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打ち上げで美味しいお酒を飲みましょう ②


「ぁーーーあのさーーーーー」


酔っ払ってんだか?酔っ払ってないんだか?の、色気炸裂男のカミングアウトは「こう」だった。



城〜特殊部隊、各班配属隊員内はもちのろんで、特に我こそはと野心&血気盛んな男性隊員中心に認知。


でもって今や ”一般職”の、荒ぶる鉄火場から遠く離れた、お上品な育ちの宜しいキレイめ意識高い系男性職員間でも、その噂は持ちきりで超有名〜



既にもう何年も前から、まことしやかに密やかにヒソヒソ流れている事。


~というよりも噂の域を超え、今更な程、殆どリアルに定着、今や事実と化し確定、伝説化している状態だということ。



ーーーつまり、信繁に「秘蔵のウィスキー」


〜今現在こうしてグビグビ、何時もの酒盛りの様に普通に飲んでいるコレを


「どうだ飲まないか?」……


そう言って、”直で奢られる” と言うのは人として素晴らしい誉れ



城・特殊部隊精鋭…… 中でも華やかな出動記録、バッタバッタの快刀乱麻の大活躍の話に全く事欠かない信繁班〜


現場をビシバシ仕切る超優秀な解決能力を誇る班長、戦闘無敵の”信繁”に社会人として〜



否……!


漢として”「能力」が認められたという証” ーーー証明だという事。



……信繁はさーっと全身の血の気が引く。


「なんだそりゃ〜〜嘘だろおいーーー……」


子龍お願いだ「冗談」〜頼むーーー


 

「ハハハハハハ今のはジョークだバーカバーカー信繁おま〜見事に引っかかったぁ、あー〜〜〜っハッーーハッハぁ!」



〜〜〜テな感じで?!

何時もの様に軽〜く明るくゲラゲラ笑い飛ばして俺にそう言ってくれッッ!!




「ーーーーじゃないよ、お生憎様……だ。

それが嘘だと思ーーーんだったらサ、ま、雅に聞いてみろよ?」



「〜〜〜〜っっそうなのか?!」


「ーーーぇぇまぁ……」 ゴニョゴニョごにょごにょ


「ーーーー」



ーーーーーーーーーーマジかよ



思わず信繁の脳内を、過去の様々な飲みの席のドリンクメニューが脳内をグルグルと一斉に駆け巡る。

 


「……」

 

「ぁーーまぁ”噂”って昔っから何でか、噂される本人を上手〜く器用に上手に避けてく性質の物だからなぁ、相棒」


 

全く想定外の驚天動地の事実を知り、バーッと顔面蒼白の真面目すぎる親友。


そんな信繁に対し、子龍はなんとも言えない珍妙で悪そうな済まなさそうな顔をした。


〜で悪戯が失敗し不発に終わった男子児童みたいなバツの悪い表情を浮かべシュンと一応は申し訳なさそうな様子でポリポリ頭を掻く。


 

で、仕上げにこんなトンデモナイ告解を披露するのだ。




「俺が思い当たる ”噂の出所”


すまねーなぁ多分、最初はーーーー発信源は ”俺” だ」



「ハァ?!」


信繁の顔にピキピキピキッと憤怒の色が浮かぶ。


  

「ーーーまぁそうメンチ切ってイキらずに、話は最後まで聴けよコラ!


信繁ぇ、”資源ゴミ”で処分される、定期的に出されるレアなウィスキー瓶が元々は事の発端だったと思うんだなぁ〜


案外結構 ”コイツ”『目立つ』もんな〜 だろ?」


「ーーーーっ!」



子龍はまるで唄うかにうっとりと喋りながら、現在 ”独占状態” の金箔文字の濃紺ラヴェル、装飾的形状のウィスキー瓶をチャプンチャプンと小さく揺らす。


 

瓶も又、地元の著名芸術家による渾身のデザイン、シンプルながらお洒落でかつ個性的、美しいのだ。


透明に透き通った瓶の中で魅惑な液体が目にも心地よく麗しく、誘う様に金色に踊っている。




「あのさ、1人で飲むのには生憎 微妙に本数が多い、だがしかし毎年数量限定ボトルのレアなやつだ。

 

ーーーで『推理好きの奴』はおそらくこう思ったんだろう。


『毎回誰』が『誰と』 はてさて”飲んでいるんだろうーーー?”……かってな?


