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不夜城にて ⑤


『それにしても惑星ラオコーン…… 思えば皮肉な命名だな……?』 

信繁は心の中だけで思った。


彼は妹の子守で様々な”絵本”や”お話し”を、長い間ーーー

〜彼女が好きな、お気に入り絵本の読み聞かせを、忙しい会社経営者の両親に代わり寝物語や求めに応じて行って来た。


だから無理せず自然に、神話の世界のお姫様や女神様ーー……

王様や王子様、格好いいイケメンの古代の勇者や天使に馴染みがあった。



彼が選んだ、わかりやすい様々な話は体調を崩しやすい妹に大好評


いかにも女の子が好みそうなキラキラでドラマティックな物語に、気が付くとドップリ自分自身も嵌まっていた。

 


ラオコーン ーーーギリシャ神話の中の超有名な大戦争、トロイア戦争……!



”神話的伝説”ーーーー

人と神々が双方結託し、大騒乱を巻き起こした10年にも及ぶ壮絶な戦である。



女性の美……

尊大で愚かとも云える〜強烈な承認欲求と自尊心、命懸けの激しい恋愛が元となったとされているが、表向きは確かにそうなのだが、実は違うのである。


ーーー神話世界でのそもそもの原点。


天を統べる神々の中でも、更に高位の中心核である大神ゼウスが、秩序の女神テミスに、ある時こんな悩みを打ち明けた。


「ムムーーー増えすぎた人間の数を何とかしないと……?」


「じゃぁ こうしましょう!!」



「キュプリア」という叙事詩に 神々の陰謀〜……!


エゲツナイ〜その後の展開が記されているのだが、うんと畳んで単純に状況と事情をまとめると、旧約聖書の大災害、地上の全てを覆い尽くす大水害「ノアの箱舟」もビックリな人類殲滅計画を 意図的に練って実行した話なのだ。



「キュプリア」は別に単独で有るのでは無く、大きな物語世界を形作る流れの最も最初の始まりーーー


叙事詩の塊ーーー全部で8つの『世界』の起点 つまり”祖”に当たるもの。

 


その次が〜名前が超有名なーーー「イリアス」

 

”アキレス腱”で知られる、不死の英雄アキレウスが死んでしまうのがーーー

3番目の物語の 「アイティオピス」。

 

4番目の 「小イリアス」

5番目の 「イリオスの陥落」で、おそらく前編後編のセット物だ。


〜此処で有名な、トロイの木馬の登場と〜奸計で国が陥落する様が現れる。



6番目 7番目 8番目ーーー

「ノストイ」 「オデュッセイア」 完結の物語 「テレゴネイヤ」


〜トロイが『堕ちた』その後は、大戦に参加者である英雄達の各各の故郷への帰還の物語で、いわば「外伝」……


今で言うところの、スピンオフという造りになる。

 



ラオコーンというのは 英雄叙事詩ーーー


”戦乱末期の伝説”に登場するトロイア〜……小アジア「トロイ」


〜トロイア側の、なかなか理にかなう事を言う、賢き神官の名前だ。



彼は海神ポセイドンを祀る神殿の、1番偉い立場の役職、最高神官の立場としてトロイの木馬を、群衆が門から都に入れようとする行為を大反対する。


賑々しく「置き去りにされた」、敵側ギリシャ軍が精神の支柱とあがめる女神アテナへの捧げ物、”巨大な木製の馬”


これを自分達への戦利品ーーー『戦勝記念の品』として。


都城の城壁の中に群集心理でハイになり、特に何も考えずその場のノリでグイグイ運び込もうとした、興奮で盛り上がりまくる人々達。


現場では怒号も飛び交ったろう……!

意見が完全に割れて ラオコーンと家族、群衆は激しく対立した。


ところがなんと そうこうしている内に驚くべき事が起きる。

 

ラオコーンと2人の息子達は「喧しい!!」


女神から差し向けられた巨大な海蛇によって、無残にもグルグル巻きにされた上げく 哀れ、この妖怪海蛇に絞め殺されてしまった。



……群衆は反対者がいなくなり〜意気揚々と問題の捧げ物の木の馬を 大喜びで街に運びこむ。

 

しかしその引き入れた魅惑的な『捧げ物』こそが陰謀ーーーはかりごとの塊。


超有名な、内部に兵を仕込んだあの「トロイの木馬」だったというオチである。



大の男達が誰しも奮い立つ強烈な魅力と、裏腹に潜在的に内包の禍々しい災厄。



『まずいなーーー』


もう自分達の手に負える そんな単純な問題では無い。



信繁はテキパキ今度は城主へと緊急連絡を行うと、すると彼女は既に先に執務室に詰めていたのだ。


「凄いわね」

「まぁ、あの人は野生のカンの持ち主だからな」

「ーーーとにかくこの3人で行きましょう」


城ーーー城主専用 執務室ーーーー秘密を知る皆と城主は速やかに対面する。


特に信繁と城主は2人とも未だ一睡もしていない、凄いスタミナの徹夜組。

 

で、もうすぐ〜……そろそろ 夜明けの時刻が訪れる時間帯である。



惑星ラオコーンーーーー

星の殆どが荒涼とした砂漠、それ以外は荒々しい岩石の渓谷。


永久凍土の厳しい大地、乾燥し草木も生えない、おまけに強風吹きすさぶ山岳。



城主は静かに黙って、的確に言葉を繰り出す信繁の推理と考察を最後まで口を挟まず聞き入るのだ。



「〜『資源』は疎か、あの、な~~~〜〜〜〜んにもない、砂しか無い『ないないづくしの惑星』でーーーー


んじゃ、信繁は、銀河1貴重な 『それ』が見つかったと思う訳ね?」



「信じがたいですが〜『噂通り』でしたならば ”そういう事”になるでしょう。

全く世の中は 皮肉でいつも不条理ですね」


「くくくっ」 城主は薄く笑いを浮かべる。



「その『噂』ーーーは、では私からも早急に詮議・調査する事にします」


「宜しくお願いします」 信繁は深々と頭を下げる。

 


彼は〜『それが』 『その言葉が』、城主が自分が退出したら直ぐに情報収集に奔走する、そういう意味である事を重々知っていた。


城主は仕事が早い〜 ……しかも手加減を一切しない。



ーーーーーー……容赦が無い事も。




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