Method7:神崎の車の中3
タイトルバックイラスト:西山りょう
その昔、かにがRPGツクール2000で制作したゲームの小説化!
ゲーム版のメッセージや内容を抽出したものを再構成し、西山さんが小説化を担当しました。
エンドレス・ロード関連作品。
https://ncode.syosetu.com/n7077gj/
円はダッシュボードを開けて残りのマガジンを再確認した。
「神崎。二階堂“はかな”をお前のマンションへ送った後、夜になるのを待って原の屋敷へ向かうぞ」
「確かに守り一方では埒が開かないのは事実だが、正面から攻める気か? それとも交渉するつもりか? 相手にしてくれるとは思えんが……」
「先にこっちのシマを荒らしてくれたんだ。立場が対等であることを原に解らせてやる必要がある」
神崎の運転する車は住宅街にある12階建てのマンションの駐車場に滑り込んだ。
先導する神崎について行き、エレベーターに乗る。
4階で降りると3人は通路を左手方向に進む。
『405』と書かれた部屋の鍵を開けて、神崎は“はかな”を中へ招き入れた。
「お父さん!!」
“はかな”はダイニングの椅子に座る父親を見つけると、涙ぐみながら駆け寄った。
「無事だったか、“はかな”。どこも怪我はないか?」
抱きつく“はかな”を少し離して二階堂寛治は娘の様子を伺った。
「大丈夫よ、お父さん。この人達が助けてくれたの……」
寛治は円と神崎に深々と頭を下げた。
「娘を助けてくれて有難う。改めて礼を言う」
「大したことはしていない。そろそろいい時間だ。行くぞ、神崎」
親子に背を向けた円が玄関へ急ぐ。
神崎も無言で後を追った。
「君たちは一体何者なのだ?」
問いかける寛治の声は閉じられたドアによって遮られた。