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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第22話 過ぎ去るのを待てない

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(五)自然に逆らう

◆ 自然に逆らう


 リグが小さく笑った。


「精霊王を相手にするどころか、世界の戻り方へ逆らうのか」

「嫌か」


 セトが尋ねる。


「いや。世界が勝手に決めたから従う、というのは好かない」

「俺もです」


 ハルヴェンが言った。


「いつか別の世界が始まるから、今の人間は諦めろと言われても納得できません」


 シアは二人を見た。


「最初からそう言えばいい」

「何をだ」

「今いる者を助ける」

「そのための方法を考えている」

「なら、待たない」

「ああ」


 ネアはすぐには加わらなかった。

 知識では、待つことが通常の対処だった。

 それでも、東へ消える流れを見たまま、静かに言う。


「わたしも、待つべきだとは思いません」

「すぐに止める方法が見つからない場合は?」


 ハルヴェンが尋ねた。


「取り込みを遅らせる方法も探す」


 セトが答えた。


「完全に助けられなくても、時間を増やせれば、世界の回復が追いつくかもしれない」

「何で遅らせる」


 シアが聞く。


「それを調べる。人間とのつながりが境界を保つなら、残った精霊王を誰かが一個人として認識し続けることも助けになるかもしれない」

「精霊剣になっていなくても?」

「同じ強さではないでしょう」


 ネアが言う。


「ですが、名前、記録、祈り、直接のつながり。境界を保つものが何もないよりはよい可能性があります」

「可能性ばかりですね」

「確実な方法がないからです」

「なら、可能性も集める」


 セトはそう決めた。


◆ 方法の条件


「止めるなら、何が必要だ」


 セトが尋ねた。


「少なくとも三つあります」


 ネアは指を一本立てた。


「まず、眠りの王へ届くこと。中核位置へ近づく前に取り込まれては何もできません」


 二本目。


「眠りの王と、取り込まれた精霊王を区別すること。すべてをまとめて消せば、役割まで世界から失われます」


 三本目。


「分けた役割を、世界へ返すこと。空白だけを消しても、火や水を担うものが戻らなければ意味がありません」

「届く。分ける。返す」


 シアが言った。


「簡単に言えば」

「それができれば止められる?」

「可能性はあります」

「できなければ?」

「眠りの王を大きくするか、世界の役割まで消すことになります」

「失敗できないな」


 リグが言った。


「目標を決める」


 セトが地図の空いた場所へ線を引いた。


「眠りの王を再び眠らせる方法」

「原光が足りない」


 シアが言う。


「今すぐには難しい。次だ」

「取り込まれた精霊王を引き離す方法」


 ネアが言った。


「引き離せれば、眠りの王の力も減る可能性があります」

「個人として戻せなくても、役割を世界へ返せるかもしれない」

「ええ」

「最後は?」


 リグが尋ねた。

 セトは少し考えた。


「眠りの王そのものを消滅させる方法」

「倒すものではないと言っただろう」


 シアがネアを見る。


「通常は、です」

「今回は通常ではない」

「ええ」


 待てないなら、知識にない方法を探すしかなかった。


◆ 探すべきもの


「消滅させれば、取り込まれた精霊王も消えるかもしれません」


 ネアが言った。


「眠りの王だけを分けられなければ、助ける方法にはなりません」

「なら、分けてから消す」


 シアが言う。


「簡単に言いますね」

「必要なことは分かった」

「方法が分かっていません」

「これから探す」


 セトは地図を畳んだ。


「残っている精霊王。過去に眠りの王が現れた記録。原光の空白へ干渉できる術や道具。何でもいい」

「何でも試すわけではないと言ったばかりでしょう」

「試す前に調べる。候補は広く集める」

「それなら構いません」


 東へ消える線は、まだ残っていた。

 世界が先に回復するのを待つことはできない。

 今の世界を終わらせないために、自然にはない終わらせ方を探す。

 その方針だけが、ようやく決まった。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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