第16話 二人の約束
次回は明日投稿予定です。
「…………」
——アルカディア王国は今荒れていて危険だ
——王子様が逃げ出したらしいわ
——早く見つかると良いけど
不意に誰かの言葉が頭の中で流れた。
アルカディア王国は大国だぞ、捕まれば何が待っているのか……。
私は唾を飲んだ。
今ならまだ引き返せる、この子と関わるのは危険だ。
分かってる、分かってるのに——私は目の前に居る少年から目を離す事ができなかった。
「……あ〜もうっ!!」
本当に私って馬鹿だ、変なとこお人好しなんだから……!!
「ルーク」
私は彼の手を取り瞳を見つめる。
「ユナさん……」
呼吸を整え、口を開いた。
「ルーク、旅をすると言う事は遊びじゃないんだよ。危険な目に会うかもしれないし、怪我だってするかもしれない」
「それでも——それでも貴方が私と一緒に居たいなら、約束して」
私は右手の小指を、彼に差し出した。
「私は貴方を信じる。だから、貴方も私を信じて欲しい」
ルークは意を決した表情をし、小指を差し出した。
「分かりました。僕は……貴方を信じます」
彼がそう言うと、私は彼の小指に触れて小指同士をそっと絡めた。
「……うん。これからよろしくね、ルーク」
私が彼に優しく微笑むと、彼は顔を真っ赤にして照れている様な表情を見せる。
「こちらこそ……よろしくお願いします」
月明かりが優しく降り注ぐ中、私たちの——本当の旅が幕を開けた。




