オムライス事件 ②
今回特殊部隊を率いて〜警護の任についたリーダーの信繁。
ところがどうしたわけかーーーーー
先程の繋がり?なのか「後始末」と称し、様々にアレヤコレヤ細かく手伝わされた臨時仕事が、なんだか妙に多かったのである。
少しは『何だか変じゃないか?』とは雰囲気を感じたのだが?、基本親切な彼はそれらに快く応じた。
「お前達はいいよ、そんなに人は要らないからな。
少しお前達は体を休めておけ」
「了〜〜解、班長さん」
子龍と雅にーーー 他班員は全員連れ出して貰っていた。
「信繁、この後 必ず食堂に来いや」は、子龍が去り際にボソッとひと言、自分に言った言葉である。
全ての後始末を何とか済ましーーーヤレヤレまだ子龍居るかな〜と漸く食堂に訪れた際、ゾワゾワする何とも言えない、いつもとは全く違う異変を察した。
ーーー既に食堂は先程見た、見覚えのある研究所関係職員ぎっしり、どうしてなのかこの時間珍しい「満員御礼」状態。
トドメに空気中を漂うふわふわピンク色の、異様な気配の空気感に圧倒されてしまう。
『おいおいーーーメチャメチャアヤシイじゃ無いか?』
何があった?!
ただもぅイヤー〜〜な予感が押し寄せる
不審に思い、ヒョイッと長身を生かし、人だかりの先、奥の方を見ると!!
ひえ〜〜〜!! 肝を潰しそうな有り得ないとてつもない凄い格好!!
トップアイドルそっくりーーーな、ミニスカフリフリふわふわのピンク色ドレスを着用の城主が、実に滑らかな手さばき〜
「自身で焼いてイラストまで描いたオムライス」
〜の手渡しサービスを無心にせっせと職員達に行っているではないか!!!!
「どうぞーーー♡」
「ーーーぁぁぁぁああアアアあ有難うございますぅ〜!」
「お疲れ様ー♡」
「〜〜〜っっ!」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」
『なんだこりゃ〜〜〜〜〜〜ッッッ!』
大慌てに慌てた信繁が、驚きの余り
「(アンタ)何やってるんですか〜〜?!」
そうーーーー口を、開きかけたその瞬間!!
その場にいた、列に並ぶ男性職員がザッと一斉に、信繁の方に振り向いたのだ。
まるで恐怖ホラー映画の人間に襲い来るゾンビか悪霊ソックリのシンクロ率!!
信繁を、それはそれはそれはーーーー
ゾッとする、底冷えのする怖い怖いこわい目つき……
ーーーギロッと全員で彼の事を睨み付けたのだった。
『やられた〜〜〜〜〜〜!!』
初めて、体内危険シグナルがガンガン鳴りまくり、きゅ〜〜っとモヤモヤしていた理由がわかった。
『コイツだったのか〜〜〜〜〜!!』
しかし戦闘無敵の信繁でも、食堂一杯の人海戦術で来られた日には、いくら何でも勝つことが難しい。
しかもーーーー!!
先ほど彼と研究施設内に同行した特殊部隊班メンバーはと言えばーーーー
既にサッサと、信じられない事に ちゃっかり全員集合〜
いつもの食事定位置の場所にニコニコ実に嬉しげに着席、ブンブン〜自分に向けて大きく手を振っていたのである。
『くっそー謀りやがったなぁ〜!子龍〜!オマエ〜〜!!』
そう、『どう見てもお前らもグルだよなーーーっっ(怒)』
わかりやすさ120%の、この状況ーーーー
サァ後でどうしてくれようか?
「信繁さーんこっちこっち! スッゴくかわいい絵、描いてありますよー!」
信繁班唯一の女性隊員ロシア系美女、身長200センチと少しの超カワイイ物好きのアナスタシア(アダナはナスチャ)が元気よくごっきげんな声で呼ぶ。
「信繁〜お前の皿もう貰ってあるからなーーー♪」と子龍。
「僕ホントにお腹すきました〜〜〜」と雅
「とにかく早く食いましょうよ〜〜〜♡」
「俺っち、もぅ”待て”、が出来ませーーーん♪」
「腹減った〜〜〜」
「お腹と背中がくっついて、今すぐ死んでいいっすかぁ〜♪」
次々彼を呼ぶ、溌剌としたコールがワァワァキャァキャァとかかる。
彼等の様子はどう見ても前もって知っていて ”一枚噛んだ”感じアリアリ、信繁は思わず目眩がした。
そんな自分を上手く出し抜いた憎たらしい共犯者達ーーー!!
〜子龍、雅、他隊員達は、さらに銀色にきらきら輝く 食堂備品のカレースプーンをチャッカリ握りしめ
「お前は絶対、何も言うなよ?!」視線ビームを信繁に向けてビビビビビビ〜っと情け容赦なく強烈に照射してきているのである。
『〜〜くっそぅ……!コイツらぁ!〜』
この状態でただ1人『異』を唱えても全くの無駄、は明白。
目にもとまらぬ早業で簀巻きにされ、ドカンとロッカールーム行は確実だ。
異様な殺気をヒシヒシと感じた信繁は、仕方なく取りあえず、この場の様子をうかがう事にする。
さり気なくチラ見で観察すると上司本人〜彼女もこの状況を大いに楽しんではいる様子である。
確かに〜
ある意味楽しい調理は経験上、目先の変わった良質なストレス解消手段にもなるやも知れない。
よって止めるは野暮の骨頂、やむなく制止のアクションはやめることに決める。
有り得ない、信じられないヒラヒラキラキラアイドル衣装も、「彼女に似合ってないから困る」のではなく
むしろ、「似合いすぎるから問題」ーーーーなのだから。
極上の良い材料をふんだんに惜しみなく使用のホクホクトロトロのオムライス。
実際例えようも無い程、というかもはや舌が蕩けそうに超絶美味で。
因みに信繁のオムライスの皿には、大きな皿いっぱいの面積をフルに使ったイラストが描かれている。
ーーーー真っ赤なピッカピカの「ケチャップニャンコ」
「にゃおー! のぶしげー♪ おつかれさま〜〜♡」
〜超ラブリーすぎる2重花型吹き出し枠 + かわゆいコメント付き♡
どんより疲れた心と体に染みいる絶妙な甘さで、城主によって添えられたイラストが、たまらなく優しくニッコリ微笑んでいるのだ
「……っっ!」
信繁はしばらくピキンと固まってしまい、じっと見つめるばかりーーー
カレースプーンでカチャカチャーー
城主が心を込めて自分の為だけに手書きしてくれたケチャップ絵、かわゆいニャンコとコメントを無粋に乱雑に崩すことが出来なかった。
その後ーーー
「依怙贔屓だ!!」
「絶対なんかのハラスメントだっっっ!!」
「狡い!」
「わーん酷いずるい〜〜〜〜!!」
ーーーーーと!!
随分長い期間、伝説の「ケチャップイラスト付き〜オムライス食事会事件」
運が良い参加者メンバーの〜彼ら。
主にーーー
他のお呼ばれしなかった美味しい思いが出来なかった「♡城主LOVE♡」〜
純粋な男性職員達の激しい怒りをかい。
嫉妬と羨望と怒りと憎悪と憎しみの、丑の刻参りの的だったのは
まあーーーー
どう考えても致し方の無い事だった。




