表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私はただ、破滅したい。  作者: ワタクシ
5/8

第五話 破滅への布石

見慣れた天井。鼻腔をくすぐる薔薇の匂い。柔らかなベッドの感触。


「ループ成功…でしょうか」


きっと今は入学式の日の朝だろう。エトワールはベッドから立ち上がり、椅子へと腰掛けた。


――ループの条件、それはきっと死ぬことか破滅することでしょう


ループの回数制限は不明だが、得た情報は十分だった。

エトワールは満足気に小さく息をついた。

唇には、僅かな愉悦が滲んでいる。


「ループはこれで三回目…そろそろもう少し、刺激的な破滅をしたくなってきましたわ…」


彼女は一度、大掛かりな作戦を実行することにした。未来のことを考えて、思わず笑みが溢れてしまった。


身支度を済ませ、学校の入学式に向かう。本来なら馬車で向かうところだが今回のルートは全員との仲を深めたいため、徒歩で向かうことに決めた。


「ごきげんよう……あら、ごきげんよう…」


すれ違う人達に、優しく柔らかな笑みをみせる。その一つ一つが好印象を稼いでいく。王子達の演説でもいちばん長く拍手をし、印象にできる限り残すようにした。


入学式が終わり、自身のクラスが発表された。そこには見覚えのあるメンバーが固められていた。やはり基盤はゲームのため、そこは崩れることはないようだ。


「皆様、ごきげんよう」


扉をあけ、中にいる皆に挨拶をする。人は第一印象が重要。少しでも良い人に感じさせる。エトワールは有名な貴族ではない。元々の噂で怪しまれる…ということはなかった。


「こんにちは…エトワール様…」


一番に話しかけてくれたのは、セレナだった。だが、セレナの表情からは、色々な感情が混ざっているように見えた。


――恐怖。親愛。困惑。


「あら、ワタクシの名前を知ってくれてるの?嬉しいわ。ありがとう。あなたの名前は?」


セレナの表情から、恐怖と困惑が消え、安堵が増えたように見えた。


「わ、私、セレナ・ティモーラ・ラインです!エトワール様!仲良くしましょうね!」


「ふふっ。様なんて、普通に呼んでくれればいいわ。セレナ」


セレナの表情が、パッと明るくなり太陽のような笑顔をした。


「うん!よろしくね!エトワール!」


セレナとの関係は良好。この調子で行けば、順調に作戦を進められるだろう。

まずは全員からの信用を得る。

そのうえで、敵国に情報などを渡す。

そして、わざと自分とわかる証拠を残し裏切り者となる。

裏切り者として、華麗に破滅する。


――なんて胸の踊る破滅…


「やあお二人。初めまして。私は第一王子のアルフレッド」


エトワールから話しかけるまでもなく、王子から話しかけてきた。


「初めまして。ワタクシ、エトワールと申します。先程の演説、とても感動いたしました。こちらはセレナですわ」


「セレナ・ティモーラ・ラインと申します。これからよろしくお願いします」


「ははっ、そこまで大層なものじゃないよ。私はただ、自分の思いを伝えようとしただけさ。兎に角二人ともよろしく。クラスメイトとして仲良くしよう」


そのまま王子二人も合流し、仲を深めあった。

学校が終わり、エトワールが家に帰宅した。家に帰ると、四人の召使いが出迎えてくれた。


「エトワール様、お帰りなさいませ。お夕飯が出来上がっております」


「わかったわ、それじゃ一度部屋で着替えるから、少し待ってなさい」


「かしこまりました」


エトワールには生まれた時から親がおらず、昔から召使い達に世話をされていた。中身が入れ替わっても、特に何も言われていないため、元々家では高圧的な態度をとっていないようだ。


「もしくは…」


――それほど興味を持たれていないのか…


まあ別にどちらでもよい。今後のことにはあまり関係ないのだから。

今はただ、クラスメイトとの関係を良くすることに集中すればよい。


全ては、破滅へ至る布石なのだから

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