タイトル未定2026/08/17 07:26
「俺、チューハイ!なぎちゃんは?」
佐野は、隣に座っている渚に聞いた。
「烏龍茶」
流花は手にしていたタブレットに、チューハイと烏龍茶にタップした。
「田中君は?」
流花は隣に座っている、田中に聞いた。
「見えねぇよ」
言いながら田中は流花の背後から手をまわし、流花を自分の方へ引き寄せると、流花と一緒にタブレットを眺めた。
「俺、冷酒にするけど、流花ちゃんは?」
「良いね。私も、冷酒にしようかな」
流花がタップをしていると、佐野が言った。
「流花ちゃん、鶏の唐揚げも!」
「了解。鶏の唐揚げ良いね。ナスの一本漬けも注文しちゃおうかな」
流花がタップをしようとすると、横から田中が素早くタップをした。
渚と佐野の目の前で、あたりまえのように流花の肩を抱いている田中。
抱かれていても、何も抵抗をしない流花。
二人を眺めていた佐野が、冷やかすように言った。
「流花ちゃんと田中は、大学時代よく言い合いをしていたけど、やっぱ仲が良いんだなぁ」
佐野の言葉に我に返った流花は、慌てて田中から離れた。
自分から離れた流花に、田中は言った。
「なんで、慌てて離れるんだ。今さら、恥ずかしがることないだろ」
「誤解されるようなこと、しないでよね」
流花が言い返した後、飲み物とナスの一本漬けが運ばれた。
渚と佐野がオーダーした飲み物を飲んでいると、流花と田中は冷酒を飲みながら、小さな声で言い合いをしていた。
「田中君、誤解されるようなことホントやめて」
「何を、今さら」
言いながら田中は、ナスの一本漬けをつまんだ。
「うまいな、これ。流花ちゃん、ナイスチョイス」
「でしょ!」
流花は、嬉しそうに言った。
「なんか、他にも美味そうなのあるかな」
流花が田中にタブレットを渡すと、田中は流花の肩を抱かなかったものの、流花に寄り添って、流花と一緒にメニューを眺めた。
そんな流花と田中を、渚と佐野はぽかんと見つめていた。
佐野は確かめるように、渚に聞いた。
「流花ちゃんって、彼氏がいるんだよな?」
「うん。背が高くてやさしそうな年上の彼氏」
「そう、そう!偶然、俺も見かけた。流花ちゃんと田中。言い合いをしていると思ったら、すぐいちゃついたりして……」
「一緒の事務所で、仕事をしているでしょ。流花ちゃん、彼氏のマスターより田中君と長い時間を過ごしているから」
渚と佐野が二人を気にかけていることに気付きもせず、流花と田中は冷酒を飲みながらお互い顔を近付けて話をして、時々クスクス笑っていた。




