↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第20話 来なかった精霊王たち

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
110/258

(二)噂の二本

◆ 噂の二本


 ハルヴェンは三人の会話を聞きながら、セトを見ていた。


「あなたがセトさんだったんですね」

「さっき名乗っただろ」

「名前は聞きました。ただ、噂の人物と同じだとは、まだ確認できていませんでした」

「噂?」

「東へ向かう途中で聞きました」


 ハルヴェンはシアとネアを見る。


「火と月。二人の精霊王を、それぞれ精霊剣として使う剣士がいると」

「もう噂になっているのか」


 セトが眉を寄せる。


「ローディア王国で、古代兵器を次々に倒していましたからね。兵士や術士だけでも、かなりの人数が見ています」

「使う、ではありません」


 ネアが言った。


「わたしたちが、自分の意思で身を預けています」

「はい。今は理解しています」

「噂は違ったのか」


 シアが尋ねる。


「完全に間違っているわけではありません。ただ、二人の精霊王を剣に従わせているとか、二本の精霊剣を同時に振るっても疲れないとか、いろいろ混ざっていました」

「従わせていない」


 セトが言う。


「疲れないというのも違う」

「それは見れば分かります」


 ハルヴェンは、岩陰から起き上がることもできないセトを見る。


「噂を聞いた時は、もっと人間をやめているような方を想像していました」

「失礼だな」

「二人の精霊王を同時に扱い、巨大な古代兵器を倒し続けても平然としている人物ですよ。普通の人間とは思えません」

「平然とはしていない」

「ええ」


 ハルヴェンは頷いた。


「今は指も満足に動かせないようですし、少なくとも人間としての限界はあるのだと分かって、少し安心しました」

「安心するところか」

「同じ人間だと分かるのは大事です」

「俺は最初から人間だ」

「噂だけを聞くと、少し疑いたくなります」


 セトはもう一度腕を動かそうとした。

 指がわずかに曲がっただけだった。


「少し休めば動ける」

「そこも人間らしくて安心します」

「褒めているのか」

「褒めています」

「そうは聞こえない」


 ハルヴェンの口元が少し緩んだ。


◆ 轟雷


「そういえば、さっきの剣には名前があるのか」


 シアが尋ねた。


「轟雷だ」


 リグが答える。


「俺がハルヴェンへ身を預けた、雷の精霊剣の名だ」

「ゴウライ」

「そうだ」

「分かりやすい」

「極炎も似たようなものだろう」

「そうか?」

「火の力を極めた炎。雷を轟かせる剣。方向は同じだ」

「絶光は?」


 シアがネアを見る。


「光を絶つ剣です」

「同じだな」

「わたしまでまとめないでください」

「嫌なのか」

「嫌とは言っていません」


 リグはハルヴェンの肩へ手を置いた。


「それに、ハルヴェンはすごいぞ。二つの極大技を使う」

「見た」


 シアが答えた。


「バリバリ飛ばすのと、ズドンと通すやつ」


 リグの眉が動いた。


「……もう少し言い方があるだろう」

「分かればいい」

「俺も、戦っている最中はだいたい同じ認識です」


 ハルヴェンが言った。


「お前までそちらへ行くな」

「実際、広く雷を伝える技と、一点を貫く技ですから」

「だから、それぞれに名前がある」


 リグはシアへ向き直った。


「広範囲へ雷撃を伝播させるのが――」

「バリバリ」

「最後まで言わせろ。万雷だ」

「分かった。万雷」

「高速で一点を突破するのが――」

「ズドン」

「先に言うな。迅雷だ」

「分かった。迅雷」

「本当に分かったのか」

「万雷がバリバリで、迅雷がズドン」

「結局そちらで覚えているではないか」


 シアはハルヴェンを見る。


「二つとも、ハルヴェンが考えたのか」

「考えたというより、リグと一緒に使える形を探しました」

「俺は雷の出力と流れを制御する」


 リグが続ける。


「どこへ踏み込み、どの瞬間へ力を集中させるかは、ハルヴェンが決める」

「極炎と同じだ」

「精霊剣なのだから、基本は同じだ」



※第20話「来なかった精霊王たち」は全六回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。