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Method27:深淵2

挿絵(By みてみん)

タイトルバックイラスト:西山りょう


その昔、かにがRPGツクール2000で制作したゲームの小説化!

ゲーム版のメッセージや内容を抽出したものを再構成し、西山さんが小説化を担当しました。

エンドレス・ロード関連作品。

https://ncode.syosetu.com/n7077gj/

 闘技大会で優勝した円は妹が待つ住処すみかへ急いでいた。

紗良さら! 食料を持ってきた。一緒に食べよう」

「お、お姉ちゃん。今日も勝ったの?」

「ああ。同じ歳なら楽勝で勝てる」

「そうなんだ。すごいね、お姉ちゃん!」

 無邪気な笑みを浮かべる紗良さらの頭を撫でて、円は固くなったパンを渡した。

 この2歳下の紗良さらは円のたった1人の肉親だった。

 暗闇の空間でずっと一緒に生きてきた大切な存在である。


「今度、大きな闘技大会があるんだ。この大会は特別で、上の金持ちの暇人達も混ざって裏で莫大な資金が動いている。優勝者にはかなりの大金が貰えるだろう」

 パンをかじっていた紗良さらは、大きな目を見開いて円を見上げた。

「お姉ちゃん、その大会に出るつもりなの? 危険じゃないの?」

「確かに、危険と言えばそうだが深淵ここを出れるだけの資金が手に入るんだ。

そしたら、二人で上に出よう。お前に深淵ここは似合わない。私が必ず上に連れて行ってやる!」

「お姉ちゃん……」

紗良さらはしっかり食事を摂って、もっと元気にならないとな」

「うん……!」


 2人で食事を済ますとやることが無くなってしまった。

 飲水を調達に行こうとした円の手を紗良さらが掴む。

「ねぇ、お姉ちゃん。私いいものを見つけたの!」

「いいもの?」

「うん、お姉ちゃんに見せてあげる!」

 立ち上がった紗良さらが円と手を繋いで歩き出した。

「おいおい、どこへ行くんだ?」

「こっちこっち!」


 正直に言うと、模擬太陽光も届かないような深淵しんえんにいいものなんてある訳がないと円は思った。

しかし、妹の紗良さらの足取りは軽く、楽しげである。


 しばらく歩いて紗良さらは立ち止まった。

「お姉ちゃん! これを見て!」

 紗良さらが指差す方向を見て円は目を疑った。

「……まさか、これは、花……?」

 2人の足元に薄ピンク色の小さな花が咲いていた。

「ば、馬鹿な! なぜこんなところに花が咲いているんだ?」

「今日、お姉ちゃんが出かけてる間ちょっと歩いてる時に見つけたの。きれいな花でしょ? 上にはこんな花がいっぱいあるのかなぁ」

「しかし……ここは深淵しんえんだ。光も当たらなければ、水もまともに無いんだぞ……! 沙良さら、これはどういうことなんだ?」

「お姉ちゃん、上を見て」

「上?」

 沙良さらわずかに光る上の方へ手を伸ばす。

「たぶん、あそこから外の光が漏れてきたんだと思うよ。水も、放水日になった時にここまで流れてきたんじゃないかなぁ?」


 円は心底驚いた。

 まさか、上からわずかに漏れる光としたたしずくだけで深淵しんえんに花が咲くなんて……。


 小さな生命力に円は希望を感じた。

 上に行けば、上にさえ行けば明るい未来が待っていると。

 彼女はそう固く信じた。

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