タイトル未定2026/08/17 05:03
土曜日の朝、マスターと大門はテーブルを挟んで向き合って、朝食をとっていた。
トースト、ベーコンエッグ、サラダと、ありきたりの朝食だが、全て大門が作った朝食だった。
トーストをかじっているマスターに、大門は言った。
「今日の夕方、游太君たちとカラオケに行ってくるよ」
「カラオケ?」
「遅くに出かけるのは、ダメ?」
「いえ、そうではなく。大門が、カラオケに行くのに驚きました」
「そうぉ?七海は、カラオケに、行かないの?」
「行きません。歌なんて、知らないし」
「そうなんだ。流花お姉ちゃんと、行けば良いのに」
「カラオケですか」
……そう言えば、カラオケに行こうなんて、思ったことなんてなかった。
マスターは、そんな思いでトーストをかじった。
「カラオケに行くから、遅い帰りになるよ」
「気をつけて、帰って来てください。ボクも仕事を終えたら、そのまま出かけます」
「お店に、行くんだね」
「いえ、今夜は店を休みます」
「えっ、休むの!……もしかして、流花お姉ちゃんと会うの?」
マスターは何も言わず、照れくさそうにベーコンエッグをつついた。
「流花お姉ちゃんと、会うんだぁ〜」
「……今夜は、流花が泊まりに来ます」
「流花お姉ちゃんが!」
大門は喜びの声を上げたが、すぐ思い直し、マスターの顔色を疑うようにゆっくり言った。
「流花お姉ちゃんが来るなら……僕は、邪魔だよね」
ベーコンエッグをつついていたマスターは、ぽかんとして大門を見つめた。
「大門……何を言っているんですか?」
「……だって」
「大門に会えたら、流花は喜びます。変な気を使わないでください」
「うん。わかった!もしかしたら、街中で七海と流花お姉ちゃんに、会えるかもね」
マスターは、やさしく微笑んだ。
繁華街にある、大手のカラオケチェーン店の前。
約束の時間に、大門達は合流した。
時間が早いせいか、予約無しでも入ることができた。
部屋に入る前に、ドリンクバーで思い思いのドリンクを選んだ。
ドリンク片手に部屋に入り、早速りさがマイクを手にした。
歌って踊るグループの女性アイドルが、モニターに映った。
りさはモニターに映ったアイドルよりも可愛く、高いビジュアルで歌った。
大門と游太は、合の手を打っていた。
「さすがりさっち。アイドルより、可愛い」
游太の言葉に、大門も頷いた。
「歌も上手いし、スカウトされているんじゃないかな」
「されていそう!今のうちに、サインもらっておく?」
「事務所を通して、ファンクラブ立ち上げる?」
大門と游太は、声を上げて笑った。
歌い終えた、りさが言った。
「次の番、誰?」
「はい、はい!」
大門と游太は、二人揃って手を上げた。
マイクを持つと、大門と游太は肩を組んで熱唱した。
室内は、大いに盛り上がった。
大門と游太が歌い終わると、次はまたりさが歌い出した。
大門は隣に座っていたまひろに声をかけた。
「まひろちゃん、曲入れた?」
「まだ、入れていない」
「早く、入れなよ。りさっちのオンステージに、なっちゃうよ」
大門の言葉に、まひろは笑った。
「じゃあ、これにしよう」
まひろはやっと、曲を選択した。
「ねぇ、一緒に歌わない?」
「えぇ~」
驚いたまひろだったが、大門と一緒に曲を選んだ。
そんな二人を、游太がそっとみつめていた。
りさが歌い終わり、まひろがマイクを手にした。
りさは大人っぽいバラードを歌った。
歌詞の途中英語があり、りさは歌いこなしていた。
騒がしかった室内は、まひろの歌声に包まれていた。
歓声が上がりまひろが歌い終わると、大門はマイクを持って、まひろと一緒に歌い出した。
アップテンポ調の曲で、大門もまひろも楽しく歌った。
「二人とも、似合っているなぁ」
何気ない游太の言葉に、りさは大門とまひろをじっと見つめていた。
大門とまひろが歌い終えた時、りさが大門に言った。
「大門君、次は私と歌って!」
「えっ、ちょっとドリンクもらいに行ってくるよ」
慌てて言う大門に、游太が言った。
「あっ、僕もドリンクほしい」
結局、全員で部屋を出て、ドリンクバーに向かった。




