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クリストファー ②



クリストファー青年国王は、その後 威風堂々とした為政者へと成長してゆく。

 


愛する故郷に暮らす国民の為

日々黙々と、よりよい善政を行う為の勉学にはげんだ。

 


むろんそんな統治者なぞ滅多におらず、彼に1目会おうと数多の惑星から表敬訪問として、名のある王族やVIP、外交官が頻繁に訪れるのだ。


真面目で爽やかな美男子である彼に惚れ込んだ特使達は皆帰国後、それはいそいそと母国の名家の姫君達との縁談をとりまとめる様、積極的にそれぞれの君主に進言した。


使者らは全員彼を

「側妃どころか寵姫、恋人すら居ない寂しげな独り身だなんて、なんという貴重な人生の無駄遣いだ」と考える。


「全くとんでもありません! 勿体なさすぎます!」

彼等なりに珍しく、下心による我欲や悪意からなどではなくて、本気の善意で、そう心配したからに他ならなかった。



しかしクリストファー国王はーーーー無欲にニコニコこう言うのである。


「この様な美しき善い方など、田舎暮らしの見苦しい自分には勿体ない事でしょう。


ーーーご紹介の姫君は、もっと良い待遇での豊かな生活が謳歌出来る、素晴らしき優しい素敵な姫君ですので」


1人1人に温かで誠実な対応で謙虚に柔らかく辞退してゆく。


そして逆にこの奥ゆかしさが、益々熱いファンをそこらじゅうに爆誕させてしまうのが皮肉とも言えた。



クリストファー国王は、キャサリン王太子妃が亡くなって以後、どんな縁談の勧めにも全く耳を貸さず、再び何方とも再婚する事は無かった。



ーーーそんな時代のことである。


電脳ジャーナル名物〜 期間限定。

年間まとめ記事&購入者用記録用チップ、パッケージ販売。


元々性質的に無頼漢で硬派な記者が多く、故にチップはともかく容れ物〜大事な保存用外装〜「ケース」には全く関心がなかった。


一度もリニューアルなんかしたこともない判で押したような形状。


マイナーチェンジすら遥か遠い、無骨極まる(クソダサい)無機質形状のものしか一般向けに販売しない為、売上がどうも芳しくない。


世の中見た目が全てとは言わないが、「これってちょっとどうなの?」な発売元の関心のなさっぷりが炸裂しているという商品展開である。


確かに優秀で俊敏で賢い階層のとあるグループは「チャラい事柄」を嫌悪、憎悪する傾向にはあるというものの、しかしそれではいけない。


精力的な報道活動を可能にする為の資金〜いわゆる「軍資金」の多くは、記事の配信料以外、これでガッツリ稼ぐためだからである。


支える利益を得る為に、必死で馬車馬みたく虚しく頑張る営業部は、毎年恒例この販売期間が非常にたまらなく憂鬱だった。



「ヤレヤレ〜又今回も大量に売れ残って。

親戚筋や友人に買ってくれって、山ほど嫌味を聞きつつそれでも頼むのかぁ〜」


「こんな持ってるだけでダサいの決定な箱、やーん私だっていらないわよ!」


「だよねぇーーー

無駄にブランド名だけってだけで、高いばっか高くてさぁ〜しかも嵩張るし」


「それな?!」


「うーーーっん 何かいい方法ない〜?」


ーーーーーで

しゃれっ気のある気の利いたプレミア特典として、或る年度こんな楽しい仕掛けを計画したのである。


〜〜「やっぱハンサムな有名人を取り上げることじゃない?!」と。



中身は融通の効かぬアイツらのせいで、無骨で男臭く動かしようもないものの〜


〜オマケ映像のコードを印字したキラキラ〜ラメ系を中に入れて♡


外見もプレス用金型をデザイン変更の為に新規で作るだなんて贅沢は絶対ムリ!

〜予算がなくて変更不可だから、せめて塗装だけカッコ良くして♡


例えば若者に受けるシルバーとか??

