アグライア、城へ ②
アグライアの叔父ロームルスが、漸く居所を見つける事が出来たのは、意外にもフレイヤのお陰である。
アグライアの「姉」タレイアの居所の捜索。
フレイヤが「城」に収監されている際、ロームルスは国1番ーーー
いやーーーー
銀河1と呼ばれる伝説のハッカーを、すわおそろしい巨額の報酬
しかも ”個人の資力” ーーーポケットマネーで雇い入れたのだ。
ロームルスは若い頃から元同僚と所謂 ”商売”ーーーー
技官であったその同僚が、家業として故郷で継いだ零細アパレル会社と商才面でタッグを組み〜!
彼の「こんなのがあったらいいな!」……を、同僚の会社の元々の技術力を応用し実現し、若かりし頃、上手く「流行」に乗せ、大ヒットさせたのである。
副業として、時代の波を捉えた事により、巨万の富を得たのだ。
叔父が連れてきた ”その人物” は意外な〜 姿形だった。
ごく地味なーーー目立たぬシンプルな服装。
どこにでも居る、極平凡な髪型。
全く記憶に残らない空気の様な雰囲気ーーー
唯一つ! 奇妙な形状の不気味なペンダントのみが、何故か今でもアグライアの記憶の中にある。
『”ウロボロス” ……お互いのシッポを噛む蛇ね?』
彼女の見たのは、長い紐の先に括り付けられた宝飾品?
古代の象徴、死と再生……始まりも終わりも無い完全〜無限の世界。
2匹の醜い蛇が、互いにウネウネ絡みつき、尾を喰い合う意匠のなかなかに意味深なペンダントである。
2匹の蛇の瞳は、血の様な真っ赤なルビーが嵌まり、台座の土台部分に小さく絶え間なく光を放出するメーター。
恐らくこれは、ハッキングの為の ”何かのツール”〜
必要不可欠の、商売道具の特殊端末なのだろう。
ロームルスはその人物に依頼しーーー「難攻不落」
〜「城」 マザーコンピューターにハッキングを仕掛けたのである。
その結果……!!
驚きな事に、最初の1回「だけは!」 〜成功したのだ。
多分〜〜……!
フレイヤ様の件で外側に対し警戒が薄く、何処か浮つき開かれており鉄壁の、セキュリティーが ”偶然甘かった”
「その盲点とも云える、偶然の不意を、今回タマタマ突いたのでしょうね?」
ーーーーとの説明があった。
その言葉を裏付ける様に 「私といえども ”もう無理”です……」
かの人物さえも”白旗”……! 音を上げた程、城 セキュリティーは強固な途轍もない要塞だった。
が ーーーーー本当に欲しい情報は、運良く、この偶発的に入手出来た少量のデータ内に奇跡的に含まれていたのだ。
ロームルスは「他言無用」と釘を刺した後〜
「気に入った綺麗な服飾でも購入しなさい」
「これは有り難うございます、閣下」
その人物に、高額なボーナス付きで、残金の、残りの分の契約料を支払った。
入手データの中にーーーー……
フレイヤが施設内で、収監当時警護を行ったり或いは接した周辺の人物の経歴等の極秘個人情報ーーー
そして、後は数少ない女性の「城」収容者名〜……!
「アグライアの『姉』タレイア」
惑星ラオコーン元大統領御息女の、奇跡の記載が有ったのだ。
それを発見した際の、アグライアの叔父ロームルスの歓喜の大きな喜びたるや凄いもので
……彼女の ”想像以上” ……だった。
アグライアの目から見て、美しい姉への叔父ロームルスの接し方は、小さい頃から自分に向ける態度とは明らかに違っていた。
ずっとずっとーーーー!
その事で、彼女は姉に対し深い引け目を感じている。
姉・タレイアは別格だ。
何もかもが違いすぎると納得はしていたのだが……時折鋭い棘となって心をチクチクと刺したのだ。
しかしーーー素晴らしい姉は 『誰にとってもそうだった』から!
別に妬みでも僻みでもなくて、あながちハズレでも無い、当然な見立てだった。
ーーーーだが
『叔父様にとって タレイアは特別なんだわ?』
それがどうしてここまで辛いんだろう?
『もしもーーー ”城”に収監されたのが私ーーーだったら……?
叔父様は、こんなにも真剣に行方を探してくれただろうか?』
〜まさか……する筈がーーー無い〜
ひとめ姉を見た者は、皆虜になるのは一応馴れていたーーーつもり。
それでも、普段は落ちついた、冷静な叔父の明るくはしゃぐ様子をーーーー
大人になった今あからさまに感じると、胸がギュッと捻られたみたく苦しく、ただ切なかった。
ロームルス叔父様は、引き取ってさぞかし『こんな子だったとは!』
〜当てが外れた!
政府要職につく叔父様は私の余りの出来の悪さにさぞやガッカリした事だろう。
だってーーー優秀な美人のタレイアはーーー!!
このどうしようも無い、使えない自分とは明らかに素材が違うのだから……!




