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第8章 終幕へ


ウィンストンの願いは「五人会議」で正式に了承された。


キャサリン王太子妃殿下は ダミーのボディとは別に極秘に隔離され、かの国のジャパン駐在〜D-01大使館関係者により誘導ーーー



無事 故郷コロニーに帰国していった。

 


「ねぇ信繁さん、あの尊いお方のお身体は、本当は脳死状態でしょ?

王太子妃殿下ーーーー

後、いつまで持つんでしょうか?」



「そうだな雅ーーーー

何とかクリス様が、『お別れ』が言える位かな?」



「巡洋艦での、あのままの最後の方ーーーが、かえって良かったんじゃないか?

もう、愛した本当の彼女は居ないんだ。


例え会ったとしてもーーー全くクリストファー王太子殿下の事はわからない。

切ない未練が残るばかりだぞ??」



「そうだな子龍。

案外ーーーー難しい問題だな……」


 

うーーーんとーー……信繁や子龍、雅は各自考え込む。



「ぇえーーっと……でも僕だったら……?


肉体が消えてなくなっても……

例え 魂すらなくなってもーーー


一瞬でもいいから、形代としてでも好きな人の元に帰り着きたいです」

 


「雅は純粋だな」

 

 

「そうだな。

本気で好きだったら……例え夢の中だけでも会いたいよな」


ポツリと洩らした、信繁の言葉は重かった。


子龍は素早く空気を読み、亡くなった家族と「夢の中ですら会えない」状態を素早く察した。


だから雰囲気を和やかに明るく変えるため、こう喋る。



「ジャパンでは輪廻転生の考え方がある。

だから何処かでーーー『新しい生』


既に転生を果たしていたら誰の夢にも、そりゃもう出てこれないかもな……


んーーーーー転生したらお前は何になりたい?

俺は”龍”になりたいな。


〜それも黒龍や白龍みたいな、超カッケー奴!」


フッフッフと戯けて言う子龍に、信繁はほんのりと笑いながら返答を返す。



「俺は鳥かな……何処までも飛んでいけるだろ?」

 

「おっ良いねー! 桜香はいいぞ?俺もそれ賛成だな〜〜」


プライベートでは中学生時代より、オオタカを扱っている優秀な鷹匠でもある子龍は嬉しげに目を細める。


桜香とは、子龍が面倒を見るオオタカの名前である。

そして多才でもあり、政府要人に書を請われる程の有名書家でもある。



「え〜? 

鳥類は結構シビアな序列有るし、雀は早朝ボス雀が仲間に点呼取るんですよ?」


雅の予想外からの思わぬボヤキ節に、信繁はついプーッと笑った。

 



**************


〜電脳ジャーナル 記者クラブ配信〜〜



コロニーD-01発 宇宙巡洋艦、隕石の直撃で爆発


〜キャサリン王太子妃殿下 御逝去〜

  

(銀河連邦政府による公式緊急速報より一部抜粋〜)



銀河連邦中 第一級の王家・王族である、王太子御夫妻が惑星地球へのハニーハネムーン中に悲劇的な事故に遭遇された。


宇宙巡洋艦がジャパン宇宙空港へ着陸体勢というタイミングにて、地球成層圏内に於いて、不幸にも小惑星帯からの、軌道を逸れた隕石の直撃に見舞われた。


宇宙巡洋艦はジャパン マウントフジ裾野の樹海に墜落、爆発炎上す。


奇跡的にお命を取り留めたクリストファー王太子殿下以外全員、乗組員・乗務員共即死が確認された。


他人員は比較的早期に発見されたにもかかわらず、悲劇の王太子妃殿下の高貴なる玉体のみ長期間発見にいたらなかった。


墜落時に樹海奥深くに投げ出され、発見が極めて難航す。

 

悲劇に心痛めた人々の切なる祈りもむなしく何処からも発見は叶わなかった。


ジャパンにおいての、捜索隊解散式、前日夕刻 


「もしや」と、捜索隊は命を賭し、マウントフジ古き溶岩の地表の裂け目〜


気温の温度が真夏でも氷点下という、某洞窟風穴内における決死の捜索の結果、奇跡的にキャサリン王太子妃殿下の玉体は発見されるに至った。


洞窟内が 常に1定の低温に保たれていた為か、王太子妃殿下の玉体は生前の清らかなる美しきお姿を神の恩寵を得、そのままお留めになられておられた。


今回の痛ましい事故にて、不幸にも亡くなられた宇宙巡洋艦全乗組員は皆、コロニーD-01王家による、同国葬にて讃えられた。



故郷コロニーで執り行われた王太子妃殿下の葬儀には現国王夫妻及び クリストファー王太子殿下、宰相夫妻以下、主立った政府関係者達は全員列席す。


夫であられるクリストファー王太子殿下が涙を堪え見守る中、古式ゆかしい葬祭の決まり事にのっとり、静々と馬車による誘導で、街道に連なる沢山のコロニーの国民に見守られて宇宙空港まで厳かに運ばれた。


最愛の后キャサリン王太子妃殿下の柩は、王室専用の聖なる霊廟の地、惑星デメテルに、かの星の美しい永遠の母なる大地にしめやかに埋葬された。


この度 称号を授与された、勇敢な宇宙巡洋艦・全乗組員達も惑星デメテルに於いて 新たな霊廟霊園が増築され英霊として、特別の許可の元に埋葬される手筈になっている。


広大な霊園内には、永遠に偉大な勇気ある偉業が讃えられるべく、総大理石製の荘厳な霊廟と 輝く記念碑が、彼らの御霊を弔うべく目下建立中である

この気高き英霊達を弔う式典も後日盛大に執り行う模様である。

 

今回の 盛大なる華麗な葬儀の式典の一部始終は、銀河中の銀河連邦加盟惑星の津々浦々に、衛星ホログラム回線にてライブ中継された。


〜 以上 銀河連邦政府広報部・公式発表記事より抜粋 〜



隕石直撃という大惨事の悲報は嘆きの轟きと共に、銀河世界をくまなく駆け巡った。


改めてーーーーこうした想定外の小惑星の動きや宇宙デブリの落下危険性に対する、軌道計算の重要性が再評価、確認される。


事件以後 様々な惑星政府で問題視され、宇宙空間の安全について大きく見直されるキッカケになった。

 



この一連の、コロニーD-01はおろか 惑星地球政府ーーーー


否、物に動じない、銀河連邦すら激しく震撼させた大事件の報道の陰で。



ある日の、何者にも絶対に屈しない反骨で有名な報道記者集団「電脳ジャーナル」



彼らが極小さく、こんな記事を配信する。




「宰相閣下の嫡子であられるウィンストン様が、未知の惑星探査に特別研究チームを編成、この度 宇宙空港から出立した。


なおチーム御帰国は スポークスマンによると未定という」




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