驚愕の真相 ①
不夜城の、瑠架の助手が語ったささやかな『噂』は、驚愕に値する情報だった。
流石の信繁も仰天し、事情をもたらす相手に何度も繰り返し確認をした程。
「それはーーーホントなのか?!」
「はい」
「ってーーっ、え〜っ……っと?……?
そのラオコーンで”見つかった”という新鉱脈は、現行で最先端の軍事上の新技術
ーーー宇宙軍艦の中でも超軍事機密扱いの、最新鋭戦闘艦用高出力エンジン〜
現在ーーー最も進んだ化学力の粋を結集されて研究開発中の、いいえ!
今までとは桁違いの出力を持つといわれ、しかも実験段階は既に”終了”ーーー
もうすぐ確実に戦闘艦に取り付けられる、『新型エンジン』に絶対に欠かせない無くてはならない新物質よね? ソレ?!」
「ーーーはいそうです」
「ーーーそれって相当ヤバくないか?」
「勿論よっっ!!
『己を知り敵を知らずんば100戦危うからず』〜とはよく聞くけれど。
バーチャルでは無い、重火器が飛び交う実際のリアルな『戦争』はね、配置された武器の能力、先んじた科学的優劣で決する事が大半よ?
机上の空論と甘いノンビリした根性論じゃ勝てない、そういうものよ。
『見つかった』のはーーーーーー!!
今後確実に超大国が奪い合い死闘を繰り広げる、貴重で滅多に産出しない 途轍もなく高価な結晶体。
……いえ、血で血を洗う『争奪戦』は既に銀河の彼方此方、方々で始まっているの」
「それは俺も知ってるよ……
未成年の子どもを誘拐してマインドコントロール後 少年兵として戦場に動員しているとか。
気の毒過ぎて心臓が潰れそうなーーーったく酷い話だよ」
信繁は腹立たしそうに顔をしかめる。
「でもねーーーでも……ヘンなんです、だったら私 ”おかしい”と思うんです。
あの謎の〜……軍事クーデター……それがらみで……起きたんだとしても……
ーーー未だにあの国で『採掘』が行われて、軍事新政権が強奪した”銀河法の開発権”で、豊かに潤っているという話の方は、私の耳にも……一切届かないし」
「私だってそうよ?
地獄耳の私も、一切そんなの聞いた事が無いわ?!
しかも『親父さん達』からも噂ですら流れて来た事すら無いーーー
一体全体どうしてかしらね?ーーー信繁?」
「つまりーーー城主?
誰かが『鉱山』のーーーー……その場所を隠蔽ーーー……
~”隠してしまった” つまりそう言う事ですか?
そして『現政府』は、地図上の座標を、正確な位置を未だ知らない」
「『城』にはーーーー元大統領ご令嬢、タレイア様が収監されているわよね??
幾らナチュラル〜
整形の一切施されていない、天然の『奇跡の美貌を持つ方だ』と言っても
個人的 私の『女の勘』ーーーなんだけど。
~状況的に おかしすぎると思わない??
優秀な地質学者でもある彼女の父君〜
亡くなられたラオコーン元大統領の『頭脳』だった人物よ? 彼女は……!」
「ーーーーー」
信繁の表情が険しく変容する。
「つまり~”何らかのヒント”ーーー
~例えば鉱脈の『座標地図』攻略品を、彼女が今でも何処かに所持、隠し持っているという事でしょうか?」
「多分ビーーーーンゴ! そう、記録用チップとかの。
でもねぇ、物理的な所有できる物で無く、まだ若い、記憶力抜群の生きた生体。
『脳』 〜の中とかね?
人間の『脳』程~現在の高度の進化した世の中でもポータブルで どんな場所にも自由にゆうゆうと
ーーーチェックをすり抜け持ち歩け、運搬がきく、『繊細で優秀な記録媒体』はないのよ?
だとしたら可愛そうに、『城』ならまだしも?
