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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第6話 二人一組の大会

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(三)火の通り道

◆ 四組


 準々決勝が終わり、残ったのは四組になった。


 次は準決勝。


 勝てば決勝へ進める。


 控え場所から、別の準々決勝が見えた。


 大剣を持った男が、相手の防御を正面から打ち破る。


 その後ろでは、細い杖を持った相方が風を操り、敵の足を止めていた。


 二人の動きに迷いがない。


 大剣の男は、相手が倒れる前に刃を止めている。


 力だけでなく、手加減にも慣れていた。


「あれが次の相手だ」


 セトが言った。


「強いのか」


「今までの二組よりはな」


「わたしが倒す?」


「援護だ」


「まだか」


「大会が終わるまでだ」


 試合を終えた大剣の男が、セトたちの方を見る。


 視線はセトではなく、シアへ向いていた。


 白炎を作っているのがシアだと気づいているらしい。


「次はお前を先に狙うだろうな」


「またか」


「今度は火を置くだけでは止まらないかもしれない」


「なら燃やす」


「威力は抑えろよ」


◆ 準決勝


 準決勝が始まった。


 大剣の男が前へ出る。


 杖の使い手は後方に残らず、斜め横へ移動した。


 セトとシアを正面から分けるつもりらしい。


「始め!」


 大剣の男はセトではなく、シアへ向かった。


 同時に、杖の使い手がセトへ風を放つ。


 強い横風が舞台を走る。


 セトは白刃を石床へ突き立て、押し流されるのを防いだ。


「シア、避けろ!」


 大剣が振り下ろされる。


 シアは横へ動いた。


 刃が石床へ当たり、鈍い音を立てる。


 シアが小さな火を放つ。


 男は大剣の腹で受けた。


 火は弾けたが、男の動きは止まらない。


「弱いな」


「弱くしろと言われている」


「なら、先に場外へ出てもらう」


 大剣が横へ振られる。


 シアは後ろへ下がった。


 舞台の端まで、まだ距離はある。


 だが、このまま押され続ければ場外になる。


◆ 分けられた二人


 セトは白刃を振り、正面の風を切った。


 風そのものを斬り消すことはできない。


 それでも、精霊力の流れを乱せば、一瞬だけ弱くなる。


 そこを抜けようとする。


 杖の使い手が次の風を放つ。


「行かせない」


 風が壁のように立ちはだかった。


 セトが前へ進めない間に、大剣の男がシアを追い詰めていく。


「シア!」


「聞こえている」


「火を俺に飛ばせるか」


「風が邪魔だ」


「相手に当てなくていい。上へ飛ばせ!」


 シアが指を向ける。


 小さな火が、セトの頭上より高い場所へ放たれた。


 横風に押され、火は大きく流される。


 白刃から遠い。


「届かないぞ」


「分かっている」


 シアは二つ目の火を放った。


 最初の火より高い。


 風に流され、舞台の外へ消える。


「何をしている」


 大剣の男がシアへ迫る。


「援護だ」


「どこを狙っている?」


「今、考えている」


◆ 火の通り道


 三つ目の火が上がった。


 また風に流される。


 だが、今度は消えなかった。


 横風に乗り、杖の使い手の前を通過した。


 相手がわずかに身を引く。


 風の向きが変わった。


「セト」


「ああ」


 シアは、風を止めようとしていたのではない。


 火を流すことで、相手が風を向ける先を確かめていた。


 四つ目の火が放たれる。


 今度はセトの正面ではなく、少し後ろへ。


 杖の使い手が風を曲げる。


 火は弧を描き、セトの横を通った。


「次だ」


 セトは白刃を高く構えた。


 五つ目の火が飛ぶ。


 風に流され、横から白刃へ近づく。


 セトは一歩だけ下がり、刀身を火の通り道へ差し込んだ。


 火が白刃へ触れる。


 白い炎が燃え上がった。


◆ 風を破る


 セトは白炎へ力を回した。


 火が強くなる。


 今回は人間を斬るためではない。


 正面を塞ぐ風の術を崩すためだ。


 白炎を振り抜く。


 高密度に集めた白刃が風を形作る精霊力へ食い込み、炎がその流れを乱した。


 風の壁が左右へ割れる。


「なっ」


 杖の使い手が目を見開いた。


 セトは割れた風の間を走る。


 相手が新しい風を作るより早く、白炎の切っ先を杖へ当てた。


 炎の威力を落とす。


 白刃だけを短く振り、杖を中央から斬った。


 杖の先が石床へ落ちる。


「降参するか」


 杖の使い手が下がる。


 それでも、両手を前へ出して風を集めようとした。


 セトは白刃を消し、短剣状に作り直す。


 足元へ投げた。


 白い刃が石床へ刺さる。


 相手の動きが止まった。


「……降参する」


 一人目が手を上げた。



※第6話「二人一組の大会」は全四回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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