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一般生徒Aの俺が学園のお嬢様達から好かれている。何で?  作者:
第二章

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第72話 隣りにいてくれる君

【溝口真由子視点】


「私、何してるんだろう」


 私は竹之内さんのプライベートビーチまで逃げていた。理由は分からない。あんな試すようなことをするつもりでは無かった。ただ、自分がこのまま寝ていたらキスでもされてしまうんじゃないかなどと馬鹿な事を考えてしまった。


「は〜、顔合わせ辛くてつい逃げちゃった」


 しかし結果は上手く行かず、私達の仲を勘違いされたくないと太田さんの所へ行ってしまった。勿論悪いのは私だし、峻が悪くないのも分かる。だけど私と恋人だと思われたくなかったのかななんて考えてしまう。 

 しかしいくらなんでも、かなり遅い時間になってきてしまっているし一晩ここにいるわけにも行かないだろう。


「でも戻りたくないよ〜」


「何、馬鹿な事言ってるんだ。お前は」


 振り返ると今だけは会いたくない人が立っていた。


「な、なんで?」


「なんだ、それは俺が来た理由か?それともどうやって場所が分かったかか?」


「どっちも……」


 私が外に出てからそれこそ数十秒だろうか。私がこうやっていじけていることが分かったのかと場所もどうやって。


「俺がお前の事より太田さんの事を優先したのが気に入らなかったのかと思ってな。場所はあれだ」


「?」


 峻が指を指したほうを見ると人感ライトだった。なるほど、このライトが点いてるから人がいることが分かったという事か。


 峻は私が座っているすぐ隣に「よっこらせ」と言いながら腰を下ろした。全く、いつも鈍感なくせにこういう時だけ鋭い。いつもそうして欲しい。


「お前、今日面倒くさすぎるぞ」


「は、はあ!?」


 言うに事欠いて私が面倒くさいだと!?聞き捨てならないんだけど。


「だってそうだろ。急に泣き出すし。勝手に人のことを試して嫌になって逃げるんだぞ」


「ぐっ……」


 そう言われると私が情けないのは間違いなかった。でも女子にそこまで言うこと無いじゃんか。私はまたシュンとしてしまう。


「まあでもそういう所も嫌いじゃないけどな」


「えっ?」


「いつも口が悪いくせに人の事を気にし過ぎなんだよ。偶にはそういう可愛げもあって良いだろ」


「……」


 ああ、私が素直に好意を受け取らないのを分かってわざと軽口で励ましているのだ。どっちが人の事を気にし過ぎだ。


「お前は可愛いよ」


「きゅっ、急に何いってんの!?」


 凄い嬉しいくせに恥ずかしくて砂を掴んで投げる。「おい、投げるな」と軽くチョップされる。


「伝わっていないみたいだから言ったんだよ。お前は可愛いよ。凄いモテるんだろ?」


「……、でも好きな人に好かれてないもん」


 私はまたそっぽを向いてしまう。我ながら面倒な正確をしている。面倒くさすぎると言われても仕方がない。


「確かに溝口と竹之内さんの気持ちに素直に答えられない俺が悪いよ。だけどそれはお前が大事な存在だからなんだよ」


「なにそれ」


 私は峻を睨む。だったら付き合ってくれたって良いじゃないかと思う。


「大事だからこそだよ。軽い気持ちでお前と付き合いたくないんだよ。それに竹之内さんにも……同じ気持ちだ」


「最低、二股じゃん」


 今度は峻が凹みだした。悪いと思いつつ凹んでいる峻が可愛く見える。


「だ、だからそんな中途半端な事が出来ないと思って断ったの!!」


「随分と都合が良い事をおっしゃる」


「ぐっ……、じゃあどうすれば良いんだよ」


 まあ、でも今日峻に軽い気持ちで付き合ってはいけないと私も言っちゃったしなと思う。余計なことを言ってしまった。


「ふふ、でも私が悩む理由がちょっと分かったなら気分晴れたかも」


 私は笑う。峻が私達の事を考えてくれた事が嬉しいんだ。自分も面倒な割にこういう事で笑えるなんて単純だ。


「峻く〜ん、溝口さ〜ん」


 後ろを振り返ると竹之内さん達三人がこちらに来ていた。どうしてみんなまで来ちゃったんだろう。


「いた〜。もう峻君が慌てて外へ飛び出てしまったから追ってきたんです」


 竹之内さんは何故かタッパーを持ちながら息を切らしている。そっか、私を心配して皆来てくれたんだ。そう考えると悪いことをしてしまったな。


「ごめん!!私が飛び出したのを峻が心配してくれたの!!」


「へ〜、戸松君も隅におけんなあ」


 桑原さんが竣を小突く。やっぱり二人仲良くなってるよね?


「ふふ、しかもこれも持ってきたで」


 桑原さんはじゃ〜んと袋に入った花火セットとライターを持っていた。


「こんなの買ってたっけ?」


「戸松君に隠れて買ったんよ。やっぱり青春言うたら花火やん?」


「うわ、私自分で花火をやるのは初めてです!!」


 竹之内さんは目を輝かせて花火セットを眺めている。私はさっきまで悩んでいたことも忘れて笑っていた。

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