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Eクラスの最強魔法師  作者: 紙切虫
刹那岬メランコリック
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第二十四話《刹那岬メランコリックⅡ》


「麒麟校長、いるか?」


退院直後、九々津はすぐさま月読魔法学園へと出向いた。無論、授業の為ではない。

校長ーー月読 麒麟の元へと行く為だ。

校長室、と書かれたプレートのついたドアを引き、中へと足を入れる。

入るとすぐに、ニコニコと笑う麒麟の姿が目についた。


「はいはい、いますよ〜」


「相変わらずだな。で、ちょっと相談があるんですが」


「知ってますよ。そろそろだと思ってましたから」


「は?」


思わず素っ頓狂な声が出てしまった。

思って、いましたから?

麒麟はニヤニヤしながら立ち上がり、九々津を置いて歩き出す。

窓の方向に、だが。


「え、ちょっと……」


「さて、行きますよ。まずは問題児たちの回収です」


そう言うと、麒麟は背中から燃え盛る紅蓮の翼を創り出す。朱雀の翼だ。ふわり、と宙に浮くと麒麟は窓を抜け、そのまま上昇していく。九々津はわけがわからないまま、慌てて自分も飛んで麒麟についていく。

窓を抜けると、一ヶ月ぶりの屋上が見えた。懐かしい、というほど前でもないのだが、あそこは妙に寝心地がよかった。

そんなことを思い出した、直後に凄まじい風が九々津の頬を撫でた。髪がなびき、制服がはためく。


「な、なんだ!?」


急上昇し、屋上へ一秒とかからずに辿り着く九々津。屋上のコンクリートに足をつけた瞬間、とんでもない光景が目に入ってきた。


「…………せ、刹那岬?」


そこには、刹那岬が腕を巨大な角へと変化させ、名も知らぬ生徒を襲っていた。


「ひぃぃぃぃ!」


「あァァァァァァ!」


慌てて逃げまどう、同級生であろう男子生徒。

それに向けて、ワニへと変化させた足を振るう刹那岬。それは、アニマルソウルズ 【バイト】のはずだ。しかし、威力が桁違いだ。

振るった足の軌道上の壁や鉄柵が、噛み砕かれていく。


「……第二次覚醒、でしょうかね」


荒れ狂う刹那岬を見て、麒麟がポツリとつぶやく。

九々津は聞き慣れないその単語に疑問を覚えたが、そんなものは一瞬でかき消えた。

刹那岬は、転んだ男子生徒に向けて今まさに【バイト】を放つ直前だったのだ。


「まずいっ!」


足の重量を操作し、凄まじい速度でワニの顎と男子生徒の間に九々津は割り込み、手に紅の魔力を集める。


「【花火】!」


大きく顎を開き、迫るワニの口の中に小爆発が起こった。

ガウッ、と小さく悲鳴をあげてワニが仰け反り、刹那岬もバックステップで距離をとる。

が、そこで刹那岬は攻撃していた相手が逃げていた男子生徒ではないことに気がつく。


「……せ、先輩!?」


あたふたとし、刹那岬はすっ転んだ。慌てた状態のまま立ち上がり、目の前に立つ九々津を見つめる。

そして、目元を潤ませ、九々津へと思い切り抱きついた。


「先輩!!! 退院出来たんですね!」


「うおおっ!? あ、あぁ、まぁな。つうか……なんだこの状況」


九々津はボロボロになったお気に入りの屋上(ベッド)を見て唖然とした。

……俺の寝床が…………。

九々津は目に見えて肩をガックリと落とした。だが、まぁ壊れたものは仕方ない。それよりも、気がかりなのは刹那岬のことだ。一体何があったのだろうか。


「……その、日々蔵先輩が、六夜先輩の事を悪く言うので、ついカッとなって……」


「いや、これカッとなってってレベルか!? 見ろよ、もう床とか抉れてるじゃねえか!?」


「だ、だって自分でもこんなに威力が出るとは思ってなくて……」


狼狽える刹那岬。

背後で麒麟がため息をつくのが分かった。麒麟はツカツカと九々津の隣まで歩き、並び立つと刹那岬にデコピンした。


「全く……。校舎をボロボロにしたのはいいとして、覚醒してしまいましたかぁ……」


はぁっ、と大きくため息をつき、ボロボロのあたりを見回した。

すまなさそうに頭をさげ、ごめんなさいと刹那岬は謝っている。

しかし、してしまったものは仕方が無い。

麒麟は取り敢えず、相応の罰則を与えたらグチグチとは言わないタイプの教師だ。


「刹那岬さん、ちょっと右手貸してくれますかぁ?」


「へっ、右手?」


わけのわからないまま、刹那岬は言われたとおりに右手を差し出す。


ガチャン。


「は?」


場違いな金属音。

それは魔鉄で出来たなんの変哲もない腕輪がはめられた音。

刹那岬は呆然とそれを見る。


「……あの、これは?」


「あぁ、魔力封じの腕輪です。第二次覚醒が始まったみたいだし、暴走するのも危険なので一週間はそのままですねぇ」


「ええええええええええ!?」


「罰則だからこれくらいは当然ですよぉ?」


「えっ、で、でも魔法科の授業とかはどうするんですか!?」


「私から話は通しておきまぁす」


「えぇ……」


ガックリと肩を落とす刹那岬。まぁ、こればかりは仕方ない。

麒麟は怯える男子生徒ーー日々蔵には両手に腕輪をつけた。


「あなたも無闇に魔法を使った罰です。一ヶ月、禁止ですね」


コクリ、と無言で頷く。

最後に、麒麟は九々津の方を向き、にっこりと笑う。


「それと、魔法使えない状態では危険なので、六夜くんは暫くは刹那岬さんと行動を共にしてもらいますねぇ〜♪」


「あぁ、問題な……」


……………待て。

問題ない、と言いかけてとまる。

行動を共に、とはどのレベルだ?

まさかとは、思うが。


「あはっ、勿論」


「「……………」」














「寝るときとかも、ですよぉ♪」


マジかおい。

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