第3話 悩み
今回は短めです
「1つ……2つ……!」
操縦桿を握り、スイッチを押す。
ビームが的へ当たっていく。
「はぁ……はぁ……」
ツルギは汗を拭いながらコックピット内で洗い息をする。
オペレーターから通信が入る。
「ツルギくん、一旦休まない?」
「いえ」
ツルギは首を横に振った。
「まだ頑張ります」
ツルギが訓練から帰ってきたのは、日が暮れてからだった。
疲れた様子でツルギが更衣室の椅子に座ってると、ツインテールを揺らしながら彼はやってきた。
「ツルギ、お疲れ様」
「あっ、お疲れ。任務から帰ってきたのか」
「うん」
前髪に海月のヘアピンをつけたツインテールに、気だるげな瞳と低い声。
海月ヒカリ。
エクセリクシ・μストマのパイロットで、中性的な少年である。
「どうした? 悩み事」
「うん……ちょっとな……」
「ふーん……よかったら、先輩パイロットのボクが聞くよ?」
「ありがとう、聞いてほしい」
「んで、どうしたの?」
「昨日、初陣でさ」
「うん」
「上手くいかなくて、結構スレスレのところでghoskeleton倒したんだ。……上手くいかなかった」
「初陣なんてみんなそんなもんだよ。むしろ、頑張って街やみんなを守ったんだろ? ツルギはさ。なら、それで充分だよ」
「そうかなぁ?」
「そうだよ。たしかに守るものが多くて、なかなか気負うだろうけどさ、それで何もできなくなったら、それこそ守れるものが守れなくなっちゃう。あんま考えすぎないほうがいいと思うなぁ」
「そうか……」
ツルギは彼からの言葉を咀嚼するように、上を見上げた。
——紺色の夜空の下。
星の光の軍を抜いて、翼を広げたのは、鳥か、獣か。
木の根のようにはびこり、侵入し始めた。
鳥でもなく、獣でもなく、化物だった。




