Method28:深淵3
タイトルバックイラスト:西山りょう
その昔、かにがRPGツクール2000で制作したゲームの小説化!
ゲーム版のメッセージや内容を抽出したものを再構成し、西山さんが小説化を担当しました。
エンドレス・ロード関連作品。
https://ncode.syosetu.com/n7077gj/
特別闘技大会の当日。
円は15歳以下の部門に参加した。
武器は木刀1本のみ。
トーナメント制で5人倒せば優勝だ。
『6番、勝負あり!』
『6番、勝負あり!』
円は順調に勝ち上がり、いよいよ決勝戦になった。
相手は15歳の少年で円より頭ひとつ背が高い木刀使いだ。
会場のあちこちからブーイングが起こる。
控えめに見ても少年の方が強いと思われた。
『始めっ!』
お互い間合いを取り、相手の出方を見る。
先に動いたのは円だった。
「てやぁぁぁぁっ!」
下段に構えて突っ込んでくる円に対して少年は上段に構えて走り出す。
間合いに飛び込み、下段から上段へと振り抜いた円の木刀が鳴る。
ガツッ。
木刀同士がぶつかったと同時に少年の木刀上部が割れて遠くへ落ちた。
「なんだとっ」
一瞬の隙を逃さず円の二打目が木刀の柄を持つ少年の肩を打つ。
「おあぁぁっ」
ぽとりと落ちた木刀を円は足で蹴り投げた。
痛みに苦しむ少年の喉元に円の木刀が突きつけられる。
「まだやるか?」
「ま、まいった……」
ざわめく会場内に審判の声が響く。
『6番、勝負あり! 優勝者、6番!』
褒賞金は円が思っていた額面の9倍の金額だった。
盗人に目をつけられないようにわざとボロボロのズタ袋に入れて、円は慎重に住処へと帰った。
「紗良、急いで支度をしろ。上へ行くぞっ」
「どうしたの、お姉ちゃん? まさか……勝っちゃたの?」
円は黙ってうなづいた。
「この事は誰にも言ってはいけないぞ。いいな、紗良」
「うん、わかった!」
それから2人してささやかな荷物をまとめて、長年暮らした<深淵>を後にした。
だが――――。
上の世界は、円達が思い描いてた理想郷とは全く違った世界だった。
私欲に満ち溢れ、人は汚れ、空気は汚れ、冷たい世界だった。
人々は円姉妹に冷たい視線を浴びせ、人間扱いなどしなかった。
居場所や仕事など見つかるはずもない。
円はのけものにされ、沙良にいい思いをさせるどころか逆に辛い思いをさせてしまっていた。