ハハッなんてな?

超〜〜くっだらない、恐らくそんな ”クッソたわいない面白話”だったんだろ?


自分も中身が気になるが、しかぁし生憎そこらじゃ売ってない珍しい酒で、しかも限定品、金積んですぐ飲めるもんじゃねぇ。


そうなると俄然急に自分も吞みたくなる、”手に入れたくなる”ものさ…

 

その内、お節介な奴が、コレコレこうだとボトルの銘柄の酒造メーカーから出身地が近いと聞き及ぶ、幾人かをフューチャー、ピックアップしたんだよ。


ははっっ全く大迷惑だよ……!!


でも此処には鑑識能力を持つ人材が沢山居るんだ、指紋は残念ながら検出出来なかった。


そう言えば〜!お前 記憶では瓶類や危険物や割れ物を処分する時、1度丸ごと綺麗に洗って〜て、ラテックス製手袋をはめての作業だったよな?


『誰?』

わかんねー事でどうやら、更に探索探求心に火がついたらしいのさ。


ピックアップされた人物のその中に、お前も含まれて居た。

まっ当然だよな?


でーーーーそっから又グイグイ メンツはドンドン削られてだな〜


~んで、調べる奴は、恐ろしい集中と追跡能力で尚且つ、執念深く調べ上げたらしい。


そんで”とうとう” どういうルートかでお前で無くて『俺』に行き着いた。


そんでーーーはたと閃く。


『そう言えばアイツ 猛烈に酒強いぞ?』ってな?


実際は〜お前 城で気をつかって。

信繁は俺としかコイツ、殆ど飲んでない訳だしなあ


そういう事も踏まえ どうも調査チームは知りたかったらしい。


無駄に馬鹿げたパワーはそんなもん仕事に使え!、と思うんだがなーーー?」


「……」




信繁は頭を抱えた


「俺も前後の状況ーーー”事情”が当時わからずにさ?


うっかり奴らの誘導尋問に引っかかって、『ぁそれな?』なんてさー?

 

信繁と吞んでるんだーっ アイツの故郷の美味い酒って『それ』、深く考え無しにポロッと言っちまった俺もそりゃーーー悪かったよ!


で、フーンと”本当に聞きたかった情報”


カマかけて知りたい内容を入手してさ、で漸く思惑に気がついてーーー


『信繁はそんなセコイ依怙贔屓する男じゃあ無い』


つーーーーって~アワ食って、慌てて完全否定に入った時は既に遅かった


ドアホな脳味噌まで脳筋な、筋肉馬鹿なあいつらに何度コンコンと真実の説明を行っても、ちっとも噂は消えなかった。


~ていうか……?

俺の言った事なんぞハナから信じちゃあいないし?


逆に

『信繁さんの大親友の ”信頼抜群” の ”子龍さん” が、ソレを俺らに言ってもねえ~!!』


ーーーなんてな?

アハハハハと奇妙な含み笑いで苦笑されて挙げ句に


『はああああっ』『羨ましい』 ドンヨリ溜息つかれるし


あ〜〜〜ホラ、よくおっさん連中が、若い頃の”思い出話”で言うだろ?


『漸く厳しい研究室のほにゃらら××先生から、学生時代アメちゃん貰えた時は本当に嬉しかった!


今までの研究への努力と、日々先生に滅私奉公で尽くした事が、偉大な先生にやっと伝わり認められたんだって泣けて泣けて……!』


〜とかなんとかさ?


