第11話 ツヨキモノ②
11話 ツヨキモノ②
「さて……あれの対処、どうしましょうか」
作戦室に並んだパイロットや職員たち。
アイが肩を組みながら話す。
「今回のやつはどうにも厄介ね。こちらの兵器を使ってくるし、いつものとは違って手強いわ。幸い、こちらを舐めているのか静止したままだけど、このままにはもちろんできない」
「どうしましょうか、やつを倒すには今までの戦い方じゃ」
「そうね……エクセリクシ3機でも怪しいわ」
皆が考えてる中、ツルギは少しなにかに気づいたような顔をする。
「舐めてるって、ghoskeletonにも心があるんですか?」
「分からないわ、でもあの様子じゃ、多少の知能はありそうな気がする。現に攻撃を使い分けるし、ビーム兵器を完全に模倣してる」
「知能があるってことは……思考能力はあるんですよね?」
「? そうだけど……どうしたの?」
「その……もしかしたら、倒す方法があるかもしれないです」
「ほんと!?」
皆がツルギの方を向く。
「本当です。……エクセリクシはパイロットの心に反応して、装甲を自由に変化する力を持ってるのはみんな知ってると思うんですが」
「そうね。……まさか?」
「はい、アイさん。そのまさかです。僕はそれを使って、ghoskeletonと一時的に同化し、やつの脳内をかき乱して隙を作ろうと思います」
「なるほど……たしかに理論上は可能ね。エクセリクシの力ならたしかに……」
「しかしそれではツルギ、ghoskeletonによってはお前は!」
「うん、僕が失敗すれば、今度は僕の精神は持ってかれて、よければ廃人、悪ければghoskeletonに完全に吸収される」
「だめだ! そんな危険なこと息子にさせるわけには!」
「やらせてください、ムツキさん」
ヒカリもツルギの作戦へ賛同する。
「ヒカリくん……」
「たしかにこの作戦は危険です、ボクも友人の彼を死なせたくはない。でもこの作戦すらだめなら、あのghoskeletonを倒すことすらできない。お願いします」
ヒカリが頭を下げた。
ムツキは困ったような顔をしつつ……ついに諦めた。
「……分かった。その代わり、皆必ず無事に帰ってくると約束してくれ」
「ありがとう、父さん。必ず、帰ります!」
ツルギとヒカリがムツキへ敬礼をし、機体の方へ歩いていく。
「えっと……あっ……じゃ、わ、私も行ってきます……」
おどおどとしながらも、ナミダも機体へ戻っていった。
パイロット3人が去ったあと、ムツキはため息を吐く。
「あの2人も強引ね」
アイが笑った。
ムツキは少し疲れたような顔でアイの方を見る。
「まぁなぁ……でも仕方ない。俺達はあの子達に賭けるしかないさ」
「システムオールグリーン!」
「発射台スタンバイ!」
「メスカ、夏野ツルギ、出ます!」
「μストマ、海月ヒカリ、出る」
「セオジェン、朧月ナミダ、出ます……!」
3機ともカタパルトから出撃していく。
μストマを先頭にghoskeletonを補足すると、ツルギより先にナミダとヒカリが敵へかかる。
2機はビームソードとビームアックスを交互に振ってghoskeletonを追い込む。
ghoskeletonのビームソードはそれを捌いてみせるが、背後からツルギとメスカの姿があった。
「いまだ! ツルギ!」
メスカの掌がghoskeletonに触れる。
メスカの装甲が溶け出し、ghoskeletonと繋がっていく。
ドクン。
ツルギの心臓の鼓動が早まる。
思考のケーブルがghoskeletonの脳?へ繋がっていく。
接続完了。
ツルギの瞳にはヘイローのような輪が映っていた。
ツルギの思考と精神がghoskeletonの中へ入り込む。
そこは恐怖、悲しみ、憎しみ、痛み、怒り、人間の負の感情と思考がごちゃごちゃとした糸のように絡まっていた。
コックピット内のツルギはうめき声をあげて血を吐く。
それでも操縦桿を握り直し、ghoskeletonの精神の更に奥へと入り込む。
光。
ツルギの目の前へ白い光が射し始めた。
ツルギはその光の線と線を掴んで、握りしめた。
ghoskeletonが悲鳴を上げる。
ghoskeletonがツルギを剥がそうとするが、半分同化しているツルギを引き剥がせない。
「今だ! 二人ともぉ!!」
口や目から溢れ出る血を感じながら、ツルギは2人へ合図をする。
2人はビームソードとビームアックスをghoskeletonの心臓部へ刺し、ghoskeletonの機能を停止させる。
「ツルギ!!」
2人はコックピットから降りると、倒れ込んだメスカへ駆け込む。
コックピットを開くと、ツルギが血を流したまま倒れていた。
ナミダが驚愕する。
「ツルギくん!? まさか!?」
驚きつつもヒカリがツルギの脈を確認する。
「……! 大丈夫、死んではいないみたいだ。気絶しているのか……医療班を呼んでくれ!」
「はいっ!」
***
「……んん?」
目が覚めると、ツルギは白い天井を見上げていた。
「たしか僕は……ghoskeletonの中へ……?」
ツルギが目を開けたのを確認すると、ナミダは声を張り上げた。
「先生……! ツルギくん起きました!」
「本当?」
白衣を着た医師がツルギを見下ろす。
「あの……僕ってなにが……?」
「覚えてないのかよツルギ」
ツルギのいるベッドの隣に座っていたヒカリが言う。
「あのあとお前、血吐きながら倒れたんだ。3日くらい意識戻ってなかったんだぞ?」
「そうなのか……ごめん、ありがとう」
「まぁいいよ、一応無事で良かった。しばらくに安静にしておけよ」
「わかった」
ツルギは頷く。
その後数日してツルギはパイロットへ戻ったのだった。




