大騒ぎのクリスマスクッキング ④
「何とか上手くまとまったな?」
「上手く行きましたね!」
ーーーー雅と子龍は、信繁に見られないタイミングで一瞬、顔を見合わせ
ニヤリと
……悪ぅ〜〜〜〜っく笑い、ほくそ笑む。
しかも会話はーーーー尚も続く
「信繁さんのエプロン姿が楽しみですねっっつ! 」
「あぁ〜…何度も見た事あるが、ここだけの話、そりゃあもう〜〜〜〜
女性職員、全員キャーーーーッと卒倒もんだぞ!! 賭けてもいい」
「……え?」
「期待してろ、すげーーー……格好いいんだよ」
「ホントですか?!
……なんか子龍さん 1人だけだなんてずるっ子……!」
「ソリャーー伊達に永年相棒やってないからな」
「子龍さん、いいなぁ〜」
雅は心底羨ましげに、カワイイ表情を、ぱぁっと〜可憐な花のように綻ばせる。
彼は『城』に入館した時からの信繁のファンで、偶然欠員が出た「信繁班」技術専門担当員に、途轍もない倍率を蹴散らし高い能力で選ばれている。
当時の彼の新人教育指導担当官役、瑠架により推薦され、それを足がかりに精鋭信繁班に現在の雅が爆誕した。
子龍は狙い通りの展開に、心の中で、ヤッターッ〜とニンマリVサインをする。
ーーーーというのも本当の所、実は信繁の最近の疲労しまくりの心象を心配した子龍が裏で巧に計画を立てたのである。
「助っ人依頼」はーーー裏から瑠架に、「信繁さんはどうでしょうか?」
「子龍さんも賛成してるし?」……と!
コソッと ”瑠架お気に入り” の、不夜城……
特殊空間棟に悠々自在に入館出来るパスとIDを持つ、かつ〜瑠架と極めて親しい関係の顔見知りの雅がワザワザ直に出向き ”口沿い” をしたのだ。
勿論信繁は そんなことは露知らない。
因みに「クッキング教室」裏情報を拾ってきたのは〜情報通の 雅である。
コレはお料理教室、正式参加メンバー……
アナスタシアですら全然 ……全く、あずかり知らない情報だった。
「え〜〜〜そうなの?!」
「だからさ、強力してよね? ナスチャも」
「解ってるって!」
瑠架が信繁の親友・子龍(彼も瑠架とは同期)と、自身がとても目をかけ事ある事に、可愛がっている雅との、思わぬ申し出ーーー
驚喜し食いついた事に、主な仕掛け人2名〜
共同戦線を張る彼等は心底ホッとしたのである。
ぬかりない子龍は、勿論しっかり瑠架自身に ”雅を通し” 口止めすることも忘れない。
ーーーーーーーーー細工は隆々
何もかもそつが無い
子龍の目から見て、信繁は一時期と比べればかなり顔色もよくなったが、まだ神経の尖ったピリピリ張り詰めた印象はぬぐえない。
……おまけに信繁は、自分の事で周囲に心配させまいとかなり無理をしている。
未だあの茶色の瞳で楽しげに悪戯っぽく、クルクルよく笑う親友では無い。
勿論 今までそれの多くが信繁の心を読み取られまいとする、巧みな演技であったと割り引いて考えたとしても。
「信繁の親友の自分としては」
早く、あの明るい元の友人の姿に戻って欲しいと切実に考えていた。
しかし……?
今回のこれは勇み足で、むしろ逆効果だったかも知れない。
子龍は内心「これはちょっと困った事になったぞ……?」
ーーー心の中で呟いた。
その日の夕方、ズラリ最新調理器具の整えられたピッカピカの調理室にて開催されたクッキング教室はーーー
何時ものキャッキャッうふふと……!
子龍が期待した女性職員特有の 華やかでザワザワする、ウキウキと賑やかな私語もなく
ーーーーーー静かだった
と言うよりも……
シーーーーーン 不気味に静まりかえっていたのである。