酒が入るとオイオイ泣いて喋くるだろ? そう……アレだよあれ!!」



「〜〜〜〜」



今だ呆然とする信繁にそう言って、子龍は再びトクトクトクトク〜♪ ウィスキーを注ぎ、大きな右手で鷹の如くガッシリ悠然、特製マイグラスを掴むとグビーッーーーっっ


信繁の食器棚に置きッパになっている、自分専用クリスタルガラス製マイグラスの美酒を、実に美味そうにストレートで一滴残らず飲み干した。



「あのな子龍お前 前々から感じていたが映画スターみたいだよ。

ーーーなんで”そっち方面”に進まなかったんだ?」


「ハッッッッ!

あんな生き残り厳しい〜わ! 足引っ張り合いの競争倍率半端ねーわ〜! の呆れたガリガリ競争の激しい世界は俺様は嫌だね〜!

 

ーーー取りあえずノンビリ、楽ちんな此処がいいよーーー」


子龍はかわらずノホホンと、タップリ新しいウィスキーをダバダバ注ぎ入れたグラスをグビーーッあおった。

 

グラスの底が艶やかに天井を向く。



「〜〜〜〜〜〜!」


「ーーーーーぅぁ格好いい子龍さん……ッッ」


華やかで見事過ぎるいい吞みっぷり、見栄えの良さは何処からどう見ても酒造メーカー公告、動画モデルにしか見えない。


豪気な美味そうな酒の飲みっぷりが半端ない。


このジャンルで楽々1財産作れるのは誰の眼で見たって明白だ。



「コイツ、絶対前世はジャパン神話に出てくる八岐大蛇《ヤマタノオロチ》だな」


「ですね…… 今斬り殺したらどっかに隠してあるシッポから神剣がシャリーッンと出て来そうですね。


〜名前も『龍』の字が入ってるしーーー」


 

「大蛇も『龍』も絵面は似たようなもんだからな、奴ら何所が違うんだ?」


「確か龍は……えーーっとーーー

雄鹿みたいな立派な枝分かれした角が頭部にあって、細めの手足があって、でもって長い爪、口に牙を生やしてるんじゃないでしょうか?


それと伝説の神獣の麒麟みたいに、絵画とか彫刻作品ではモッフモフの長い鬣だったかモヒカンみたいな頭髪があった様なーー……自信ありませんが」


雅と信繁は顔を見合わせ神妙にヒソヒソ呟いた。


子龍がやってる事は、おっさんそのものだったが。


彼は何せ 素材そのものが信繁と双璧の容姿と言われているだけにワイルドな仕草物腰が惚れ惚れする程バシーーーっと決まっているのだ。


幸せそうに美味しそうに笑みを浮かべ、美酒を嗜む姿はフェロモン全開。


「わーーー……!こんな格好いい八岐大蛇だったら、生け贄としてゴクッと丸呑みされたい姫君、ワラワラ続出ですよ!!」


ーーー見とれる余り、目をキラキラさせた雅。

 

「〜〜〜だろうな」


「ぅん、邪魔しないでーーーー〜〜♡

 やーん退治なんかしないでーーー♡♡って」


 

雅は、ぽやっと目が離せず、思わず完全に魅了されてしまった。


 

「まぁ神話ではデカいオロチといえど、食ったのは一年にひとりだからな。


きっと生け贄食い過ぎてかえって腹痛起こし、勇者スサノオの退治前にアッサリ黄泉に召されるだろうぜ。


勇者の出番が最初っから無くって物語終了、伝説のオチが変わっちまうだろな」


「うん、そうなったら新たなる神話は

『地を護る荒ぶる龍神と禁断の恋をする乙女の話』ーーー


で、テーマは”神様と人間の間の恋物語”でしょうか?


やだー”ジャパン最古の恋愛物語”ーーーって、最古のSFっていう触れ込みの竹取物語みたく大人気になりそう〜!!」

 

そんな”四方山話・話題の中心”〜子龍


信繁にトロリ蕩ける幸せそうな顔を向けて、締めくくりにこう語る。




「でさ~面倒くさくて、もうどうしようもないからぁほっといたよ?

