↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第35話 最初の分霊核

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
209/232

(一)祭具の赤い玉

◆ 半日先の町


 翌朝、三人は樹海の近くに置かれた詰め所を出た。

 森の外縁に変化はない。

 新しい木が生えたという報告も、樹の精霊王が姿を現したという報告も届いていなかった。


「今日のうちは動かないと思います」


 ネアが森の方角を見る。


「絶光で空白になった場所へ、周囲から原光が戻るには時間がかかります」

「戻ったら、また増やす」


 シアが言った。


「可能性は高いです」

「その前に分霊核を見つける」

「候補が本物なら、ですが」


 町までは、樹海を避けて半日ほどだった。

 街道は遠回りになっていたが、通れなくなった区間には兵士が立ち、旅人へ迂回路を伝えている。

 三人は昼前に町へ着いた。


◆ 情報を持つ商人


 伝令から聞いた商人の店は、市場通りの端にあった。

 店先には布、香辛料、金具、装飾品が並んでいる。

 一つの品を専門に扱う店ではない。

 各地から買い集めた物を、別の場所へ運んで売る商人だった。


「加工できない宝玉を探している方々ですね」


 商人は、セトたちが名乗る前に言った。


「昨日、兵士から話が来たばかりですが、思ったより早かった」

「赤いものを探している」


 シアが店の奥へ入る。


「赤くて、小さくて、削れない玉だ」

「その条件なら、三つほど聞いたことがありますね」

「三つもあるのか」


 セトが聞き返した。


「三つまで減った、と考えましょう」


 ネアが言う。

 大陸中を歩いて探すよりは、はるかに少ない。

 だが、三つはそれぞれ別の場所にあった。


◆ 三つの候補


 商人は帳面を開いた。


「一つ目は、町の西にある小さな祠の祭具です。赤い玉が金具へはめ込まれています」

「削れない?」

「何代か前に金具を直そうとした職人が、玉だけは傷一つ付けられなかったそうです」


 二つ目は、町の南にある加工場へ持ち込まれた古い魔道具の部品だった。

 赤く丸い核が内部へ入っており、外そうとしても壊せなかったという。


「三つ目は?」

「宝石商が持っています」


 赤い小さな玉。磨かれた形に見えるが、削った跡はない。ルビーでもガーネットでもなく、どの種類の宝石か分からない。


「売り物なのか」

「一応は。ただ、加工できないので値を付けにくく、長く保管したままだそうです」

「どれが本物か分かる?」


 シアが尋ねる。


「説明だけなら、どれも近いです」


 ネアが答えた。


「実物の近くで、シアが確かめるしかありません」


◆ 人の手で絞る


「最初にどこへ行く」


 セトは帳面の三か所を見る。


「近い順なら祠です」


 商人が答えた。


「魔道具の加工場は、その次。宝石商は町の反対側です」

「なら、その順だ」

「私も同行しましょう」


 商人が帳面を閉じる。


「祠の管理人も加工場の職人も、突然見せてほしいと言われてすぐに応じるとは限りません。私が話を通した方が早い」

「助かる」


 セトが言った。

 分霊核を見分けられるのはシアだけだった。

 だが、どこにあるかを絞ったのは、人間が残した話と商人の記憶だった。

 精霊王の感知だけでも、人間の情報だけでも見つけられない。

 前日に決めた探索方法が、初めて形になっていた。


◆ 祭具の赤い玉


 祠は町の西門に近い場所にあった。

 石造りの小さな建物で、旅の安全と火除けを願う者が立ち寄る。

 祭壇の中央に、赤い玉が置かれていた。

 金属の輪へ挟まれ、炎をかたどった飾りに囲まれている。


「火の精霊王に関係する祭具なのですか」


 管理人がシアを見る。


「分からない。今から見る」


 シアは祭壇から数歩離れた。

 赤橙色の精霊力を、熱へ変えずに薄く広げる。

 力は床と壁へ触れ、祭壇をなぞり、シアのもとへ返った。


「違う」

「もう分かったのか」


 商人が尋ねる。


「全部返ってきた」


 シアは赤い玉へ近づいた。

 触れてみても、何も吸い込まれない。

 精霊力を受け入れる器ではなかった。



※第35話「最初の分霊核」は全五回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。