立ち上がった氷柱を、まとめて溶かす。

 左右から回り込んだ冷気は、分霊核が作る熱の膜へ押し返された。


「攻撃を止めていません」


 ネアが言う。


「昨日、試した通りだ」


 セトは白刃を構えながらも、シアの前へは出なかった。

 今は、分霊核一個で何が変わったのかを見る必要がある。


「そのまま近づけ」

「分かった」


◆ 攻め続ける火


 シアが一歩進む。

 氷の精霊王は、地面から壁を立ち上げた。

 厚い氷が視界を塞ぐ。

 シアは立ち止まらず、拳へ炎をまとわせた。

 一撃で中央を砕き、熱で穴を広げる。


 壁の向こうから、細い氷の柱が何本も伸びた。

 分霊核がシアの横へ移る。

 炎の膜が柱を受け、先端から溶かした。

 シアは防御へ手を戻さない。

 穴を抜け、さらに前へ進む。

 氷の精霊王が後ろへ下がった。


「前より楽」

「油断しないでください」

「してない」


 返事をしながら、シアは次の氷壁を焼き抜いた。


◆ 氷の壁


 氷の精霊王が両手を広げる。

 滝を覆っていた氷が剥がれ、巨大な板となって倒れてきた。

 シアは上を見た。

 自分の炎を上へ向ければ、正面への攻撃が止まる。


「分霊核、上」


 赤い玉がシアの頭上へ移る。

 炎の膜が広がった。

 落ちてきた氷は膜へ触れた場所から溶け、左右へ割れて落ちる。

 その間も、シアは氷の精霊王へ火を放ち続けた。


 白い人影の前へ氷の盾が生まれる。

 炎が盾を削る。

 盾を厚くするため、氷の精霊王の力が正面へ集まった。

 山の下へ流れていた冷気が、わずかに弱まる。


「効いてる」

「ええ。攻撃を受け続けるため、領域の拡大へ回す力が減っています」



※第36話「氷の世界」は全六回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。