塗装料ちょっとは高くなるけどさ、でもそれくらいは承認してほしいと思うの。



そのような女性職員の投票で圧倒的獲得票にて選ばれたのは、コロニー都市D-01クリストファー新青年国王陛下だった。




「ウワァーーコレなんかイイッツ!!」


「っ過激すぎ〜〜!!」


「チッッーーー結局、平凡路線かぁ〜」


「でも”ふしだら”なのは逆効果でしょ!?

高貴でなけりゃ推しは認めない!」



資料を添付し”おそるおそる”、試作品制作。

全部おっかなびっくりの経験。


……

営業職の女性職員は、相手方政府にビクビクしながら肖像権、映像権、映像使用権の許可を求めるオーダーを送るのだが、なんと直ぐに王宮広報官より快い回答が来たのには驚きを隠せない。



「やった〜〜〜!」

「嘘みたーーーい!!」

 

兎に角これを好機にひたすら売り上げを伸ばすのみ!



許可を取ったクリストファー新国王陛下の


「パッケージ購入者限定!!

公務に励む若く美しい国王様の、りりしく尊いホログラム動画コード付き」



そして外装を、頭を悩ませつつも今時の流行を押さえつつ、更に彼のテーマカラー色、銀と菫色に飾りつけてみたのである。



特典映像は、なにせ報道機関という職業柄、華麗かつ清楚でロマンティックな素材はその気になって探せば実際、山程沢山あった。


尚、「彼が推しだ」と鼻息荒く宣言するファンの記者も多いから無い筈がない。


熱烈な特集も、今まで幾度もこなして来たことも功を奏したといえるだろう。


あぁでもない こうでも無いという、更に秘蔵のお宝映像が美しく効果的に見られるように記者らは美の発露に命をかける。


でコレが、クリーンヒットどころか、弾丸ライナー


ーーーー創業始まって以来の驚異的大ヒットをカッ飛ばしたのである。




「え?!何コレ?!」

「欲しい!!」


女性達が先を争うようにジャンジャンジャンジャン電脳世界にサーバーが弾け飛びそうなほど一気にアクセスし買い求めーーー


たちまちの内に満員御礼、予定定数完売!!

もの凄い結果になった。


で〜現在


「販売終了まで数秒!!」というオバケ現象も今や珍しくない。

 


そんな折、満を持したとばかりに、記念企画と銘打って電脳ジャーナル営業部は強気に打って出たのである。


「♡重大な決断を迫られる会議中、愛用の宝玉ブレスレットを心の拠り所として握りしめ麗しく悩ましげに国政について思案しているクリストファー国王様♡」



女性達が絶対に胸をときめかせ萌えまくり〜の、あざと過ぎる別格に美しい高価なホログラム動画映像を、特別仕様の最高画質にて仕掛けたのである。


これは外装も今回特別にクリスタルの菫色チャームをストラップとして付録に、全てが特別限定パッケージで新年のみの製作版ーーー

 

〜高額プレミア品〜として通常版とは「別枠」で販売した。


(勿論王室広報部に許可は取ってある)




実は時々ーーー

「何かがキラッと袖口から覗く」という情報が営業部に上がっていた。


「あれって一体全体、何だろうか?」


関心を1部ファンの間で密かに集めていたのだが、電脳ジャーナルが販売したこのロマンティック過ぎる美しき映像パッケージが決定打になる。


電脳ジャーナル発の珍しいゴシップで〜



「”クリスタルと黒と金”の、あのシンプルな装身具は一体何処の何だ?!」 


噂と憶測が凄まじい勢いで惑星中〜いや銀河中に飛び交った。


彼ほどの高潔な人物が、あれ程に心の拠り所として大切になさっている以上、きっと!余程の!、名のある名工の手による芸術品なのだろう。

 


是非同じ匠の作品を 自分も手に入れたい!


同型を身につけ 高貴なお姿を忍びたい!


例え”特注”でも構わない!


ーーー物欲炸裂、これぞと思われる、名声を博す宝飾店に質問が殺到!


結局、ロマンティックなブレスレット制作者は名乗り出ず、詳しい事は明かされず、わからずじまいだった。




王宮広報部スポークスマンも、「この宝飾品に関してだけは、情報は完全に非公開」と厳かに発表。


結果的に、より神秘性を増す状況になり、多くの国王を慕う信奉者の間で美しい秘密は伝説化していったのである。



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