(五)同じ場所で戦う
◆ 同じ場所で戦う
「昔と同じことをするのか」
隊長が尋ねた。
「同じところまではできる」
シアが答える。
「ネアが原光の流れを止める。わたしとセトが攻撃する」
「絶光は使えないぞ」
セトが言った。
ネアが周囲の流れを制御するなら、精霊剣になることはできない。
セトが使える精霊剣は極炎だけになる。
「分かっている」
「これまでより大きい」
「それも分かっている」
「極炎だけで中枢まで届くか」
「やってみなければ分からない」
ネアが二人の間へ入る。
「戦う場所を選べるだけでも違います」
地図の上で、原光が一本へ集まる地点を示す。
「ここで流れを遮断します。兵器をこの付近へ誘導できれば、新しく入る原光を大きく抑えられます」
「止めたあとは、極炎で外殻を壊す」
セトが言う。
「国軍も援護する」
隊長が続けた。
「大砲と術士を集める。どれだけ大きくても、攻撃する場所を絞れば役には立つ」
「過去と違うところは、国軍がいることだな」
シアが言った。
「過去にも人間がいた可能性はあります」
「なら、今度はもっと多い」
シアは立ち上がった。
「月が止めて、火が壊す。雷はいないが、大砲がある」
「大砲を雷の代わりにするのか」
「硬いものを壊せるなら同じだ」
「かなり違うと思いますが」
「役割は同じだ」
ネアは少し考えたあと、否定しなかった。
◆ 誘導する道
問題は、兵器を原光の流れが一本になる場所まで動かせるかどうかだった。
現在埋まっている窪地と、流れを遮断しやすい場所は近い。
だが、同じ場所ではない。
兵器がそのまま真上へ出れば、封鎖地点から外れる。
ネアが中心の流れを止めても、別の場所から原光を取り込まれる可能性があった。
「出てきたら、ここへ誘導する」
隊長が地図に線を引いた。
窪地の北側。
削られた丘を作り直している場所の先に、広い岩場がある。
原光の中心となる一本を止めれば、岩場へ入る原光の大部分を遮断できる。
「どうやって誘導する」
シアが尋ねる。
「左右から攻撃し、進む方向を変えさせる」
「これまでより大きい」
「兵士を増やす」
「踏まれるぞ」
「近づかない。大砲と精霊術で遠距離から攻撃する」
セトは地図の線を見た。
兵器の進路に村はない。
だが、途中には森がある。
「森を通せば、シアの火が広がる」
「外殻だけを狙う」
シアが答えた。
「大砲の砲弾で木が倒れる」
「先に切り開く」
隊長は地図へ別の線を引いた。
「ここを誘導路にする。兵器が動き出す前に、周囲の木を倒す」
◆ それぞれの役割
夜までに作戦がまとまった。
兵器が地上へ出る前に、周囲の住民を避難させる。
国軍は誘導路を作り、大砲と術士を配置する。
兵器が起動したら、左右から攻撃し、原光を遮断する岩場へ誘い込む。
ネアは、狭めた一本の流れを遮断する。
周囲から別の流れが入り込まないよう、原光の向きも制御する。
その間、ネアはその場所から動けない。
精霊剣にもなれない。
セトとシアは極炎で兵器の外殻を破壊する。
国軍も大砲と精霊術で攻撃する。
原光の供給を止めた状態で外殻を破壊し、中枢まで攻撃を通す。
それが、今考えられる唯一の方法だった。
「どれくらい流れを止められる」
高官が尋ねた。
「実際に兵器が原光を吸い始めなければ分かりません」
ネアが答える。
「途中で制御が崩れる可能性は」
「あります」
「兵器を止められない可能性も」
「あります」
高官は黙り込んだ。
前日のように、すぐ戦えとは言わなかった。
「王都からも大砲を送らせる」
やがて、それだけを言った。
「間に合うかは分からないが、使える兵はすべて出す」
※第18話「原光の止まる場所」は全六回です。
続きます。
作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。
※ネタバレ範囲にご注意ください。
https://www.simulationroom999.com/blog/elemental-cross-top/




