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エレメンタルクロス ~精霊の剣~  作者: KEI
第19話 雷の精霊剣

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(二)原光を断つ

◆ 流れを止める


 ネアが両腕を広げた。

 羽衣の縁から、銀色の光が伸びる。

 山と地中から集まり、一本になっていた原光の流れへ触れた。

 流れが横へ曲がる。

 窪地へ向かっていた淡い光が、岩場の手前で分かれた。

 一本は東へ。

 もう一本は西へ。

 古代兵器のいる岩場だけが、原光の流れから切り離される。

 外殻を走っていた白い光が弱くなった。


「止まりました!」


 ネアが叫ぶ。


「周囲の細い流れも、こちらで偏向します! ですが、兵器から強く引かれれば長くは持ちません!」

「十分だ」


 セトは極炎を構えた。


「止めている間に壊す」


 地上の大砲が一斉に火を噴いた。

 砲弾が、古代兵器の正面へ集中する。

 爆発が連続する。

 黒い外殻が砕けた。

 再生が始まる。

 だが、先ほどより明らかに遅い。


「効いている!」


 術士の一人が叫んだ。


「原光を止めれば、再生も止められる!」

「まだ止まってはいません」


 ネアが訂正する。


「遅くなっただけです!」


 それでも、今までとは違う。

 破壊した外殻が、すぐには元へ戻らない。

 セトは兵器へ向かって走った。


◆ 一層目


 極炎が外殻へ食い込む。

 セトは両手で柄を握り、そのまま剣を押し込んだ。

 白い炎が切断面へ流れ込む。

 黒い金属が赤く変わり、溶け始めた。


『硬い』


 シアの声が響く。


「今までの何倍ある」

『何倍か分からないくらい』


 セトは極炎を引き抜いた。

 もう一度、同じ場所へ斬撃を叩き込む。

 最初の外殻が大きく開いた。

 内側から、別の黒い面が現れる。


『もう一枚ある』

「見えている」


 外側の一枚を破壊しただけだった。

 その奥にも、分厚い外殻がある。

 セトは再び剣を振るう。

 大砲が周囲を砕き、術士たちの攻撃が外側の亀裂を広げる。

 セトは、その中心を極炎で貫いていく。

 二層目が割れる。

 その奥から、細い管と歯車のようなものが見えた。

 白い原光が流れている。


「中身が見えたぞ!」


 隊長が叫ぶ。


「砲撃を集中しろ!」


 砲弾が内部へ撃ち込まれる。

 爆発。

 複数の管がちぎれ、原光が噴き出した。

 兵器全体が震える。

 上部の砲口が地上へ向いた。


「防御!」


 術士たちが壁を作る。

 古代兵器から放たれた光が、何重もの防壁へ衝突した。

 一枚目が割れる。

 二枚目も砕ける。

 三枚目を破り、残った光が地面をえぐった。

 兵士たちが吹き飛ばされる。


「撃ち続けろ!」


 隊長は倒れた兵士へ駆け寄らず、先に大砲へ命令を出した。


「止まったら、次が来る!」


◆ 奥にある壁


 破壊した内部が、ゆっくりと塞がり始めている。

 原光の供給は止まっている。

 それでも、再生は完全には止まらない。


「ネア!」


 セトが叫ぶ。


「流れは止まっているか!」

「止めています!」


 ネアは両腕を広げた姿勢から動かない。

 周囲の羽衣が激しく揺れていた。


「外から入っている原光はありません!」

「なら、なぜ再生する!」

「分かりません!」


 兵器の外殻が閉じる前に、セトは亀裂へ飛び込んだ。

 極炎を横へ振るう。

 内部の管と構造物をまとめて切断した。

 さらに奥へ、黒い壁がある。

 外殻とは違う。

 内部の重要な部分を守るための壁だ。


『この向こうかもしれない』

「中枢が?」

『原光が集まっている』


 セトにも見えた。

 壁の向こうに、大きな流れがある。

 周囲から吸収したものではない。

 兵器の内部で循環している原光だった。


「ここを抜く」


 セトは極炎を振り上げた。

 刀身を包む炎が膨れ上がる。

 一撃。

 黒い壁が赤熱する。

 だが、切れない。

 もう一撃。

 表面へ亀裂が走る。

 外側で砲撃が続いている。

 兵器の攻撃も止まらない。

 セトは三度、同じ場所へ極炎を叩き込んだ。

 亀裂が深くなる。

 その奥から、白い光が漏れた。


『近い』

「ああ」


 中枢は、この先にある。

 だが、まだ届かない。



※第19話「雷の精霊剣」は全七回です。

続きます。



作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/

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