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その25:絶望の中で俺は 中編

 月明かりが優しく王都を包む中、エリスの拉致を以来した男ーーー桜木桜花さくらぎ おうかは一人、歓喜の渦の中にいた。


 夢にまで見た猫人の少女は、今は自分の手の内にある。生かすも殺すも、どうしようが自分の気分次第。


 3日前に拷問をしから、男は一度も地下の拷問部屋を訪れていない。あの少女は今頃極度の飢餓状態だろう。

 飢餓に苦しみ、激痛に顔を歪め、絶望に涙する少女ーーーその姿を想像するだけで快感の鳥肌が立つ。


 地下に閉じ込め心身を削り、あえて間を空けてから、今度は甘い言葉で誘惑する。今までこの方法で堕ちなかった女はいない。


 女を屈服させた時の快感は何物にも代え難い。

 快楽的な拷問もあるのだが、今回は止めた。完全に心を自分の物にして従順な女にしてからが良いと考えたのだ。


 さて、今日は鞭の後の飴を与えてやろう……そんな事を考えながら、男は地下へ向かう。

 薄暗い下り階段は、松明(たいまつ)の灯りよって照らされている---そしてしばらく下りていくと、鉄製の扉が見えた。


 自然と気分が高揚するのを自覚しながら、ニチャー、っとした笑みを浮かべながら重い鉄製の扉を開ける……すると、予想外の光景が男の目に映る。

 そこには新雪を思わせる真っ白な髪、同色の猫の耳と尻尾。そして、左眼だけが紅蓮のように赤い少女が幽霊の様に立っていた……。


 ◇■◇■◇


 話は4日前に遡る。

 エリスと別れて、部屋に戻った凛は、なんとも言えない胸騒ぎに頭を悩ませていた。


「遅い……いくら何でも、遅過ぎる」


 この宿の女将に呼び止められ、用が終われば戻って来ると言っていた。しかし、今の所戻って来る様子はない。

 心配になった凛は、此方から出向くことにした。どうも嫌な予感がする。広間に向かうと、驚いた事に、見知った顔が宿員に向かって何か叫んでいるようだ。


「だから、此処に泊まっている凛お姉ちゃんに会わせて!!」

「えーと、申し訳ありませんが、お客様の個人情報はチョッと……」


 困った様に宿員が相手をしている所だった。


「糸奈、どうしたんだい?そんなに慌てて」

「あっ!!お姉ちゃん!」

「話は部屋で聞こう。すみません、知り合いが迷惑をかけた様で」

「い……いえ!お気になさらず」

「そうか。じゃあ糸奈、行こうか」


 糸奈を連れて部屋に戻る。その際背後から、お姉さま……、など聞こえるが今は無視だ。まったく、勘弁して欲しい。

 部屋に戻り、早速何があったのかを聞く。


「それで糸奈。一体何があった?」


 きっとエリスが戻って来ないのと、糸奈が此処に来たのは、何か関係があるはずだ。とても偶然とは思えない。


「お姉ちゃんが……エリスお姉ちゃんが、知らない人に連れて行かれちゃったの!」

「へっ?……な、何だって!?」


 返ってきた言葉は、予想もしていなかった事態を告げるものだった。言葉使いは幼いが、大体は理解できた。悪い予感が当たってしまったのだ。

 話を聞くと、店の裏口近くで遊んでいるとエリスの声が聞こえた。そっと物陰から覗くと、エリスが黒ずくめの男に拐われる瞬間だったと言う。

 声を必死に殺して、この事を凛に知らせる為にここまで走って来たそうだ。


「そうかい……ありがとね、糸奈。よくやってくれた。エリスの事は私に任せな、その情報だけでも十分助かる」

「うん……約束だよ?」

「ああ、約束だ」


 私は覚悟を決めた。

 例えどんな手段を用いても、義妹を……家族を連れ戻すと。

 それから凛は王都中を走り回った。『着物屋 織原』周辺を念入りに情報を聞き込んで周った。


 そして分かった事が2つ。

 まず1つが、エリスを連れ去った黒ずくめの男は、この国の王族つまりは、桜木家の配下である『暗部』の者だと言う事。

 2つ目は、必然的に今回の誘拐事件の黒幕が国王の身内だと言う事。


 凛は頭を抱えたくなった。

 いつの世も似たようなもので、強者が弱者を虐げる弱肉強食の世界。強者が白と言えば、たとえ黒だとしても白になる世界。

 ここでエリスを助けに行った場合、間違いなく自分は国家反逆者にされるだろう。


 だが……そんな事はどうでもいい。

 今は、愛しい義妹を救う事が最優先事項だ。

 自分の目的を心の中で再確認し、凛は一人……王城に乗り込む決意を固めるのであった。

ブクマ、感想、評価をありがとうございます!

ーーーーーーーーーー

まいど、四葉でございます。

最近思うのが、やっぱり小説書くのって難しいーーーです。

つじつま合わせとか考えるのが、凄く苦労しています。

ですが、完結は絶対させます!!たとえ無理やりでも……。

今後も、無理やりつじつまを合わせる事や、強引な修正があるとは思いますが「ご都合主義」って事でご了承下さい。

これからも本作品をよろしくお願いいたします。

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