ん?

だって実害全く無いしーーー?


別に小っさい事

んな? お前も別段気にしなくてもいいんじゃね〜?」


 

子龍はヘラァッと、綺麗な整いすぎる顔で余計なお世話を言いきった。


『俺は気にするぞーーーーーッッッ!!』



『確かまだキンキンに冷えた水割り用天然水ボトルか、専用トニック缶が1本あった筈!』



真相を聞き終えた信繁は取りあえず、無言で席を立った。


ウィスキー用の冷えた炭酸水を”雅の為に”、自室設置の冷却装置に大慌てで探しに行った。



「〜〜!!美味しいですね〜……

ホントにコレ!!


子龍さん”だけ”が一緒に吞んでただなんて!


ーーーー羨ましすぎです!!」


 

雅は 信繁に先程、お目当てのウィスキーを、上官自身の手で専用炭酸水で薄く美味しく丁度良く割ってもらったところだった。


たとえウィスキー独特の味に慣れなくても、シュワッと香しい雰囲気が充分楽しめ、口にし易い”ハイボール”にしてもらっていた。


ーーーーずぅっと夢に見た念願のお酒!!


『ワァ嬉しいなぁ〜〜〜〜〜』

 

ドキドキドキドキドキドキドキドキ


雅にとって何物にも代えがたき、特別の魅惑の極上体験、憧れの人からの最高のクリスマスプレゼントである。


尚、無口なヨンの分も多少濃い目に作り渡したところ、目がカッと倍の大きさに見開かれる。


自動翻訳機のおかげで、こちらとの意思疎通は出来ている筈である。



「ウィスキーは大丈夫なのか?」

「酒は飲む時間がありませんでした、仕事と、鍛錬で」

「そっか」


確かに勤務中は酒は飲めないし、隙間時間はコイツは全部武道の鍛錬に回していたのだろう。

だから運動系訓練に邪魔になるアルコールなど入り込む余地がなかったのだ。


信繁はなんとなくそんなこんなの想像がつくのだった。



「信繁さん、僕お代金キチンとお支払い致しますからーーー

このお酒、大切に戴きますから。

信繁さんを通して、ボトルで一本、僕個人で購入出来ませんか?!」


嬉しそうに少しずつ口に含みながら雅はニッコニコ、天使の様な満面な笑みで憧れの上官にそうおねだり。


その言葉に信繁は頬に苦笑の色を浮かべるしかない。



「別にそんな事をしなくても、お前が飲みたい時はこっちで全部用意するから。


幾らでも、気の済むまで自由にのんでいけよ?


……急性アルコール中毒で倒れるまでは絶対に禁止だがな」



「!!……いいんですかぁ?」


「まぁなーーー俺にとって掛け替えのない大事な班員だしな、偶には息抜きだって必要だ」



それを聞いた雅の優しい嬉しげな瞳がパァッと、益々キラキラウルウル、クリスマスツリーに飾られる美しき綺羅星の如く眩く清純に輝くのだ。



************


 

「〜でーーー……何か俺達に言いたい事があるだろ?


ーーーー昼過ぎ執務室から出て、お前どこに消えた??」



ついさっきまで最高にご機嫌だった子龍は突如、信繁の心を見透かす様に スッと目を細める。


ーーーーー完全に見た目は素面である。


信繁がチラ見するとボトルのウイスキーは飲み尽くされて、空っぽだった。



なまじ顔立ちが整っているだけに、ギラリ白刃を翳した如くの殺気が漂う…


相棒の、先程のふざけた面影は消え失せている。



一旦こうなった時の親友の怖さを、流石の長い付き合いでよく知っている。


甘いその場限りの、調子の良い言い逃れが出来る筈も無い事も……



「……そうだな…」



信繁は新たなウィスキーボトルのキャップを、長い指でキュッと開ける。



信繁は雅とも目が合った


彼もまた〜大きなバンビみたいな透き通った瞳で、無言だが物言いたげな視線で真っ直ぐ彼を見つめている。



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