↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第21話 目覚める眠り

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
119/255

(五)取り込まれた王たち

◆ 取り込まれた王たち


「では、ほかの精霊王は眠りの王に倒されたのか」


 ハルヴェンが尋ねた。


「倒した、という表現は正確ではありません」


 ネアが答える。


「戦った形跡がないからか」

「それもあります。しかし、眠りの王は相手を倒そうとはしません」

「何もしないのか」


 シアが尋ねる。


「取り込みます」

「それは攻撃ではないのか」

「眠りの王からすれば、違うのでしょう」

「相手が嫌なら攻撃だ」


 シアは即座に言った。


「その考え方は間違っていません。ですが、眠りの王に相手の意思を判断する部分があるかも分かりません」

「意思がない?」

「人格があるかどうかも不明です」

「精霊王なのに?」

「通常の精霊王ではありませんから」


 リグがネアの前に残っている流れを見る。


「取り込まれた精霊王は、中で生きているのか」

「生きている、という言葉をどこまで当てはめるかによります」

「個人としては?」

「確認できません」


◆ 混ざる役割と人格


「役割は残っている」

「ええ」

「力も?」

「残っています」

「では、人格だけが消えた?」

「それほど単純ではありません」


 ネアは三本の異なる色の流れを作った。

 赤。銀青色。紫白色。


「精霊王は、役割と力と人格が完全に別々のものではありません」


 三本の流れが、それぞれ人の輪郭を作る。


「火をどのように使うか。何を燃やし、何を残すか。それは役割だけでは決まりません。個人の判断が混ざります」


 赤い輪郭が腕を伸ばす。

 銀青色の輪郭は一歩下がる。

 紫白色の輪郭は前へ踏み出す。


「同じ状況でも、シア、わたし、リグでは動き方が違います」

「わたしは前へ行く」

「俺も前へ行く」


 リグが言った。


「同じではないか」

「俺は周囲を見る」

「わたしも見る」

「見たあと、お前はすぐ殴る」

「リグも雷を落とす」

「必要か確かめてからだ」

「わたしも必要だから殴る」

「二人とも、話を戻してください」


◆ 眠りと呼ばれる理由


 ネアが言った。


「やはり似ているな」


 セトが小さく言う。

 シアとリグが同時にセトを見た。


「今はそこではありません」


 ネアは三つの輪郭を近づける。


「眠りの王は、役割だけを奪って人格を捨てるのではありません。すべてを同じ場所へ入れます」


 赤と銀青と紫白が重なった。

 色が濁ることはなかった。

 どれか一色になることもない。

 境界だけが消えた。

 腕の位置。顔の向き。立っていた場所。

 すべてが分からなくなり、一つの形とも呼べない光になった。


「誰の力か分からない」


 ハルヴェンが言った。


「誰の判断かも分からなくなります」

「中で話すことは?」

「話すためには、自分と相手が分かれている必要があります」

「分かれていないから、話せない」

「ええ」

「なら、眠っているのと同じか」


 シアが言った。

 ネアは頷いた。


「それが、眠りの王と呼ばれる理由です」


◆ 眠りの中の力


「死んでいるわけではない」

「役割も力も残っています」

「でも、起きてもいない」

「個人として働くことはできません」

「だから眠りか」

「ええ」


 セトは境界を失った光を見る。


「眠りの王が、精霊王の力を使っているのか」

「使う、という意識があるかは分かりません。ただ、取り込まれた力は眠りの王の一部になります」

「大きくなっている?」

「おそらくは」


◆ 残った王たち


「何人取り込まれた」

「正確には分かりません」

「分かる範囲では」


 ネアはしばらく黙った。


「少なくとも、リグとわたしが所在を確かめようとした精霊王の多くは、同じように流れが消えています」

「全員ではない?」

「個人としての輪郭を残している者もいます」

「無事なのか」

「それも分かりません」


 ネアは別の細い流れを示した。

 その流れは眠りの王へ消えてはいない。

 だが、まっすぐ進むこともなく、不規則に揺れていた。


「形は残っています。しかし、流れが乱れています」

「原光を奪われた影響か」

「それだけではないかもしれません」

「眠りの王の影響も受けている?」

「可能性はあります」


 ネアはそれ以上、断定しなかった。

 眠りの王へ取り込まれずに残った精霊王も、以前と同じ状態とは限らない。

 古代兵器によって原光を奪われた。

 その結果、眠りの王が活性化した。

 二つの異常を受けながら、それまでどおりでいられる保証はなかった。



※第21話「目覚める眠り」は全九回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。