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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第5話 白炎

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(四)白炎

◆ 黒刃では


「黒刃でも試すか」


 セトは白炎を消した。


 白刃も光の粒へ戻し、代わりに左手へ黒刃を作る。


 周囲の光が押しのけられ、剣の形をした空白が現れた。


「同じように火を飛ばせ」


「小さくか?」


「最初はな」


 シアが指先へ火を灯す。


 小さな炎が黒刃へ向かう。


 触れた瞬間、火の形が崩れた。


 黒刃へ乗る前に、赤い光が周囲へ散って消える。


「駄目だな」


「黒刃には、火へ変える力がない」


「何もないからな」


「ああ。白刃は力を集めている。黒刃は力を外へ出している」


 シアはもう一度、少し強い炎を送った。


 結果は同じだった。


 火は黒刃へ触れたところから崩れ、刀身を包むことなく消える。


「無理に乗せると、火の方が消える」


「敵の炎なら使えるが、白炎のようにはならないな」


「白い方だけか」


「ああ」


◆ 白炎


 セトは黒刃を消し、再び白刃を作った。


 シアも指先へ小さな火を灯す。


「もう一度だ」


「ああ」


 シアが火を飛ばす。


 今度は狙いを外さない。


 火が白刃へ触れ、白い炎となって刀身を包んだ。


 セトが意識を向ける。


 炎が強くなる。


 力を絞れば、炎は小さくなる。


「名前が要るな」


 シアが言った。


「急だな」


「白刃と区別できない」


「白い炎だから、白炎でいいだろ」


「そのままだな」


「白刃と黒刃を付けた一族に言え」


 シアは少し考えた。


「白炎でいい」


「結局そのままか」


 白炎は、セトだけの精霊術ではない。


 シアだけの火でもない。


 セトが白刃を作り、形を保つ。


 シアが火を乗せる。


 その後の強さは、白刃を握るセトが調整する。


 二人の力が揃って、初めて成立する剣だった。


◆ 二人で戦う


「大会でも使えるな」


 セトが言った。


「強く使うのか」


「相手による」


「弱くするのか」


「相手が人間ならな」


「やはり意味が分からない」


「それでも勝手に強くするなよ」


 シアは小さくうなずいた。


「セトが前で戦う」


「ああ」


「わたしが後ろから火を送る」


「ああ」


「セトが遅ければ、わたしが相手を倒す」


「そこは援護しろ」


「今日も援護した」


「狙いを外しただろ」


「結果的に強くなった」


「毎回そうなるとは限らない」


「今度は白刃を狙う」


「最初からそうしてくれ」


 シアは少しだけ満足そうに白炎を見た。


「これなら、二人で戦っている」


「最初からそう言ってる」


◆ 開催地


 練習を終え、二人は街道へ戻った。


 夕方になる頃、遠くに町の外壁が見えてきた。


 門の上には、大きな旗が掲げられている。


 二本の剣が交差した、大会の紋章だった。


 街道には、武器を持った旅人が増えている。


 二人組で歩く者も多い。


「あそこか」


 シアが町を見た。


「ああ」


「魔剣もある」


「本物ならな」


「優勝すれば分かる」


 シアは迷いなく町へ向かって歩いていく。


 セトもその後を追った。


 優勝賞品の魔剣が、探しているものかは分からない。


 それでも、確かめるためには大会へ出る必要がある。


 そして今の二人には、ただ強いだけではない、新しい剣が一つ増えていた。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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