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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第6話 二人一組の大会

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(二)相手を動かす火

◆ 次の相手


 初戦を終えた八組が、準々決勝へ進んだ。


 次の相手は、二人とも武器を持っていた。


 一人は細身の剣。


 もう一人は、短い槍を二本。


 舞台へ上がる前から、二人はセトとシアの動きを観察している。


「あの少女は火を飛ばすだけだ」


 槍の男が相方へ言った。


「先に潰す」


 聞こえるように言ったのか、隠す気がないだけなのか。


 シアが男を見る。


「潰すと言われた」


「相手の狙いが分かってよかったな」


「先に倒していいか」


「駄目だ」


「向こうはわたしを狙う」


「避けながら援護しろ」


「前に出るな?」


「ああ」


「面倒だ」


「何度目だよ」


◆ 準々決勝


 試合開始と同時に、槍の男がシアへ向かった。


 セトの前には剣の男が立つ。


 完全に二人を分断するつもりだった。


 剣が振り下ろされる。


 セトは白刃で受け止めた。


 相手の刃を外へ流し、肩へ斬り返す。


 剣の男は素早く下がった。


 その間に、槍の男はシアへ迫っている。


「前へ出るなと言われた」


 シアが言った。


「なら、そのまま場外へ出ろ!」


 二本の槍が左右から突き出される。


 シアは一歩だけ下がった。


 槍の穂先が届く直前、男の足元に小さな火が生まれる。


 男は反射的に横へ跳んだ。


 シアは逃げない。


 男が着地する場所へ、次の火を置く。


「くっ」


 槍の男がさらに横へ動く。


 火はどれも、触れれば少し熱い程度だった。


 だが、どの程度の威力か分からない男は、踏み込むことができない。


 シアは火を一つずつ置き、相手の進む方向を変えていく。


「セト」


 呼ばれて、セトは剣の男を押し返しながら横目で見る。


 槍の男が、シアの火に追われてこちらへ近づいていた。


「そういうことか」


◆ 一か所へ


 セトは白刃を横へ振った。


 見えている刀身より先まで届いた斬撃に、剣の男が大きく下がる。


 そこへ槍の男が入り込んだ。


 二人の相手が、舞台の中央で重なる。


「邪魔だ!」


「お前が来たんだろ!」


 相手同士の動きが一瞬止まった。


 シアがセトを見る。


「これでいいか」


「ああ」


 セトは白刃を短くし、二本の短剣に分けて続けざまに投げた。


 一つは槍の男が持つ右の槍を弾く。


 もう一つは剣の男の足元へ刺さった。


 二人の注意が白い短剣へ向く。


 その間に、セトは新しい白刃を作って距離を詰めた。


 槍の男の胸元へ柄を叩き込む。


 男が倒れた。


 剣の男が斬りかかる。


 セトは白刃を作り直し、刃を受ける。


「今だ、シア!」


◆ 白炎の合図


 小さな火が飛んだ。


 狙いは相手ではない。


 セトが持つ白刃へ、まっすぐ向かってくる。


 火が白い刀身へ触れる。


 白い炎が、刃の表面を走った。


「何だ、それは」


 剣の男が目を見開く。


 セトは炎へ流れる力を絞った。


 白炎は刀身を薄く包むだけになる。


 見た目ほどの熱はない。


 それでも、相手には分からない。


 剣の男が白炎を警戒し、大きく距離を取った。


「弱くしたのか」


 シアが後ろから尋ねる。


「人間相手だからな」


「強くすれば剣ごと壊せる」


「壊さなくていい」


 セトが踏み込む。


 剣の男は白炎を受けることを避け、さらに後ろへ下がった。


 舞台の端が近い。


 セトは正面から白炎を振る。


 男が横へ逃げる。


 逃げた先には、シアが置いた小さな火があった。


 男は足を止めた。


 セトは白炎を消し、白刃の柄で男の腹を打つ。


 体勢を崩した男が、舞台の外へ落ちた。


◆ 二度目の勝利


 審判がセトたちの勝利を告げた。


 観客席から、大きな歓声が上がる。


 白い炎をまとった剣が珍しかったのだろう。


 舞台を下りると、シアがセトの白刃を見た。


「ほとんど燃えていなかった」


「相手に当てるつもりはなかったからな」


「では、なぜ白炎にした」


「相手が警戒した」


「見た目のためか」


「前にも言っただろ。強そうに見えれば、斬らずに動かせることがある」


「相手は白炎の強さを知らない」


「知らないから効くんだよ」


 シアは考え込んだ。


「弱くした方が、相手がよく動いた」


「ああ」


「強くしていたら?」


「剣で受けたかもしれないな」


「壊せた」


「だから壊す必要はない」


「手加減は難しい」


「少しは意味が分かったか?」


「弱くした方が便利な時がある」


「そういうことだ」


「だが、倒すなら強い方が早い」


「そこから離れろ」



※第6話「二人一組の大会」は全四回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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