表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/54

その24:絶望の中で俺は 前編

「うっ……こ、此処は……」


 目覚めた場所は、薄暗い地下室の様な場所だった。

 俺は拉致されたのか……今俺は、アルファベットのXみたいな形をした鉄板に手足を拘束されていた。

 魔法でどうにかしようと試みたが、駄目だった。どうやら、首に付けられた首輪が魔力の流れを乱しているらしい。


 まったく……普通はチートで楽々解決!!ーーーと、いった場面なんだけど。

 一見、落ち着いている様に聞こえるが……こうやって色々考えてないと恐怖で今にも発狂してしまいそうだ。


 するとガチャン、と鉄製の扉が鈍い音を立てて開く。

 中に入って来たのは、生理的嫌悪感を抱く様な小太りした中年男だった。


「おお、目が覚めた様だな」


 ゲスい笑みを浮かべながら俺の方に歩いてくる。


「ここは何処ですか……?早く拘束を解いてキュウを返して下さい」


 睨みつけながら言い放つ。


「ハッ!自分の立場が理解できていない様だな〜!!」


 腹を思い切り殴られた。体は鍛えてはいるが、それでも大人の力で殴られれば激痛が走る。


「がはぁッ!!いっ……ギィ!があああぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!?」


 鈍く、鋭い痛みが全身を駆け巡る。

 男の拳にはギザギザとした『メリケン』がはめられていた。

 殴られた場所には、4つの小さな穴が空いていた。ドバドバと血が溢れ出てくる。


 此処で死ぬのか……、そう思った瞬間、足元から緑の光が俺を覆った。すると、みるみると傷が塞がっていく。

 どうやら足元には回復用の魔方陣が描かれている様だ。

 助かった……と思ったが束の間。

 ヒュパン、と風切り音が聞こえた瞬間、


「いぎゃああああぁぁぁぁぁああああ!!!!」


 今度は鞭で打たれた。

 叩かれた所が裂けて血飛沫が飛ぶ。皮膚を破り、肉と血管を裂き、骨に当たり止まる。

 すると、すかさず魔方陣が発動し、傷が癒る。さらに5回ほど叩かれる。


「お……お願いじまず!許してくだざい……!」


 必死に懇願した。

 早くこの苦痛から逃れたい、解放されたい。

 そんな思いで一杯だった。それしか考えられなかった。


「さっきまでの威勢はどうした?簡単に折れてくれやがって……

じゃあ---」


 そんな俺の気持ちを嘲笑うが如く悲劇は訪れた……。


これ(・・)なんだと思う?」


 男が持っているもの……|キュウは衰弱していたが、生きている。


「キュゥ〜」


 弱々しい鳴き声で俺に助けを求めている。


「や、止めて下さい!!お願いします!」


 最悪の展開が頭を巡る。


「クックック、これ(・・)が大事か?大切か?じゃあ…….」


 ベキッバッキ、とキュウの首の骨が折れる音が、生々しく聞こえる。ピクリと大きく痙攣した後、キュウは動かなくなった。男が手を離すと、ポトリと床に落ちる。

 最悪は現実となった……。


「あ、あぁ、き、キュウ?あぁ、あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」


 喉が張り裂けんばかりに叫ぶ。

 キュウが死んだ……いや、殺された。この(クズ)のせいで。今までの旅でのキュウとの思い出が、走馬灯のように頭に流れる。


「よくも、キュウを……よくも、よくもおおおおおおぉぉぉぉぉぉおおおお!!!!」

「フハハハハハハ!!!!耳に心地いいな〜!こんな苦痛や理不尽を何故自分が……そう思うだろう?

 教えてやる、すべてはお前が弱いせいだ。力が無かったからだ!恨むなら自分の無力を呪うんだな!!」

「くそおおぉぉぉおお!!!殺す!殺してやる!!!」

「威勢が良い雌猫だな〜!!!」


 ガツッ……。


「つぅぅううう!!が、があああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!」

 

一瞬で鋭い痛みが体を突き抜けた。と、思ったらじわじわと激痛が俺を襲う。

 右の手の平を太い釘が貫いている。

 しかも、回復しても刺さったままの為に痛みが引かない。

 左も同じ様な事をされた。

 そんな暴力と回復のやり取りを数時間、もっと長かったか。

 喘ぎ、悲鳴が続いたーーー。


◇◼◇◼◇

 

 一体、いくら時間が経っただろうか?

 12時間?1日?3日?分からない……。

 あの拷問以来、男は此処に来ていない。

 疑問を持ったが、来ないに越したことはない。


俺の心は折れてしまった。完膚なきまでに粉砕されてしまったのだ。度重なる激痛と苦しみで、体も心もに磨り減った。意識を失えば楽だったが、回復魔法陣がそれを許さない。


 空腹も酷い……俺は此処に来て何も食べていない。きっと、空腹で苦しむ俺を想像して優越感を味わってるに違いない。

 現在、俺は極度の飢餓状態に陥っていた。

 

 (どうして……どうしてこんな事に……?)


 そんな疑問が何度も頭を巡る。

 眠ろうとしても、まともに寝付けず。眠れたとしても、刺さったままの釘の痛みと、飢餓で目が覚めるーーーその繰り返し。


 それを何度も繰り返している。


 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、何度も、


 (こんな苦痛が続くぐらいなら……早く……死にたい)


 (死にたい……いっそ一息に殺して……いや、生きたい……)


 (死にたくない、まだ死にたくない、死にたくない、死にたくない、)


 (キュウが殺された……キュウ……)


 (あいつが殺した……)


 絶望で歪んだ心を徐々に、ドス黒い感情が蝕んでいく。純白な和紙に墨汁を垂らしたように、エリスの感情と思考を黒く黒く染めていく。


 (誰が悪い?)


 (あの男……いや、あの忍者も……全てだ)


 (俺に害なす者、不条理、理不尽を強いる全て)


 極度の飢餓状況、激痛、憤怒、憎悪、悲しみ、絶望、孤独感、生への渇望

 それら全てがエリスの心を崩壊させ、新たなエリスを再構築した。


(敵はどうする?)


(殺す、この世から消し去る)


 その価値観に容赦など無い。


 敵と認識したら殺す。生きる為に、もう失わない為に。

 不純物のない玉鋼で鍛えられた刀の様な、鋭く、強く、それでいて美しさすら思わせる程の鋭利な殺意。

 自分の存在を脅かす者は、どこのどんな奴でも、たとえどんな手段を用いても、確実に、冷静に殺す、


(殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、)


 今、この瞬間に明るく、無邪気な少女は崩壊した。そして、生きる為ならば手段を問わない冷静で冷徹な少女が生まれた。

**********

ブクマ、感想、評価をありがとうございます!


まいど、四葉であります!

なんか......あれですね、書いていて凄い罪悪感が......

一応「鞭」は物にもよりますが、プロが使うと先端の速度が音速級の速さになるらしいですよ。備考です、はい。

主人公を悲劇のヒロインみたく豹変させるにはどうすればいいか?結果がこれです。

すいません......二次創作物感が全開ですね......作者の国語力の無さをお許しください。

それでは、また。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