その19:装備を作るのです②
廃墟もとい工房から、寝惚けた顔で出てきたおっさん。
本当にこの人が王都1の木工職人なのか?
「それで凛……今回は何の用だ?まさか、また馬車を造れなんて言うなよ……」
「ははは、その件は世話になった。残念ながら今回は、この子に杖を作って欲しい」
どうやら本当の様だ……。
「え……凛に連れ?!」
気づいて無かったんかいおっさん!
凛さんの斜め後ろにいたよね?!影薄い訳じゃないよね?!
幻の6人目とか言われてないよな俺……。
「王都に来る途中で拾ってね。今では立派な相棒さ」
凛さん……パートナーは嬉しいんですが、道端に捨ててあった猫みたいに言うのはやめて下さい……。
「そうか、しかしあの凛に連れができるとはな〜、人生何があるかわからないな」
「ふふ、全くだ……自分でも驚いている」
意外だな、あの凛さんが気を許しているなんて……。
「で、連れの嬢ちゃん。名前は何て言うんだ?俺は楠、森崎楠だ」
一応ここで補足を付け足す。今まで会ってきた人が名字持ちばかりだったが、みんながみんな同じでは無い。
思い返して欲しい……キヌネさんやクスノさんは、どちらも王都No.1を誇る職人だ。
この国では腕の良い商人、職人、役人だけが名字を持つことを許される。
そうでない人は、俺みたいに名前だけだ。
名字は、ある種のステータスだな。
おっと、まだ自己紹介のつづきだったな……イカンイカン。
「はい、私はエリスと言います」
「エリスか……良い名前じゃねーか!でも、この国の人間じゃねーよな?」
当たり前だな、痛い所を突く……。
「どうだって良いだろ?そんな事より、どうなんだい。杖を作ってくれるのかい?」
ナイス凛さん!
お陰で、上手く話を逸らせた。
「おう、勿論良いぜ!何たってあの凛の連れだからな」
「あ、ありがとうございます!」
よっしゃ〜!!
主武装問題が解決した……でも待てよ?
これだけ凄い職人に依頼するオーダーメイド。
当然とんでもない料金がかかるんじゃ……。
「そんな顔すんじゃねーよエリス。料金なぞいらん!むしろ、こっちから頼んで腕を振るわせて欲しいぐらいだ!」
だから何で分かるの?!
てか、無料?
「良いんですか?それって赤字じゃ……」
それも相当な額になるはずだ……っと、ここでまた補足。
杖とは何か?
ザックリ説明すると、杖とは魔法使いの補助具だ。
普通に魔法を使うのと、杖を使った場合では実に3〜4倍もの差がある。
ぶっちゃけ相性とか才能っすね。
某魔法学校の生徒みたいに、杖が使い手を選ぶ……何て事はないらしい。
残念だ…ハ○ー・ポッターの世界を体感してみたかったのだが……。
杖はベースになる木材と、魔力の媒体になる魔水晶で大体の性能が決まる。もちろんお値段も、素材に比例する。
「金と職人魂を秤にかける阿保じゃねーぜ俺は。良い使い手に、良いものを作りたい。これが理由じゃ駄目か?」
「い、いえ!そんな……」
や、やべー……まじカッコ良いよこの人!
根っからの職人気質ってやつか?
男……いや、漢だな!
「そ、それではお願いします」
「おう、任せとけ!多分一ヶ月で完成すると思うから、楽しみにしとけよ!」
一ヶ月後か〜、待ち遠しいな。
「悪いな、代金は払うつもりだったんだが」
「お前も気にすることねーよ。俺とお前の仲だろ?」
「ふふ、そうだな。今回は、その言葉に甘えさせて貰おう」
仲良さそうだな〜、俺とお前の仲か……って事はもしかしてーー-、
「お姉ちゃん……その人と付き合っているんですか?」
「「違う」」
そ……即答ですか……。
てか、そんなに睨まないで!
「エリス、帰ったらお話しようか?」
「嬢ちゃん……夜道に気を付けろよ?」
「ヒィ〜!す、すみませんでした〜!!!」
殺気がやばい……!
仲良いんだか、悪いんだかどっちだよあんたら?!てか、クスノさん夜道って怖!
その後宿に帰って、凛さんとたっぷりお話した。
それも一時間も……。
長時間正座で立てなくなり、そのまま眠りについた。
本作品はブクマ、評価、感想を糧に執筆しています。
皆様どうぞよろしくお願いします!
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どうも四葉です。
皆様大変すみませんでした!
思ったより長くなってしまい、目的の場面まで行きませんでした…
次こそはバトルシーンを入れますので、どうかよろしくお願いします!




