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私はただ、破滅したい。  作者: ワタクシ
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第七話 【ロード】

「…どうした?お嬢さん…?用がないようなら、もう行かせてもらうが…」


目が覚めると、そこは部屋のベッドの上ではなく、商人に手紙を渡す瞬間だった。


「い、いえ。なんでもありませんわ。それよりこちらを…」


前と同じように手紙を渡す。そして前の同じように、ランプで手紙を照らし、文字に気づいたようだ。


「…情報提供感謝する」


そのまま商人は敵国へと去っていく。


――ループの始まりが変わった?


一度家に戻り、部屋の中でエトワールはひとり考え続けた。

そして、ひとつの結論に至った。


――ルートを完全にクリアしないと、次のルートに行けない?


確証は無い。だが前回はセレナに邪魔されたことで完璧なルートに行くことができず、そのまま自害した。そして今に至る。可能性は高い。

色々な作戦が浮かぶ。だが、どれもたどり着く結論はひとつ。


「…セレナに邪魔されないかが鍵ですわね…」


セレナの一声で、全員がエトワールを庇うようになった。セレナが何も言わなければ、このまま上手く破滅できるだろう。


「考えても仕方ありません…明日に備えて寝ましょう」


ベッドの上で静かに、エトワールは意識を手放した。


翌日、学校に着くと教師たちがザワザワとしている。やはり前回と同じだ。そして教室に着く。ドアを開けると、王子達が三人で話し合っている。


「何かあったのかしら…」


前回と同じように声を出す。どこかを怪訝そうな顔で見ていたセレナが身体をビクっと震わせながらこちらに振り返る。


「エト…ワール?」


セレナが困惑の表情をしている。まるで、死人の顔でも見たかのようだ。


「な、なんでもない……えっと、どうやら敵国が急に攻めてきたようなの…」


やはり、昨日の手紙が原因で敵国が来たようだ。そして、三人の王子達がこちらに来た。ここからが正念場だ。


「エトワール…」


セレナが小さく、消えそうなほど小さい声で喋った。


「私達…友達よね?」


「…もちろんですわ」


――今のところは…


王子達が二人の目の前に立つ。


「エトワール…話がある。君に、裏切り者の疑いがかかっている」


「…なんの冗談です?」


前回と同じように否定する。ここで肯定しては、完璧な破滅とは言えない。


「冗談だと思いたいのは、僕達の方だよ」


「ワタクシが手紙を出したなんて、用事があったからですわ」


「…手紙を出した…なんてことは僕達は言ってないよ?」


確実に詰められていく。前回の対話ではあまりボロを出さなかったが、今回はどんどんと出すようにする。


「昨日、監視役が敵国から来た商人に手紙を出した君の姿を確認した。昨日この国に来た商人は三人。そして、君が手紙を出した商人以外は手紙を貰っていない」


「……」


エトワールは沈黙を選んだ。


「…」


王子達からの疑いの視線が、どんどんと鋭くなっていく、このまま行けば…


「待って!エトワールほ…私の友達が、そんなことするわけない!」

「よく考えてよ!エトワールが、あんなに優しかったエトワールがそんなことをするわけないでしょ!」

「もう…あんな光景は…」


セレナが声を上げた。前回よりも、わかりやすい証拠がある。そんな根拠の無いことでは、人々の心を動かせない。


「…そうだ…そんなこと、するわけない」


「俺達のクラスメイトが、裏切り者のわけがない…」


クラスメイト達が次々と声を上げていく。その姿は、まるで優秀な指導者に操られている愚民のようだった。


「…安心してくれ、エトワール。元々ここで決断する気はなかった」


王子達までも、愚民のように否定をする。何故、何故。目の前にいる者が裏切り者というのは明白だろう。


「…」


「だが、まだ疑いが晴れたわけではない。だから監視役をつけさせてもらう」


またも、同じ状況になった。エトワール苛立ちを隠せずにいた。


――今回も失敗…


「全員…まるで操り人形のようですわね…」


エトワールはそう小声で言うと、腰につけていた短剣を取り出した。


「ん…?エトワール…何を…」


「ダ、ダメ!」


そこにいる全員が困惑している中、セレナだけは何かを感じたかのように、エトワールを止めようと動いていた。

しかし、エトワールは頸動脈を切断。その後、心臓を突き刺しそのまま息絶えた。

その動きに躊躇いはなく、まるでロードを押す人のように見えた。

ドロドロと出てくる赤黒い液体。そして、ピクリとも動かないエトワールの姿があった。


「…救えなかった…なんで…なんで!!」


この世界も、叫び声と共に幕を閉じた。

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