設備も劣悪で旧式で、それも短時間での強制的 人為的『記憶注入操作』〜
『記憶障害』が起きず、『無傷の常人』でいられる人間が、この世界でいるわけないじゃないのーーー?
どれ程 お姫様が苦しくて痛かったか……っっ…
〜で、その後はその後で『本物の地獄』が、ニタニタ 口を開けて待ち構えていたって訳よ」
フゥーーーーと城主は辛く悲しそうに、グッタリ深々溜息をついた。
ーーーー信繁はギリリと奥歯を嚙み締める。
「ーーーラオコーンの現大統領は、それに気がついた、おそらく……ね?
だから~頑強に秘密を話さない御令嬢に~貴重な情報を吐かせるべく、女性にとっては『死』にも等しい性的な拷問同様の悪行。
タップリと、敢えて 『ダメージ』の為に令嬢の身体に行った。
しかしそうしたもののーーーーそこまでしても、かえって事態を悪化させるだけだった〜のではないかしら?
で、結局どうにもならず……!
しかし~切り札である彼女を絶対に誰の手にも渡さぬように、究極の監獄 我々の『城』に送り込んだ〜と、まぁそう言う流れだったんでしょう」
「ーーー滅茶苦茶なひどい話だな」
吐き捨てる様に信繁は言い、冷たくギラリと双眸が鋭く光る。
「その現大統領とやらにも反吐が出そうですが?
しかしーーー俺がもっと許せないのは、令嬢タレイア様のご両親〜
ーーーお亡くなりの大統領ご夫妻です。
幾らクーデターでーーー……!
切羽詰まって他に打つ手が無かったとしても、そこまで非情で残酷になれる気持ちが俺にはわかりません」
「欲は人を変えるの、信繁」
「っっっ〜〜〜〜しかしですっ、愛するーーー自ら手元に残った たった1人の自分達の孝行者の娘ではないですか!!
命懸けで大人が守るのは筋じゃないでしょうか!!
その彼女を犠牲に道具にして、心を『潰してしまう』だなんてーーーー
ソリャあんまりだと〜そうは思いませんか?」
信繁は激高し唸りを上げる。
『ふざけんなーーーふざけんなよ!!
親が、目の前の無力な子どもを守らないでどうする!』
信繁は心の底から、ブルブル震える程の激しい憤怒の怒りを感じた。
その後ーーー城主の驚異の情報収集能力により、『噂』は確実なものに変貌。
惑星ラオコーンで起きた不可解な謎の軍事クーデター
伏せられていた恐るべき真実。
信繁は今までの経緯を頭脳の中だけで、細部まで正確にイメージし整理し、様々なシュミレーションも立体的に同時に行った。
下手に記録媒体に残すと後々必ず電脳攻撃、ハッキングの恐怖。
そして決して ”そのつもりが無く”とも、言い訳出来ない証拠としても足跡が残る為に、班長として自らと周囲を守る自衛の為に、いつしか身についたテクニックだった。
無駄を省いた、ミニマムな作業だった為、ある意味大幅に業務が楽にもなった。
極秘に惑星ラオコーンで、新型最新宇宙戦闘艦エンジン用の鉱物資源発見。
〜確かに「最高の純度の結晶鉱脈」
それもどうやら、銀河最大級の<鉱脈>が発見されていたらしい。
当然ーーー途方も無い天文学数字的の莫大な富が約束されている。
だから『発見そのもの』がーーー極秘事項でオープンに出来なかった。
それを巡る大統領府と軍部間で、ある日とうとう武力を伴う激しい対立が起こった
秘密ーーーつまりカネの為〜営利目的、欲で軍事クーデターが勃発した。
軍政権に何処かの『外国』ーーー”正体不明” 多分何処かの富裕な他惑星がバックについたのだろう。
トロイア戦争における真の黒幕ーーー
まるで、神話の無慈悲な神や、我が儘で気紛れな女神達のように。




