↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第35話 最初の分霊核

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
211/237

(三)器が目覚める

◆ 持ち主への説明


「これは何なのですか」


 宝石商が尋ねた。


「火の精霊王が使う器です」


 セトが答える。


「今まで危険がなかったのは、火の精霊王が力を入れていなかったからだ」

「武器になりますか」

「使い方によっては」


 ネアは曖昧にしなかった。


「ただし、人間が持っていても動きません。勝手に燃えたり、誰かへ作用したりする物でもありません」

「では、あなた方へ渡せば動く」

「シアなら使えます」


 宝石商は赤い玉を見た。


「元は精霊王の物だから、返せと言われるのでしょうか」

「言わない」


 セトはすぐに答えた。


「あなたが盗んだ物ではない。今の持ち主はあなたです」


 見つけることと、取り上げることは別だった。


◆ 売るための値段


「買えるなら買いたい」


 セトが言った。

 宝石商は少し考え、値を示した。

 希少な宝石としては高くない。

 何にも加工できない小さな玉としては、安くもなかった。


「その値段でいい」

「すぐに決めるのですか」

「必要な物だ」

「もう少し値を上げても買いそうですね」

「今から上げるのか」

「冗談です」


 宝石商は代金を受け取り、箱ごとセトへ渡した。


「一つだけお願いがあります」

「何だ」

「本当に動くところを見せてもらえませんか。何年も正体が分からなかった石です」


 ネアが店内を見回す。


「ここで試すのは危険です」

「町の外なら?」

「最初の確認だけなら」


◆ 最初に入れる力


 三人と商人、宝石商は町の外へ出た。

 街道から離れた空き地へ移動する。

 周囲に家も畑もない。

 セトは木箱を地面へ置き、蓋を開いた。

 赤い玉は、まだ宝石にしか見えなかった。


「少しずつです」


 ネアが言う。


「分かってる」

「昨日は、少しずつ最大まで入れると言いました」

「今日は少しだけ入れる」

「最大は付けませんね」


 シアは玉へ指を近づけた。

 指先から、ごく細い赤橙色の力を流す。

 炎にはしない。熱も持たせない。

 玉はシアの力を吸い込み続けた。


◆ 器が目覚める


 最初は、何も変わらなかった。

 しばらくすると、玉の内側へ小さな赤い光が灯る。

 表面が光ったのではない。

 奥へ沈んでいた色が、内側から明るくなっている。


「動いた」


 シアが指を離す。

 赤い玉が布から浮いた。

 数センチだけ上がり、その場に止まる。

 次に、シアの手の周囲をゆっくり回った。


「声は?」


 セトが尋ねる。


「ない」

「記憶は?」

「ない。何も考えてない」


 過去の精霊王が目覚めたわけではない。

 シアの力を受け入れ、器として動き始めただけだった。


◆ 周りを回る玉


 シアが右へ歩く。

 赤い玉も付いてくる。

 肩の高さを保ち、少し遅れて円を描いた。


「動かしているのはシアですか」


 ネアが尋ねる。


「たぶん」

「止めてください」


 シアが意識を向けると、玉の動きが止まった。


「上」


 玉が上がる。


「左」


 左へ動く。


「後ろ」


 シアの背後へ回った。


「考えた方向へ動く」

「自分で判断している感覚は?」

「ない。手を動かすより、火を動かす感じに近い」


 分霊核は命令を聞いているのではない。

 シアが自分の力の延長として動かしていた。


◆ 動かせる距離


 ネアは地面へ印を付けた。


「少しずつ離してみてください」


 シアは玉を前へ動かす。

 三メートル。

 五メートル。

 その距離では、まだ自由に上下へ動かせた。


 さらに離す。

 八メートルを越えた辺りで、動きが少し鈍くなった。

 十メートル近くまで進むと、玉が小さく揺れる。


「ここから先は重い」

「戻してください」


 玉はシアの近くへ戻り、再び肩の周囲を回った。


「知識にある範囲と一致します。実戦では、余裕を持ってさらに近くへ置いた方がよいでしょう」

「十メートルまで行ける」

「行けることと、そこで細かく扱えることは別です」



※第35話「最初の分霊核」は全五回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。