タイトル未定2026/08/17 07:41
リビングにあるキッチンで大門は、玉ねぎやソーセージを切っていた。
マスターは、冷凍された白米をレンジに入れていた。
「流花お姉ちゃんと外で食べてくると思って、何も用意していなかった」
玉ねぎを切りながら、大門は言った。
「気にしないでください」
「チャーハンだけど良い?」
「ありがとう」
マスターは、お皿を流し台に置き、レンゲをテーブルの上に置き、テーブル席に座った。
大門は、チャーハンを作りながら言った。
「さっき、游太君達と会ったでしょ」
「会いましたね」
「りさっちが、『大門君のお父さん、かっこいい』って、言っていたよ」
「りさっち?」
「一緒にいた女の子だよ。茶髪で、メイクしていた」
「あぁ、ちょっと派手めな女の子が、いましたね」
「その子が、りさっちだよ」
「りさっち」
「りさって、名前なんだけど、気が付いたらりさっちって、呼んでいる」
マスターは茶髪で、メイクをして垢抜けたりさを思い出していた。
……まるで、さやかみたいな子だな。
マスターは昔、同棲をして結婚まで考えた彼女のさやかを思い出していた。
慌てて想いを振り払い、マスターは言った。
「りさっちね。えっと、まひろちゃんは?」
「まひろちゃん、カラオケまではいたよ。終わった後、遅くなるからって帰っちゃった」
「それで、いなかったんですね」
「うん。まひろちゃんと、一緒に歌っちゃった。まひろちゃん、英語の歌詞の曲歌いこなせて、プロ顔負け!」
チャーハンを作りながら、楽しそうに話をする大門を、マスターは見つめた。
……勉強スポーツ、何でもできて、英語の歌詞まで歌いこなせる、まひろちゃんか。まるで、瞳ちゃんみたいな子だな。そんなまひろちゃんを、大門は気に入っているんですね……。
坂田瞳。マスターの初恋の彼女であり、大門の母親だった。
「チャーハンできたよ!」
大門は大皿に盛ったチャーハンを、マスターの眼の前に置いた。
「いただきます」
マスターはレンゲを取ると、チャーハンを食べだした。
大門は、テーブルを挟んだマスターの向かいに座った。
テーブルに両肘をついた大門は両手で顎を乗せ、目の前でチャーハンを食べているマスターを見つめた。
「美味しい?」
「美味しいです……大門、食べにくいです」
大門は笑いながら、姿勢を正した。
「ねぇ、七海」
「なんですか?」
マスターは、チャーハンを食べる手をとめなかった。
「七海は、流花お姉ちゃんと結婚しないの?」
マスターは、チャーハンを食べていた手をとめた。
「流花は、結婚する気はないです」
「僕が、邪魔なのかな」
「違いますよ。流花は、自立心が大きいんです。大門のせいでは、ありません」
「良かった!七海は、流花お姉ちゃんと結婚したい?」
「ボクは……流花と大門がいてくれれば、それだけで良いです」
マスターは、再びチャーハンを食べだした。




