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不夜城にて ③



元々アグライアが、何故その病院に短期入院したかというとーーー


「避けられそうも無い緊急事態に備える設備が整えられた安全な施設」だったからである。



ミサイル発射場所と推定ーーーの座標上の地点は、なんと「海の底」だった。



つまり戦略型〜もしくは攻撃型潜水艦による巡航ミサイルにて、海中から地上を攻撃するという手法である。



手段を選ばない、身もふたもない非道で悪辣なテロ攻撃〜

 

攻撃目標は、様々な銀河連邦加盟惑星〜国際間でも絶対的破壊のタブーとされる「医療施設」目当てという鬼畜的所業。


ーーー事件が公表されるやいなや世論は沸騰する。


一気に謎の悪党に対する強烈な非難と、被害者である病院への同情が各国から集まった。



幸いジャパン政府は 万全の対策を取っていた


「こんなこともあろうか」と〜!


夜間、地区でも敢えて高台に建築されている病院での関係者、患者が暮らす居住域、主要設備等、全て全自動で地下部に集約されていた。


クリーンで安全が保証された施設内で過ごしていた為、人的被害は全く無く奇跡的にダメージは皆無だった。



夜間〜早朝病院の「上物」はダミー


〜今回は特にご丁寧に、特使が入院という事で万が一を考え様々な手法が取られている。


曰く〜代わりに施設職員・入院患者達そっくりのホログラムを顔面に纏うアンドロイド達が、更に行動形態までもが人工知能プログラミング入力され設置されていた事。


「いかにもな」 偽りの日常生活を繰り広げていたので問題すら無かった。


更に、この医療施設床面はどこもかしこも強固。


地下施設はタップリ10メートル以上のコンクリートの地面で、地上上階と巧に頑丈に遮蔽されている。


「地中貫通爆弾」等、強烈な特化した攻撃でなければ、まず施設の破壊が出来ない構造になっていたのである。



************



「こっちだ!!」


「りょーかい 班長ーーーーーー!!」



不測の事象〜

緊急事態に備えての訓練をタップリ受けた病院スタッフの誘導にて。


信繁達は無重力ストレッチャーの上でグッスリ眠り込むアグライアを守り、病院内の「極秘脱出経路」


ーーー最短距離をひた走り、地下専用格納庫まで駆け抜けた。



「留まった方」が良いのか??

それとも「脱出」の作戦の方が良いのか??


信繁は他の患者のことも計算、又、今後押し寄せる警察関係や国防、マスコミの報道陣のことを考え「脱出」


ーーーー迷わず「後者」を選択する。



彼自身の実力の裏打ちと 仲間を信じる強い心!

これまで数多の修羅場をこなした実力から来る、咄嗟の閃きのなせる技である。



「今だ!! 行くぞっっーーーーー!!」


信繁が機長を務める実験機は、襲い来る謎のミサイル攻撃の合間を巧にカウントして撒き、鋭く闇夜を切り裂き 遮二無二恐れず突き進むのだが〜


しかし謎の襲撃者の攻撃が、明らかに信繁達に対してロックオンされたのが計器にて確認が取れた。




「何故だ?……どうしてここまで俺達の情報が微細に漏れている??」


ーーーどう考えたっておかしいだろ??

だが今は幾らそれを追求しても無意味、信繁は意識を冷静に素早く切り替える。


実験機主席操縦者として、班を指揮する優秀な指揮官として、明快で的確な指示をテキパキと自分の班員に飛ばす。



*************



「海面が泡だった!! 信繁 直下から来るぞ!!」



「〜〜〜!!」



人馬一体とでも言うのか、天才的なヘリと精神すらシンクロしたかの神技量。


グンッーーーッ!! 信繁はいきなり機体を90度傾ける。


せいぜい有視界ではやっと朧気にしか見えない筈の、高速で飛ぶヘリの腹を唸りを上げてかすめ、ミサイル弾が手を伸ばせば触れるギリギリを滑るように飛ぶ。



信繁はそのまま、一気にヘリを水面近くまで躊躇わずに落とすと寸前、水平に戻す。


「そらよ」


子龍の完璧なタイミングと角度で、海中に向け実験機内蔵の特殊ミサイルを放つ



「もっと大物 ビッシリ積んで来りゃよかったぜ〜〜〜〜!!」


子龍がぶぅぶぅ悪態をつくと何かがパッっーーー 赤く花火の如く海底で輝く。



「来るぞ!!」


信繁の迷いの無い、操縦に無駄は一欠片も存在しない技量で実験機の巨大ローターが爆音の咆哮を上げる。


全速力でその場を離脱、浮上


 

ドーーーンーーーー……!!……!!


直後吹き出した凄まじい盛り上がる水しぶきが、僅かに機の腹を舐めた。


辛うじて実験機は、水中からの水柱に吞まれる事無くギリギリで逃げ切り、周辺水域から全力離脱する。

 


「多分射出のミサイルに当たったんだろう……!」


「海中のダメージも、あの様子じゃおそらく計り知れないだろうな」


「来るかな 機長さん?」


 

「さぁ?……でも本体には当たってないだろう、あの程度では。


しかし、潜水艦はヘリよりも普通は圧倒的に足が遅いからな、砲さえ飛んで来なくなれば余裕で逃げ切れる。


ーーーいいか俺達に勝機はある……!!


さっきの我々の反撃で、水中のミサイル発射装置に上手く多大な『傷がついた』のを心より祈ろう」

 

 

信繁の祈りは通じたようだ。


奇跡は訪れた。



「信じる者は救われる」ーーーーもうすぐ年に1度の「クリスマス」

 


城 精鋭・特殊部隊 信繁班ーーーー


長時間じっとリーダーを信じ、待機させた優秀な班員と共に信繁、子龍、雅はお互いがお互いを助けつつ、絶体絶命の死線をくぐり抜けて。


元大統領令嬢アグライアと共に、全員無傷で無事に避難ーーー帰り着いたのだ。



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