その20:初のお仕事?と実戦
「うぅ〜、足が痛いです……」
筋肉痛とはまた別の痛みに必死に耐える。
凛さん流のOHANASHIとは、一言で言うならば拷問だった。
あれは酷かった……。
まず脚を麻縄で縛り、無理矢理正座の体勢にさせられ、腕も後ろで縛られ、身動きを完全に封じられた。
そして止めとばかりに、脚の上に絶妙な重さの石を乗せられた状態でOHANASHIさせられた。
凛さんはそっちの趣味に目覚めたのだろうか?レズは良いが、SMは勘弁だぜ……。
「自業自得だよ、全く……」
うっ、正論だから言い返せない……まさか正座で疲れて気を失うとは思わなかったが。
◇◼◇◼◇
俺と凛さんは取引先の鍛冶屋に向かっていた。
交渉するのは、砂鉄の値段だ。
なぜに砂鉄?と疑問に思った人の為に、刀の原材料となる玉鋼について説明しよう。
刀の材料になる玉鋼は砂鉄から作られる。
玉鋼を生み出す代表的な製法が「たたら製法」だ。
たたら製法とは、粘土で作った炉に砂鉄を入れ、木炭で燃焼させて刀の原料となる玉鋼を作る製法の事である。
この時、炉内の温度を上げる為に鞴を使うのだが。この鞴が「たたら」と呼ばれていた事からこの名がついたとされている。
たたら製法には「鉧押し法」と「銑押し法」の2製法がある。
主な刀の玉鋼は鉧押し法で作られる。
なんと一代(鉧に作るのに必要な炉を粘土で作ってから、壊して鉧を取り出すまでの工程)に必要な材料は砂鉄が10t、木炭が約12t、炉を作るための粘土が約4t必要となる。
それだけの材料を使っても、良質な玉鋼は100〜200kgしか採取できないのだ……塵も積もれば山となる。
たかが砂鉄でも、10tも売買しようと思ったら交渉が必要になる訳だ。
『え、10tもある砂鉄を持ち運んでるの?!』と、ツッコミを入れたい人。
気持ちは分かる……だが、
安心してください、履いてますよ!……すいません、ノリでつい。
話が脱線したな。
砂鉄は今、俺が【空間魔法】で作った亜空間に入れている。
亜空間には”生きているもの”以外ならどんな物でも好きなだけ入れられる。
モン◯ンに出てくるアイテムボックスの究極形の様なものだ。
もしくは、ド◯えもんの四次元ポケットだな。
さらに、亜空間内では時間と言う概念が存在しない……これがどういう事を示すかと言うと。
魚を入れっぱなしにしても、腐って出てきたりしない。
出来立ての料理は、ホカホカのまま出てくる。
氷をずっと入れていても溶けない。
お判り頂けただろうか?この魔法の凄さが……凄さ通り越してチートですが……。
もちろんこの事は凛さんに伝えてある。
鍛冶屋に着いたら、こっそり置いておく作戦……プランAだ!……BもCも無いんですけどね。
「それにしても、職人街には色々なお店(工房)がありますね〜」
当たり前だよ……と、凛さんがツッコミを入れて来たが、当然無視。
この王都は職人街、商店街、民家街の三つに区切られている。
昨日訪れた森崎工房|(仮)もこの職人街に位置する。
「見えた、あそこだよ」
凛さんが指さした方向に、それらしき店があった。
大きな煙突が印象的だ。
「うぅ〜、今から緊張してきました……」
心臓が口から出そう---なんて言ってた人の気持ちが、今理解できた。
「大丈夫だよ。ミスしてもフォローするから」
「お姉ちゃん……!」
そんなに優しくされたら、惚れてまうやろ〜!……懐かしいな......このネタ。
「ほれ、着いたよ。気を引き締めな」
いよいよか、腕がなるぜ。
◇◼◇◼◇
店に入ると、女性の店員さんがいた。
「いらっしゃいませ!本日はどの様なご用件ですか?」
完璧な接客で迎えてくれたのは、ショートヘアーがよく似合う少女だった。
「はい。今日は依頼された砂鉄の値段交渉にきました」
ふぅ〜、噛まずに言えて良かった。
出だしは好調だな。
「それでは親方を呼んで来ますので、少々お待ちください」
ーー待つ事2分ーー
「おぅ、待たせたな!俺が店長もとい親方の二代目 正霧だ!」
豪快な印象を受けるこの人が、今回の交渉相手か。
「単刀直入に聞くが、まず幾らで売ってくれるか言ってくれ!」
本当に単刀直入だな、おい!
