タイトル未定2026/08/17 07:33
居酒屋を出ると、流花の携帯にラインが入り、ラインを読んだ流花は携帯をバックにしまった。
「ごめんね、私もう帰る」
突然の流花の言葉に、渚は慌てて言った。
「そう。今夜は、ありがとう」
「うん。なぎちゃん、身体に気をつけてね。近いうち、ゆっくり会おう」
流花は、足早に歩きだした。
流花の後ろ姿をを見つめていた、佐野が言った。
「大学の卒業後居酒屋に行った時も、ラインの後流花ちゃん慌てて帰ったよな」
佐野が言うと、田中が言った。
「マスターと会うんだろ。俺も帰る。お疲れ〜」
田中は、スタスタ歩きだした。
田中の後ろ姿を見ながら、佐野はぼやいた。
「……田中のヤツ、流花ちゃんがいなくなったとたん、これだよ。なぎちゃん、疲れてないか?大丈夫?」
「うん、大丈夫」
佐野は渚をささえるように歩き、佐野に寄り添って歩く渚が言った。
「なんだか、皆バラバラになっていくみたいで、淋しいな」
「たとえそうでも、一声あげれば今夜みたく集まるよ。俺は、淋しくなんかないよ」
繁華街の中にある、待ち合わせで有名な場所にマスターはいた。
待ち合わせ場所は、大きな噴水がライトアップされていて、待ち人や暇を持て余した人が群がっていた。
壁に背を向けて立っていたマスターは、携帯をいじっていた。
「マスター!」
呼ばれた声に、マスターは携帯から顔を上げた。
マスターを見つけた流花は大きな声でマスターを呼び走り込んで、思い切りマスターに抱きついた。
マスターは驚きながらも、流花を受け止めた。
マスターの胸の中で、顔を上げた流花は言った。
「待った?」
「いいえ」
そう言ったマスターは、流花の額を思い切り指で弾いた。
「いたぁ〜」
流花は両手で額を当て、声を上げて、マスターから離れた。
マスターは、携帯をリュックにしまった。
「マスターやっぱ、待たされて怒っているんじゃない」
マスターは、笑いながら言った。
「怒っていませんよ。何も食べずに出てきたからお腹が空きました」
言いながらマスターは、流花の肩を抱いて歩きだした。
「じゃあ、何処かに寄っていく?」
「それより、このまま行きましょう。大門が待っています」
「大門君が!」
流花は、喜びの声を上げながら歩いた。
ずっと流花の後をつけていた田中が、マスターと流花を見つめていた。
……あの男が、流花ちゃんの彼氏。
自分が納得できない男だったら、即間に入る勢いだったが、初めて流花の恋人を見た田中は、不思議と穏やかだった。
背が高く落ち着いた雰囲気で、それでいて若々しい流花の恋人。
……あの男なら、流花ちゃんが夢中になるのも無理はない。
流花の恋人を見て、とても太刀打ちできないと悟った。
しかし、引き下がる気持ちは全くなかった。
……それより「大門君」って、誰だ?
もしかして、あの男の弱みなのか?




