↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

274/329

新たな冒険へ ②


さて、首都、宇宙空港へ向かう朝。


〜ロームルスは不安そうに、姪に何度も、こんな事を聞くのである。




「忘れ物が無いか?」

 

「向こうに着いたら必ず連絡をする事!」


「『城』城主は 個性的でハッキリものをずけずけ言う人だから、皮肉でやり込められて虐められたら、絶対に直ぐに私に相手をさせなさい!」


〜何度も繰り返して、大人しいお気に入りの姪に言い含めるのである。



ロームルスは「軍」内部では、「何事もどんな時も動じ無い事」で超超有名。


狼というあだ名を持つ彼の今の様子を見たら!


彼の部下達はーーー

「とうとう閣下が仕事しすぎでノイローゼに!」 言うに決まっていた。


彼女は無論そんな事を全く知らなかったが 「行ってまいります」

 

アグライアは叔父に優しく美しく微笑み、ロームルスも同じく笑みを浮かべる。

 

「『お姉様』にお会いしたら……!

必ずメッセージにあった『伝えたかった事』を、聞いておく事!!」


「はい」


「それから〜 まだ内定はしていない事だがーーー」


「?ーーーえ?」


 

叔父の頬がパァッと嬉しげに綻び、予想外の事を打ち明けるのだ。



「大切な姪の君を、大王様の溺愛する末の王子殿下〜

ラファエル王子殿下の、2人目のお后様に私は推すことに決めたよ。


そうすればーーー……!

肩書きの権利で、自由にどんな巨大な劇場でも臆すること無く堂々とオペラで主演を張ることが叶うのだ。

 

これは卑怯でも何でも無い、よくある事なんだ。

 

君がずっと夢見て憧れていた、あの地球の有名な舞台でも、素晴らしい歌声を皆に披露することが出来るのだよ?」


「えっっ……?」



何かでドスンと、力の限り頭を体を〜両方同時に殴り倒された気がした。


思わずグラリと体が揺れ、脳の奥が痺れた。



『??』


凍り付く様子で突如固まってしまった姪の雰囲気。


これを予想外の歓喜での事ーーーーと。


〜ロームルスは単純に そう結論づけた様子に見えた。



『別に、悪気が無かったという事はわかってるの』


 

〜彼女を親身に心配する叔父としては、この先の、予測も不安もつきない宇宙旅行間の恐怖を、ほんの少しでも和らげようとした心遣いだと。


〜あえて「喜ばしいニュース」として。

彼女に最高のサプライズとして、話題をふったのだと言う事もーーーー!



ーーー例え母の複製ーーーコピー、姉タレイアの代用品だとしても……


 

優しい叔父様のお側に居られるだけで、私はーーー私は…ずっとずっと幸せでした…』

 


アグライアは 〜そんな気持ちを一切悟られないように、必死の思いで今にもポロポロ零れそうな涙をこらえる。


今にも胸が張り裂けそうな憂鬱な気持ちを辛うじて誤魔化す。



ーーーーーー気持ちとは裏腹の ……真逆の ……切ない想いを覆い隠す。


最愛の叔父ロームルスに対し


これ以上ない、今までで最高、花のような微笑みを浮かべた。



「本当にいいのか?」


「えぇ」


「それは寂しいな…」


 

「もう大人ですから、大丈夫です」



叔父ロームルスの、空港への見送りは柔らかに断った。



だってそれはーーー……不意にうっかり落としパーーーンとひび割れてしまった手鏡の様なもので。


後幾らもせず、心が粉々に壊れそうだったから……!


そしてーーー……


ただでさえも忙しい彼に 自分の事で無用な心配を掛けたくなかった。


つまりアグライアは、こうして強がりに強がりを重ねていた状態で厳しい宇宙航海に旅立ったのである。



しかも地球への航行中は、客室の薄い壁から 外部に泣き声が漏れるのを気にして、ずっと涙をこらえて過ごした。



時々は託されたウサギちゃんのぬいぐるみと、「今は楽しい旅行中!」


〜そんな記念撮影を行う、気晴らしはそれ一つのみ。


ーーーもっともそれすら無い状態なら、本当に確実に、生死を彷徨うもっと重症化していただろう。




不安定な精神状態から来る強いストレスと……


それをたっぷり抱え込み、「負のエネルギー」を発散しない無茶な我慢の数々。



そんなこんなが死より辛いと言われる、激しい宇宙酔いをひきおこした原因そのもの。



ーーーー無理もない話。

 




夢の中、ぼんやり漂うアグライアは、突然ガクガクと揺すぶられる。



目を開けてみようとするとーーーあれ?? 視界がぼやけてしまってハッキリと見えない



チュッ! 

