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おいそれをおいそれと言えない件

「和佐ちゃん、おいそれっていうじゃん。」


「え、待って、日本語が聞き取れなかった。」


私たちはクラブのコンサート準備で講堂に向かっている。


「おいそれっていうじゃん。おいそれ。」


「待って、今、おいそれの話でいいよね?」


絵美ちゃんの口元に笑いが広がる。


「お・い・そ・れ。」


「日本語だよね?

そんなことをおいそれとは言えない、的な……」


「そうそう!」


絵美ちゃんは我が意を得たりと頷く。


「あれ、なんで『おいそれ』なんだろうって……」


私は背筋を伸ばし、誰かがいるように虚空を指差す。


「『おい、それさぁ、さっさと持って来て!おい、それそれ!』

って気軽に言うなってこと……?」


「でも、それ、別にそこまで気軽じゃないよねぇ。」


私はまた思いついて、今度はソーラン節の踊りのような動きをする。


「『おおーい、ソレッ、おーい、ソレッ』って雑に投げるとか?」


「でも、すごい頑張ってる感あるよねぇ。」


「そう言えばさァ、メンソレータムとメンタームって同じなの?」


「それは同じでしょ。」





別作品も書いています。

長めのお話がお好きでしたら、こちらもどうぞ。

■『神鼠の大王は猫を愛せない―美貌すぎる少年王は天敵の猫族少女を絶対に手放しません 』

https://ncode.syosetu.com/n9295ms/

■『BL終局の悪魔―俺を利用するはずの白髪高官が、なぜか俺の目を美しいと言ってくる―』

https://ncode.syosetu.com/n4565ml/

■『元公爵令嬢の小さな宿屋―年下の町医者が、客でもないのに今日も会いに来ます』

https://ncode.syosetu.com/n8605mt/

※完結しました→続編も開始(https://ncode.syosetu.com/n0955mu/)


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