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大親友ウィンストン ⑤ ジャパンへの留学へ


しかし実際は、幼い頃からの王太子をよく知り、どうしてか?


まるで息子の如くに非常に可愛がってくれていた長老格大臣、年長の大臣達が仕切る議会は、国王より直に話を聞くなり囂々と紛糾した。


そう、かなり、実は相当、渋い様子で揉めに揉めたのだ。


結局父王が

「ジャパンの諺で『可愛い子供には旅をさせろ』


……”賢く強い子に育てる為に〜敢えて苦労をさせろ”


甘やかせず、かの国ではそう厳しく教育するといいます」


「そうは申しますが……!」


「あの子が自分で、厳しい苦労覚悟でこの度のことを希望した時、私は本心より誇らしく思いました。


未来における国王の意識が芽生えたのだ……と、そうでしょう?」


「です……が…………国王陛下ッッ!」


「この先、ひ弱な精神では、必ずやこの国は、デメテルに埋蔵される手つかずの眠れる資源……!


莫大な利権を虎視眈々と狙う超大国に、いいように近い未来丸ごと飲み込まれてしまうだろうと思っています。


そうなれば自治も何もない

つまり彼だけが我々の、神から賜った奇跡の、最後の希望の灯火なのですよ?」

 

「……」


様々な『援護射撃』を行った事で、渋面をつくりながらもブツブツ言いながら了承した事を、後々大人になった暁に知ることとなる。



『ゴメンね……こんなにも心配掛けて

優しいおじさま方

僕は心より貴方方の事を愛しております……』




そしてーー……とうとうその日、故郷からの旅立ちの日がやってきた。


直前にひととき、生家の巨大なお屋敷に戻っていたウィンストンは全身、わざわざ全て新しく仕立てられた学園の礼服を着用、クリストファーの前に現れた。



『格好いい……!

本当にいけていない、”いつものスタイル”の自分とは大違いだ』

 


暫くピッタリと側に居たクリストファーですら、親友の水際だった美貌は見事に感じ、思わず磁石に引き付けられるように見とれてしまった程である。


そんな美しい彼の親友を泣きながら見送る女生徒達の、シクシク手を振る人垣の群れ


「お慕いしていました」


「必ず戻って来て下さいまし」


「お元気で!」


ぎっしり……

多分学園中、いいや出発を聞きつけた都市中の女の子が来ていたと本気で感じた


それくらい、彼の見送り客は猛烈に凄かった。

 

一方許嫁のキャサリンはキャサリンで、ウィンストンを熱烈に慕う女性徒達のまるで男子学生版!!


彼女も眩いばかりに美しくって可憐な姿を披露し、ワァワァ取り囲まれている。


「やっぱりーーー

遠くアースに連れ去る僕は恨まれちゃうよねぇ……!」


〜テヘッ

そりゃそうだよなぁ〜〜……


クリストファーはそんな風に甘酸っぱく思いを馳せた。


ウィンストンの姉君から不思議ななんとも言えない表情で……


「弟の事をどうか宜しくお願い致します。

そしてーーー心より有り難うございました」


ドールみたいにキュートな格好した美少女の、2人の妹と共に丁重な挨拶が行われた。


『ああーーー彼女達は全てを知っているなぁ……』


あの日の前日までに、家の中で何が弟の身に降りかかったということを。


だがそれをツツキ出すことは野暮な話と感じてもいた。


だって事態は既にずっと先、止まることが最早出来ないほど進行しているのだ。


悔し過ぎる過去は振り返っても意味がない、もうあんな事は二度と起きない。


〜いいや、決して起こしてはならない!



「僕は彼を守ります……お達者で。


ウィンストンが愛おしく思う貴女方御姉妹様も、どうかーーー

……どうぞご自愛を、ご無事で」


クリストファーは極小さな声で一切の具体的な事は何も言わず、彼女ら以外に誰にも何も聞こえない様に囁きを送る。



『親友はこの人そっくりだ』と……思った

じぃッと見つめる賢そうな、物言いたげな切なげな瞳。


翡翠(カワセミ)という地球のチャイナやジャパンの清流に住むという、とびきりの美しい碧い小鳥。


その「雄と雌の事」を例えた翡翠(ヒスイ)と言う名の宝玉、尊いグリーンの宝石に似た澄んだ光を思いだした。


チャイナの皇帝、権力の頂点に立つ、エンペラーのみ所持出来たという美しき澄んだ宝石

万がいち平民が入手したら即死罪と言われた硬玉の奥ゆかしい、高貴な艶やかな燦めきを彷彿とさせた。


清らかだが底力を感じる、聖なる強い光を放射の魅力的な瞳


おそらくこの人が居れば『きっと大丈夫!』


直感だけで根拠なんか全然無い……


けれど何故か、見るからに「お姫様」な、自らの父と話す親友の母上を見てそう感じたのだ。



『姉様は母親である彼女とは全く違う魂を持っている。


そうだーーーまるで違った』


雰囲気が、どことなく彼に似てたからかもしれない


『きっとこの人が彼無き後の、いたいけなで、か弱き無力な家族を守り抜くだろう』


遙かなる惑星地球に向けてコロニーDー01を旅立つ、いよいよ迫った予定時間


宇宙空港、王家専用スペースシャトル搭乗ーーーーー直前


『電脳ジャーナル』等の大手マスメディアや

大勢の見送りの学友


料理長、クリストファーと仲のいい衛兵。

 

そんな王宮のお勤めの友人達に隠れてすれ違いざま、父王よりコソッと耳打ちされた”秘密のはなむけの言葉”


「お前も色々成長したんだなあ」であった。


そう……息子の事など、何もかもお見通し。


「弱い体に始終点滴を打ちながら、伊達に激務の国王やってるんじゃあないな」


クリストファーは心より感服した。


大人ってホントに怖い……!



「じゃぁ行こう、ウィンストン、キャシー……」


「うん」


「行きましょう」


サァ冒険だ。

大人の扉を開く第1歩だ。



……では父上、母上、王宮の皆様行ってきます。


現在は力なき学生ですが、留学から戻った「大人になったら」


今度は必ず、僕が皆を守ります


今ここにてお約束致します



そんなこんなをクリストファーは宇宙の底に……


銀色に光り輝きながら、惑星デメテルを背景にし、遠く去りゆく大切な故郷


愛する母国……コロニーD-01を



シャトル船窓から眺めながら そっと口の中で呟いた



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