第71話 またもすれ違う
「へ〜、竹之内さん良い化粧水使ってんね」
「はい。母の知り合いが化粧品の会社をやっているので譲ってもらえるみたいです」
「なるほど。肌が綺麗だと思っていましたが納得です」
「ウチ、宣伝するから譲ってくれへんかな〜。この乳液も見たこと無いわ」
先程より俺の良くわからない話題で盛り上がっている。化粧水やら乳液やらスキンケアの話など全く理解の及ぶ所ではない。その為、俺は隅でスマホをイジっている。部屋に戻って良いですか?
「ねえ、無視してるみたいだけど峻も化粧水とかしないの?」
いつの間にか俺の眼の前に立っていた溝口が俺に話しかけてきた。
「いや、俺はそういうのよく分からんし」
「男子だってスキンケアちゃんとやらないと肌ボロボロになるよ。何もやってないの?」
「顔なんてお湯で洗うくらいじゃないのか?」
俺の一言にみんなが猛抗議を浴びた。やれ洗顔だけでもやれやら今度男子用の洗顔と化粧水買いに行きましょうだの散々な目にあったので自室まで逃げた。
「やはり一人の方が落ち着くな」
こういう時、男子の友達が欲しいなと思う。いや、皆と過ごすのは楽しいんだけど男同士で馬鹿やったりするのが良いんだよな。
まあでも遊んでばかりなので部屋に机もあることだし宿題やっちゃうか。遊んでばかりで勉強がおろそかになるのは良くないからな。俺は学校配布の問題集を広げて勉強を始める。
「峻〜、竹之内さんが美味しいメロンあるから皆で食べないかって開けて良い?」
「ああ、どうぞ」
しばらく経った後、溝口が扉にノックをしてきたので部屋に通す。
「え、峻勉強してるの?」
「ああ、宿題結構合ったし丁度良いかと思って」
「うわ、これだからガリ勉は……」
おい、何で嫌そうな顔してんだ。お前も早く宿題進めないと終わらなくなるぞ。溝口は苦い顔をしたままベッドに座る。
「行かないの?」
「悪い、この問題だけ終わったら行くから」
「じゃあ待ってる」
いや、先に皆の所に行って良いぞと思ったら何故かベッドで寝転がっている。すぐ行くと言ってるのに、まあ良いけど。
その後、三分程だろうか問題を解き終わったので後ろを振り返ると溝口が寝息をたてている。え、溝口この短い時間に寝たんか?
「おい、溝口起きろ」
「う〜ん」
寝ている溝口の肩を揺らして起こそうとする。え、このまま起きないの困るんだけど。滅茶苦茶揺らすしかないか。仕方なく溝口の両肩に手をやって起こそうとする。
「二人共、まだです……」
そんな時だった太田さんが俺の部屋に入ってきた。太田さんの目が真ん丸になっている。何故かと思って今の自分の状態を見てみる。寝ている溝口に俺が覆いかぶさって両肩を抑えている。
「こ、これはちが……」
「す〜、失礼しました」
太田さんは「何も見ていないですよ」と小声で言いながら部屋を出てしまった。まずいまずい。
「溝口まじで起きろ!!」
「ん〜、何よ……、ってえ?」
溝口も自分の置かれた状況に気付いたのかガバっと起き上がった。
「よし、起きたな!!ちょっと太田さんと話があるから先行ってるぞ」
「ちょっと、峻!!」
俺は急いで太田さんを追いかけて皆の所に行く前に何とか肩を掴んで止める。
「はあはあ、待って」
「ひいっ、と、戸松君」
大急ぎで息を切らしながら来た俺を見て太田さんはビクッと体を震わせた。
「はあ、さっきのは違って……」
「い、いえ、私は何も見ていませんし!?」
絶対嘘やん。目がグルングルン回ってるぞ。俺はため息をついて説明しようとする。
「溝口が寝ちゃったから俺が起こそうとしただけなんだよ」
「へ、へ〜」
何か全然信じてくれないんだけど。どうすれば良いんだ。
「いや本当に……」
「あ、いや。戸松君は本当の事を言ってるのかもしれないですけど。溝口さんが寝ちゃうというのが引っかかって」
「えっ」
確かにそうだ。いくら疲れているからといって溝口がわざわざ俺の部屋で寝るか?ものの三分でしかも肩を揺らしても起きる様子が無かった。俺は嫌な予感がしてきた。
「もしかして溝口さんは戸松君の反応を確認したかったんじゃ……」
俺は太田さんが言い終わる前に自分の部屋まで戻る。先程までいた溝口はそこにはいなかった。
もしかしてと思って俺は溝口の部屋まで行き扉をノックする。しかし全く反応が無い。嫌な予感がして皆のいるリビングにまで降りる。
「あれ、峻君。遅いですよ。メロン切っちゃいましたよ」
「悪い。溝口戻ってないか?」
「え?峻君の部屋から戻ってきたと思ったらちょっと外の空気を吸ってくるといって外に……」
俺は全速力で玄関から飛び出して外へ出る。あいつ、こんな時間に何処行く気だ。
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