「はい。大金貨2枚でどうでしょう?」
日本円で20万円か。
「ああ、それで良いぜ。交渉成立だな!」
え、良いの?
呆気なさ過ぎじゃね?!……俺の覚悟を返せ!
「これが代金だ。確認してくれ」
「ま……まいど」
これが俺の初仕事……だが、金は金だ。
「お姉ちゃん」
「ああ」
この一瞬のアイコンタクトで、こちらの考えを察してくれる。
これぞ以心伝心である。
「正霧殿、次回の取引だがーーー」
よし、凛さんが時間を稼いでる今のうちに。
そろ〜り、と店を抜け出し、裏手に向かうーーーー。
◇◼◇◼◇
周りを見回してみる……OK誰も見てないな。
「亜空間・開」
そう唱えると、一瞬だけ周りの空間が歪み、ブラックホールの様な穴が開く。
そこから出てきたのは、ゴミ袋サイズの麻袋ーーー数20。
よし!これで任務達成だな。
しっかし、初めて使ったが便利だ……バックパックいらずだな。
「さて、戻りますか」
そう思った時だったーーーー、
「おうおう、嬢ちゃん。こんな所で一人かい?」
「女の子は一人になっちゃいけないって、お母さんに言われなかったかい?」
裏手からほど近い路地裏で、女の子がチンピラ二人に絡まれていた。
顔は菅笠を被ってて見えないが、多分美少女だろう。
「何とか言えよ!」
「きゃあ!」
チンピラAが女の子を突き飛ばして、女の子は背後の壁にぶつかり気絶してしまった。
「おいおい、気絶しちまったぜ?」
「まじか〜。どうするよ?奴隷商人に売り付けるか?」
「そうだな。この嬢ちゃんなら高く付くぜ!......その前に味見するか?」
「バカ。ヤッちまったら値が下がっちまうだろうが!」
こいつら……人が黙って見ていれば
もう無理、我慢の限界だ。
「おお!何だよ姉ちゃん、見てたのか?」
「よく見れば可愛い顔してんじゃん?見ちまった以上……タダでは返せねぇな!」
チンピラAが殴り掛かってくる。
この時不思議と恐怖を感じなかったーーーチンピラAの攻撃を避けて、カウンターで足を引っ掛ける。
見事にAはつまずき、顔面から地面にダイブした。
「テメェ……やりやがったな!」
どこの餓鬼だお前は?
Bは腰に差してた刀を抜いて、切り掛かってきた。
それは……駄目だ。
「結」
Bの足を、俺が開発した"無属性魔法"の【結界】で固定する。
「ふぎゃ!」
Aと同じ様に顔面を強打するB。
「な……何だこれ!?」
右足が動かない事に気付き、慌て出す……が、もう襲い。
「滅」
唱えると同時にBの右足が消滅する。
「ああ〜〜!!!足が?!俺の足が〜〜!?!!?」
辺りに血が弾け飛ぶ。
狂った様に叫び出すB。
結界が弾けた時の余波で、バンダナが頭から落ちるが気にならない。
こいつはクズだ……女の子に暴力を振るい、あまつさえ気絶した所を奴隷商人に売り払う。
こういうクズは死なないと分からん。
今度はBの全身を結界で囲う。
「結」
---だから。
「ひぃ!や……、やめろ!!!頼む!!」
---死ね。
「滅」
「や---やめっ!……っ!」
パンッ!
辺り一面が血の海になった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございますございます!!これからも本作品をよろしくお願いします!
あと、ブックマーク登録・評価・間違いの指摘もお願いします!
*********
まいど!
で、お馴染みの四葉で御座います。
今回は3つの報告?ですね。
1:やっとバトルシーンを入れれましたが、少し長くなってしまいました.......すみません!
刀の事になるとつい.......
2:通貨の価値が変動しております。
詳しくは その5 をご参照ください。
3:ブクマが100を突破しました!ニヤニヤが止まりません!
遂に3桁ですよ。
ここまで応援してくださった皆様.......この場を借りて感謝を申し上げます。
どうも、ありがとうございます!
そして、これからもよろしくお願いします!




