Method33:予兆2
タイトルバックイラスト:西山りょう
その昔、かにがRPGツクール2000で制作したゲームの小説化!
ゲーム版のメッセージや内容を抽出したものを再構成し、西山さんが小説化を担当しました。
エンドレス・ロード関連作品。
https://ncode.syosetu.com/n7077gj/
帰宅組の由香は、授業が終わるといつもの道を歩いていた。
「う~~~ん……ジョーカーくんの話では、なにか怪しい組織の人に襲われるって言ったけど、今のところなにもないよね。今日は寄り道しないではやく帰ろうかな……」
喉の乾きをおぼえて、由香が道端の自動販売機で足を止める。
スカートのポケットから財布を出そうとしていると、ふいに横から声をかけられた。
「おい、お前が響由香だな?」
「あ、あの……そ、そうだけど……?」
由香の隣に同じ学校のセーラー服を着た少し背の高い少女が立っている。
(誰だろう……? 見覚えがないんだけど……)
戸惑う由香をよそに、円は素早く周囲を見渡した。
「少し話がある。が、その前に……お前、尾行られていたようだな」
「えっ! だ、誰?」
驚いた由香がきた道を振り返る。
通り過ぎた小さな交差点の角に黒塗りの車のボンネットが見えた。
1人の黒い背広を着た男が交差点の角から歩いてくる。
円は由香を庇うように一歩前へ出た。
「貴様らがユニオンの手下か!」
男がニヤリと笑う。
「響由香を渡してもらおうか」
近づく男を見据えながら円が叫ぶ。
「響、逃げるぞ!」
「う、うんっ」
「逃がすかぁっ!」
すかさず男が背広から拳銃を取り出す。
男の声に振り向いた由香は、銃口が円に向かっていることに気づいた。
「あ、危ないッ!」
「馬鹿、やめろっ」
由香が円を庇おうと両手を広げて立ち止まる。
パーンッ。
放たれた弾丸は円に到達する前に弧を描き、自動販売機に当たった。
『パシュッ』と弾がめり込むと自動販売機の電気が消える。
「なにっ? 弾の軌道が逸れた?」
由香はポケットから何かを取り出して、腕を水平に振り払う。
「エアースラッシュッ!」
「うわあぁぁぁっ!」
男は何かに突き飛ばされたように、もんどり打って転がった。
「や、やったぁ!」
喜ぶ由香の腕を掴んで円が走り出す。
「響、お前今何をしたんだ! 手に持っているものはカミソリか?
そんなもので相手を吹き飛ばしたっていうのか!」
「あ、えーと、かまいたちみたいなものかなぁ。これは奇跡の力ってジョーカーくんが……」
「ジョーカー? 誰だ? いや、今はそんなことより先に身を潜めるぞ!」
「う、うん」




