表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私はただ、破滅したい。  作者: ワタクシ
3/4

第三話 破滅、そしてループ

いよいよ、舞踏会が開かれた。警備は予測通り緩く、短剣を持ち込むことができた。エトワールはアルフレッドにダンスを申し込んだ。


「気でもおかしくなっか?エトワール」


自分は王に向いてないと言った奴からのお誘い。普通はそうなるだろう。


「いえ、私は元々こうですわよ?」


アルフレッドは周りの目を気にして、ダンスを了承した。そのダンスは、綺麗だった。二人とも息がピッタリで、蝶のように舞っていた。ダンスも終盤、最後のフィナーレになった。周りの視線は二人に釘付けになっていた。そして最後のポーズ、エトワールは短剣を取り出し抱きつきながら、心臓を的確に刺す。


「エト……ワール……? なぜ……?」


今にも消えそうな声で彼は言った。そんな彼に向かってエトワールは笑顔で言い放った。


「破滅が……したかったのです……」


アルフレッドは異形を見る目で彼女を見つめ、彼女の腕の中で息絶えた。赤いドレスがさらに赤黒く染まる。悲鳴が響き渡った。そして瞬時にエトワールの周りを兵士たちが囲んだ。


「貴様! 何をしたのかわかっているのか!?」


レオンは声を荒らげながらそういった。


「私は……私のすべきことをしただけです」


彼女は拘束されながら、心地よい震えに包まれていた。夢にまで見た光景。傍から見れば、完全に狂った悪役令嬢の微笑みだった。


「…狂っている…お前は…」


レオンは軽蔑の視線を向けながら、小さくそう囁いた。


その後、公開処刑の日。

処刑人に選ばれたのは、なぜかセレナだった。


「……どうしてあなたが……?」


「私が……きっと、あの時止めてれば……」


セレナの声は震えていた。どうやら、あの夜にエトワールを止めれたらと、後悔しているようだ。そして、このルートでは、エトワールとセレナは恋仲だったはず。恋人の仇として、彼女は剣を握る。


「私の責任です。……最後に一言、言い残すことはありますか?」


エトワールは深呼吸し、淡々と、しかし心の底から言った。


「私は……愛しています。全てを」


これは本心だった。色のない人生に色をくれた、このゲームに。剣が振り下ろされ、意識は途絶えた。最後の光景は、何もかもが軽蔑の視線を向けてくる、とても心地よい光景だった。


――ああ……いい人生だったな……


 今度は、後悔もなく死ぬことができた。そして、このルートは本当の破滅…エトワールが居なくなったカイルは、我を失い虐殺を始める。彼女しか幸せにならない、…本来であれば誰も幸せにならないルート。




鳥のさえずり。柔らかなベッド。甘い薔薇の香り。まさかこれは


――ループ。


その言葉が頭に出ると、エトワールの顔が大きく歪んだ。


これ以上素晴らしいことはない。今までは公式ルートをなぞるだけだった。しかしこの身で存在するということは、自由に、この世界に自分だけのルートを作れるということだ。


――ループ制限があるのか、一回きりなのではないか


そんな疑問が頭を通るが、そんなのは関係なかった。彼女の頭は、【破滅】をもう一度体験できる、その事実に震え、歓喜していた。


「はぁ……至高の時ですわ……」


彼女は紅い瞳を輝かせて呟いた。


――私は……破滅をしたい……


あの興奮と愉悦が忘れられなかった。

そして、新たな好奇心も。


「さあ……破滅よ……私を待っていてください……」


エトワール・ラスティーニャの瞳は、紅く燃える太陽のようだった。

これから始まる「自分だけの破滅ルート」を思い、彼女は静かに微笑んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