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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第33話 宝石に見える器

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(五)探す順番

◆ 探す者を分ける


「ほかの次代にも分霊核がある?」


 シアが尋ねる。


「可能性はあります。ただし、その属性の精霊王でなければ確認できません」


 氷の分霊核が存在しても、シアやネアには探せない。

 樹、土、晶も同じだった。


「今は、その本人たちが問題を起こしている」


 セトが言う。


「探すよう頼んでも、何に使うか分かりませんね」

「役割を広げるために使う」


 シアが答えた。


「その可能性が高いです」


 現在の世界へ適応する前に分霊核を渡せば、被害を大きくするかもしれない。


「まずは火と月です。リグが協力するなら雷。フィオラについては、本人が必要だと判断してからにします」

「全部を一度に集める話ではない」

「ええ。扱う者の状態も確認する必要があります」


◆ 広すぎる世界


「二人で歩きながら探せば、そのうち見つかるか」


 シアが尋ねる。


「大陸中を隙間なく歩くつもりですか」

「それは時間がかかる」

「ですから、先に範囲を絞ります」


 分霊核が近くにあれば、精霊王は流れの欠け方から位置を探せる。

 しかし、どの国にあるかも分からない状態では、探す範囲が広すぎる。

 山中へ落ちたままかもしれない。遺跡の土に埋まっているかもしれない。人間が拾い、何百年も別の場所へ運ばれているかもしれない。


「昔の精霊王が消えた場所は分からないのか」

「知識には残っていません」

「歴史書は?」

「精霊王の死が、正確な場所まで人間の記録へ残るとは限りません」

「なら、今ある石の情報を探す方が早い」

「ええ」


◆ 探す順番


 ネアは地図の端へ、三つの印を付けた。


「最初に、人間側の情報で候補を集めます」


 商人が扱った記録。宝石を集める者の所蔵品。加工できずに返された石。古い家や寺院、城の倉庫に残る品目。


「次に、その候補がある地域まで行き、わたしたちが力を薄く広げます」

「最後に触って確かめる」

「反応が明確なら、近づく前に分かるでしょう。ただ、箱の中や地下にある場合は、最後の確認が必要になるかもしれません」

「候補を全部持ってきてもらう方が早い」


 シアが言う。


「偽物も、似た石も、関係のない宝石も、一か所へ集まります」

「行く方が早い?」

「候補が少なければ」


 探す方法が分かっても、簡単に見つかるわけではない。

 人間の情報で範囲を狭め、精霊王の感知で確かめる。

 どちらか一方だけでは足りなかった。


◆ 人間の中にある情報


 昼を過ぎた頃、三人は街道沿いの小さな詰め所へ着いた。

 森の異変を調べる兵士が、通行する者へ迂回路を伝えている。

 セトは水と食料を受け取り、机を借りた。


「探す条件をまとめる」


 紙の上へ、シアとネアが話した特徴を書く。

 赤または黒の小さな宝玉。人間の道具では削れない。穴を開けられない。魔道具としての力は確認できない。一般的な宝石の種類へ当てはまらない。


「これを各国へ伝えるのですか」


 兵士が紙を見る。


「まずは記録を探してもらう。宝物庫、商人、宝石を集める者、加工職人」

「回収しますか」

「しない。所在の確認だけだ」

「見つけた者から取り上げるのではないのですか」

「持ち主がいるなら、まず説明する」


 セトは紙から顔を上げた。


「買うのか、借りるのか、譲ってもらうのかは、その後だ。精霊王のものだったから返せだけでは通らない」

「元は私たちの力」


 シアが言う。


「今持っている人間が盗んだとは限らない」

「拾ったかもしれない」

「何代も前から家にあるかもしれません」


 ネアも続ける。

 見つけることと、手に入れることは別だった。

 強い武器になると広まれば、奪おうとする者が出る。

 価値があるとだけ伝われば、価格をつり上げる者も出る。


「精霊王に関係することも、必要以上には広めないでくれ」

「承知しました」

「加工できない石を持っている者へ、処分せず保管するよう伝えるだけでもよいですか」

「それでいい。移動させると、こちらが探した時に位置が変わる」

「報告には、持ち主と現在地を付けます」

「頼む」



※第33話「宝石に見える器」は全六回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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