おいそれをおいそれと言えない件
「和佐ちゃん、おいそれっていうじゃん。」
「え、待って、日本語が聞き取れなかった。」
私たちはクラブのコンサート準備で講堂に向かっている。
「おいそれっていうじゃん。おいそれ。」
「待って、今、おいそれの話でいいよね?」
絵美ちゃんの口元に笑いが広がる。
「お・い・そ・れ。」
「日本語だよね?
そんなことをおいそれとは言えない、的な……」
「そうそう!」
絵美ちゃんは我が意を得たりと頷く。
「あれ、なんで『おいそれ』なんだろうって……」
私は背筋を伸ばし、誰かがいるように虚空を指差す。
「『おい、それさぁ、さっさと持って来て!おい、それそれ!』
って気軽に言うなってこと……?」
「でも、それ、別にそこまで気軽じゃないよねぇ。」
私はまた思いついて、今度はソーラン節の踊りのような動きをする。
「『おおーい、ソレッ、おーい、ソレッ』って雑に投げるとか?」
「でも、すごい頑張ってる感あるよねぇ。」
「そう言えばさァ、メンソレータムとメンタームって同じなの?」
「それは同じでしょ。」
別作品も書いています。
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