第10話 違和感
翌日、私は町を出るためにいつもよりも早く宿を出た。
まだ辺りは薄暗く、辺りは静寂に包まれている。私はそっと静かに移動し、人気のない町を歩き続ける。
……昨日の少年は無事だろうか。
ふと歩きながら昨日の出来事を思い出す。あの後、少年の姿を探したものの彼を見つける事は出来なかった。
あの様子からして、少年は家出をしたか追い出されたか……。
それにしても……なぜ少年がこの町に居たのだろうか。
この町に子供が住んでいる様子は見えないし、この近くに村があるわけでもない。
王国からは遠く離れている為、子供だけでは到底辿り着く事は出来ないだろう。
私は足を動かしながら、浮かんでくる疑問点を整理する。
あれこれとパズルを埋め合わせていくうちに、どんどん嫌な予感が胸を締めつけた。
……もしかしたら少年は今もどこかでお腹を空かせているかもしれない。
それどころか、彼はまた厄介者に絡まれてる可能性だってある。
そう思うと、どこか胸の奥がズンと重くなるのが分かった。
私があの時、彼に何か余計な事を言わなければ少年は逃げ出さずに済んだのに。
——いやまて、なぜ少年は逃げ出したんだ?
私が少年を助けた時も、少年を食堂へ連れて来た時も、少年は一向に被っていたフードを外そうとはしなかった。
それどころか、食事をしていた時もフードを深く被り、一向に顔を見せてくれなかった。
誰かに追われてた、とか。
顔を見せてはいけない、とか。
少年には、自身を隠さなければいけない何らかの理由があったのだろうか。
「……まさかね」
私はふっと苦笑いを浮かべる。
私の考えている事が本当だったら、それは大惨事を引き起こすに違いない。
私は早くこの町から出るために足を急がしたのだった。