 

一瞬柔らかなものが目尻に押し当てられ、急に離れーーー余りの驚きに一気に意識が覚醒。



「気がつかれましたか?」


ウキウキとした声、悪びれもせず謎のその人物は言い切るのだ。


 


!!


アグライアの目の前には~……!


大学病院での、あの親切で天使のような看護師

 

ーーー今は全く別の制服を着用している男の子がニッコリ、綺麗に笑っている。



「ーーーそういう事はレディに失礼です」


「雅 お前ーーーおとぎ話の王子様か??」


「?え〜〜〜〜? 

シクシク泣きながら、悲しそうにうなされてるのに〜可哀想じゃないですか!!


お2人はほっとくんですかぁ〜〜〜〜?」



真っ白い空間の 室内出入り口付近で、2人の男達が佇んでいるのがうっすら見える。


1人は……こめかみに指を押し当て、ハーッと溜息をつく……

推定、身長2m近いと思われる顔立ちが綺麗に整った長身の男性。



もう1人はーーー『ヤレヤレ』~と言った風情、ヒョイと肩をすくませる男性。


〜そらおそろしい程に容貌が整い 華やかに美しく彫り深き顔立ち、先程の発言の人と同じく極めて背の高い男……


多分だが、身の丈は推定180cmと少しはあるだろう。



この2人とも ”『天使のような看護師』の” 男の子と、今は同じデザインのユニフォームをピシリと1分の隙も無く身につけている。


ーーー何気に、プレスの折り目が鮮やかで美しい。


 

『この方々!!はーーーー!』


彼らの容姿にアグライアにはハッキリ見覚えがあった。



大学病院で病室の警護に就いた、ジャパン警察の2人の警官ーーーー!!



『間違いないわ……!!』




この長身の個性的な2人の内


ーーー少年の面影を残し、人なつっこい親しみを感じさせる抜群のルックスの男性が、床材から浮き上がり中空をフワフワ漂うベッドの側にスッと寄る。


両膝を躊躇いも無く、音も無く跪き、目線を低く真っ直ぐに彼女に合わせ、極めて礼儀正しく、その行為が丁重で恐縮なほど好ましく感じられる。



「私は『城』特殊部隊・班長 信繁と申します。

 

あのドアの側の青年は、子龍ーーーー……という男、そしてこの極めて無礼な人物は、雅 と申します。


失礼の段、どうも誠にすみませんでした」


 

”信繁”ーーーは、キビキビと。


きりり申し訳なさそうに再び礼儀正しく頭を下げる。

 


「私の事は気にしないで下さい!」


ーーーービックリした

 

アグライアは大慌てで返事をする、がーーー彼も頑固に退かない。


 

「そういうわけには参りません。

今後はこの様に貴女様を驚かすことはございません、彼らは皆私の部下です。


こちらの滞在中ーーー……

 

どうぞお見知りおきの方、どうぞ宜しくお願い致します」

 



謎めいたその人物は、銀河の多くの星々で公用語扱いとされる言語〜連邦英語で彼女に語りかける。


そしてそれはハッとする程、上品で滑らかな美しい発声での発音。


信繁は彼女の心を安心させるように、優しく茶色がかった瞳で悪戯っぽく優しげに微笑みかけるのだ。



思わずドキリと心臓が高鳴る

何て格好いい人なの!


 

『素敵な殿方だわ!』


至近距離で覗き込むーーー気遣う綺麗な茶色がかった美しい瞳。

爽やかで邪気の無い真っ直ぐな視線、思わず頬がカッと赤く染まってしまう。




トール大王の溺愛する末の王子の正妃〜壱の妃フレイヤ妃殿下、彼女が「頼りなさい」 


〜真摯に語っていた人物と、彼が指揮するその愛すべきメンバー。



ーーーーこれがアグライアが偽装ではなく正式に名乗る信繁達に遭遇した、本当に印象的、最も最初の出会いである。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。