Method35:予兆4
タイトルバックイラスト:西山りょう
その昔、かにがRPGツクール2000で制作したゲームの小説化!
ゲーム版のメッセージや内容を抽出したものを再構成し、西山さんが小説化を担当しました。
エンドレス・ロード関連作品。
https://ncode.syosetu.com/n7077gj/
円が一旦テーブルを離れ、トレイに紅茶を淹れたマグカップを乗せて戻ってきた。
彼女は由香に紅茶を勧めながら目を細める。
「それよりも気になることがある。さっきの力のことだ」
由香はふうふうと紅茶を冷ましながら一口すすって質問に答える。
「うん、あれはね。奇跡の力だよ。
1%でも可能性があれば、自分が望む結果を引き寄せることが出来る力……なんだって」
「……どういうことだ?」
神崎が視線を動かして円に問う。
「私もよくわからない。だが、銃弾を逸らしたり、ただのカミソリで真空波を発生させて吹き飛ばしたりしているところを見た」
「なるほどな。俺も研究者だ。この目で実際に見たことしか信じたくはないが……。円、お前がいうなら信じよう」
ぬるくなった紅茶を一口神崎が飲む。
「ただ、それが事実なら……響の存在は危険すぎる。何があってもユニオンに利用させるわけにはいかない。
特にラグナロクに執心するクリスにはな。奴は神を気取る男だ。何をしでかすかわからん」
呼応するように円がうなづいた。
「ああ。地上の悲劇を繰り返してはならない。クリスの独裁体制からユニオンを解放する。
私の戦闘力と神崎の頭脳、そして響……お前の奇跡の力があれば、奴の喉元に噛み付ける。悪いが……利用させて貰うぞ、その力」
2人の視線を受け、由香はぎゅっとマグカップを握りしめた。
「う、うん……。世界のため……円さんの妹さんを救うため……私、やるよ……!」
「ユニオンの集会は3日後だ。早急に作戦を練ろう」
神崎は決意を新たに由香と円に向かって拳を上げた。
そして、人類は運命の日を迎える――――
20XX年12月18日……。




