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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第33話 宝石に見える器

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(三)七つの器

◆ 七つの器


「いくつまで使える」

「知識の上では、七つほどです」


 ネアは残る小石も集めようとして、三つしか拾っていないことに気づいた。

 シアが近くから五つ拾い、地面へ並べる。


「七つ」

「ありがとうございます」


 中央の一つをネア本人とし、その周囲へ七つの石を置く。


「ただし、七つを持てることと、七つすべてを別々に精密操作できることは同じではありません」

「手が七本増えても、考える頭は一つ」


 セトが言う。


「ええ。独立して戦術へ組み込める数には限界があるはずです」


 多く持てば、それだけ力を蓄える場所は増える。

 しかし、それぞれを違う方向へ動かし、違う術を使わせるには、精霊王自身がすべてを制御しなければならない。


「七つ並べて、全部から同時に撃つ」


 シアが言った。


「知識の上では、今のわたしたちに簡単にできる使い方ではありません」

「七つあるのに?」

「七つへ同じだけ意識を向け、同じ瞬間に同じ術を成立させる必要があります。数が増えれば、ずれも増えます」

「一つずつ撃つ」

「それなら可能性は高いです」

「七つ順番に撃てば、七回」

「蓄えた量が足りれば、ですが」


 シアは、できないと言われた時より納得した顔をした。


「実際にどこまで扱えるかは、手に入れてみなければ分かりません」

「まず一つもない」


 シアが並べた石を見た。


「ええ。今は全部、普通の石です」


◆ 原光のない場所


「絶光で周囲の原光をなくした時にも使えるのか」


 セトが尋ねる。

 古代兵器との戦いでは、再生を止めるために周囲の原光を枯らした。

 その間は、敵だけでなくシアや味方の術士も、周囲から力を集められなくなった。


「使えます」


 ネアはうなずいた。


「分霊核の内部へ事前に蓄えておけば、外から原光を集められない状態でも、一定時間は動けます」

「ネアが全部なくして、私だけ分霊核から出す」

「火の分霊核があれば可能です」

「ずるい」

「敵から見れば、そうでしょうね」


 絶光で相手の力を止めた後、自分たちまで動けなくなる必要がない。

 今回の次代精霊王にも、周囲の原光を大きく動かす者がいる。

 分霊核があれば、相手の役割を止めた後にも、こちらだけが行動を続けられる可能性があった。


◆ 精霊剣になった時


「シアかネアが剣になったら、分霊核はどうなる」


 セトが尋ねる。


「使い手の周囲へ移ります」


 ネアは、中央に置いていた石をセトの足元へ動かした。

 七つの小石も、その周囲へ並べ直す。


「操作するのは、基本的には精霊王です。使い手は精霊剣を扱い、わたしたちが分霊核を動かす形になるはずです」

「はず?」

「わたしも実際に使ったことはありません」

「知識どおりに動く保証はない」

「大きく外れるとは思いませんが、細かな感覚までは分かりません」


 シアはセトの周りへ置かれた石を見た。


「私が剣で攻撃する。セトが振る。分霊核でも攻撃する」

「全部を同時に考える必要があります」

「やってみれば分かる」

「まず見つけてください」

「それが先だった」


◆ 宝玉の形


 ネアは小石を拾い上げた。


「分霊核は、この石よりも丸く、宝玉に近い形をしています」

「大きさは?」

「小さいものです。人間が宝石として持ち運べる程度です」

「見れば分かるか」

「わたしたちなら、同じ属性のものへ触れれば分かる可能性が高いです」

「人間は?」

「珍しい宝石に見えるだけでしょう」


 分霊核そのものは、強い精霊力を放っていない。近づけば誰でも圧力を感じるわけでもない。触れた人間へ力を与えることもない。


「危険なものなら、祠に置かれていたかもしれません」


 ネアが言う。


「強い力があれば、兵器や魔道具として記録されたでしょう。しかし、何も起こらない小さな玉です」

「きれいなだけ」

「人間から見れば、そうです」


◆ 加工できない石


「ただし、人間の道具では加工できません」

「切れない?」

「削ることも、穴を開けることもできません」


 宝石として形を整えようとしても、表面が変わらない。


「なら、珍しい石として有名になるんじゃないか」


 セトが尋ねる。


「一つの場所へ残っていれば、そうなるかもしれません」


 しかし、魔法的な効果はない。大きな宝石でもない。加工できなければ、指輪や首飾りへ使いにくい。

 価値を見いだす者もいれば、使い道がないとして倉庫へ入れる者もいる。


「金具で挟めば飾りにはできる」


 シアが言った。


「ええ。装飾品の一部になっている可能性もあります」

「宝物庫、商人の在庫、誰かの飾り」

「ほかの宝石へ混ざったまま、箱の底にある可能性もあります」



※第33話「宝石に見える器」は全六回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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